俺の妹が悪役令嬢?そんなの兄の俺が許さない!

ねこ沢ふたよ

文字の大きさ
38 / 59

三学期の始まり

しおりを挟む
 冬休みが明けて、マキノとフランネが学校に帰ってきた。

 俺とリンネの報告を聞いて、マキノもフランネも激怒りだった。

「お前なぁ、不用意にセシル様に近づくなって言っただろうが!! 怪我させやがって!」

フランネがそう怒って、俺の右頬を引っ張る。

「全くだ。なに窓辺でロミジュリしているんだ!!」

マキノがそう怒って、俺の左頬を引っ張る。

 右の頬を打たれたら、左の頬も差し出せという言葉があるが、両方の頬を引っ張られた俺は、これ以上何を差し出せばいいのか。
 イタイ

「セシル様が怪我をしたのは、聞いていたが、まさかリオスが原因だったとは」

 マキノが頭をかく。

 マキノは、この冬休みは、軍司令の親父と一緒に、新年を迎える王宮の警護をずっとしていたのだそうだ。卒業後は、親父と一緒に軍で働くことを決めているマキノは、長期の休暇のたびに軍の仕事を手伝っている。

 この冬休みは、王宮の警護。
 マキノは、初めは王太子の警護を言われていたのだが、セシルが学校から帰ってこないということで、急遽アレーナ女王の身辺警護の手伝いをしていた。

 セシルが怪我をした話は伝わってきたが、セシルの怪我は軽い打撲。心配いらないということだし、アレーナ女王の警護があったから、マキノは、冬休み中に学校に戻ることができなかったのだそうだ。
 
「まあ、リオスの怪我も大したことなくて良かった」

マキノは、そうため息をついた。

「俺の方は、兄貴とアスナについて話し合ってみたんだ」
と、フランネは言う。

 フランネは、冬休み中に家にいた時に、兄のユーカスとじっくり話をしたのだそうだ。
「俺、兄貴に手帳の話をしてみたんだ。あの乱闘騒ぎが二学期にあっただろう? 信じるかと思って」

「どうでした?」

「あのグスタフの息子の仲間の言うことだろう? って、鼻で笑われた」

 おおう……。
 悪名高すぎだろう、あのクソ親父。
 おかげで、この状況でも信じてもらえない。

「だが、アスナへの不信感もあるようだった」

さすが「ちょいムズ」のユーカスだ。可愛い正統派ヒロインのアスナの言うことでも、そのまま鵜呑みにはしていないということだろう。

「そういえば、三学期は、セシル様の上の学年の卒業プロムがあります。きっと、まだパートナーの決まっていない人たちが、下の学年の女性にも、積極的に声をかけるようになるはずです」

 リンネの言う通りだ。
 春に卒業する二つ上の学年は、この三学期には大いに焦り出すだろう。

「シロノさんは、誰かに声をかけられたら、なびいてしまうようなことは?」

「断じてない。三学期になっても相手のいないような奴を、シロノが声をかけられたと言うだけで、なびくはずがない。」

 俺は、じぶんが「チョロ雑魚」であることを棚に上げて、そう言い切る。
 二年後に、相手がいなくて自分が諦めモードに入っている姿は、容易に想像できるが。それは、もう考えないようにしよう。

「アスナはどうでしょう?」

「アスナは、なびかないだろう。あいつ、セシル様一本に絞ったようで、取り巻き連中にも、いかに正妃になるには自分が相応しいかを語っていたし」

 そんなことを言っているんだ。根回しすごいな。
 こんな情報を知ることができるのも、フランネが向こうの情報にも気を配ってくれているからだ。有難い。
 アスナは、そうとう自分が正妃に選ばれる確証があるということだろうか?

 どうしてだろう。あのセシル様の様子から考えて、シロノの方はよっぽど可能性があるように現時点では思えるのだが。何か秘策があるのだろうか?

 とにかく三学期は始まったのだ。
 四月の初めのセシル様の誕生日には、正妃が決まる。
 その日まで、あとわずか。この三学期にこそ、頑張らなければ、今までのやらかしは返上できないのだ!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

第一王子と見捨てられた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
アナトール公爵令嬢のマリアは婚約者である第一王子のザイツからあしらわれていた。昼間お話することも、夜に身体を重ねることも、なにもなかったのだ。形だけの夫婦生活。ザイツ様の新しい婚約者になってやろうと躍起になるメイドたち。そんな中、ザイツは戦地に赴くと知らせが入った。夫婦関係なんてとっくに終わっていると思っていた矢先、マリアの前にザイツが現れたのだった。 お読みいただきありがとうございます。こちらの話は24話で完結とさせていただきます。この後は「第一王子と愛された公爵令嬢」に続いていきます。こちらもよろしくお願い致します。

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

お掃除侍女ですが、婚約破棄されたので辺境で「浄化」スキルを極めたら、氷の騎士様が「綺麗すぎて目が離せない」と溺愛してきます

咲月ねむと
恋愛
王宮で侍女として働く私、アリシアは、前世の記憶を持つ転生者。清掃員だった前世の知識を活かし、お掃除に情熱を燃やす日々を送っていた。その情熱はいつしか「浄化」というユニークスキルにまで開花!…したことに本人は全く気づいていない。 ​そんなある日、婚約者である第二王子から「お前の周りだけ綺麗すぎて不気味だ!俺の完璧な美貌が霞む!」という理不尽な理由で婚約破棄され、瘴気が漂うという辺境の地へ追放されてしまう。 ​しかし、アリシアはへこたれない。「これで思う存分お掃除ができる!」と目を輝かせ、意気揚々と辺境へ。そこで出会ったのは、「氷の騎士」と恐れられるほど冷徹で、実は極度の綺麗好きである辺境伯カイだった。 ​アリシアがただただ夢中で掃除をすると、瘴気に汚染された土地は浄化され、作物も豊かに実り始める。呪われた森は聖域に変わり、魔物さえも彼女に懐いてしまう。本人はただ掃除をしているだけなのに、周囲からは「伝説の浄化の聖女様」と崇められていく。 ​一方、カイはアリシアの完璧な仕事ぶり(浄化スキル)に心酔。「君の磨き上げた床は宝石よりも美しい。君こそ私の女神だ」と、猛烈なアタックを開始。アリシアは「お掃除道具をたくさんくれるなんて、なんて良いご主人様!」と、これまた盛大に勘違い。 ​これは、お掃除大好き侍女が、無自覚な浄化スキルで辺境をピカピカに改革し、綺麗好きなハイスペックヒーローに溺愛される、勘違いから始まる心温まる異世界ラブコメディ。

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。 しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。 断罪まであと一年と少し。 だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。 と意気込んだはいいけど あれ? 婚約者様の様子がおかしいのだけど… ※ 4/26 内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子

ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。 (その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!) 期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。

強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します

天宮有
恋愛
 私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。  その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。  シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。  その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。  それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。  私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。

処理中です...