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誓約
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俺の首筋から、剣先の感覚が離れる。
剣を上げて、とうとう俺の首を刎ねようとしているのだろう。うつ伏せの姿勢で、見えはしないけれども。
視覚が効かないからか、俺には、音がよく聞こえる。
「待ちやがれ!! てめえら! どけぇ!!」
群衆の歓声と悲鳴に混じって、遠くにマキノの声が聞こえる。争う音も聞こえる。周囲の者を殴って、前へ進もうとしているようだが、うまくはいっていないようだ。声は近づいてこない。
「リオス! リオス!」
必死で俺の名前を呼ぶ声。
リンネ? あれ? じゃあ、シロノも一緒? 駄目だよ。シロノを逃がしてあげなきゃ。リンネにして欲しいことは、シロノに危害が加えられないように、シロノを逃がしてあげること。ここに連れてきたら、本物のシロノまで首を刎ねられちゃう。
断罪は俺だけでいいんだよ。
「お兄様!!! 違うの!! わたくしは、ここなの! 刎ねるならわたくしの首を! あれはお兄様なの! お願いだから! お兄様を離してぇ!」
必死で叫ぶシロノ声。自分が何をされても泣かないシロノが涙声になっている。
だけれども、群衆は、俺の首を刎ねる様子に夢中で、誰もシロノにもリンネにも、マキノにも気づかない。
ねえ、そのまま逃げてよ。シロノ。シロノまで危なくなったら、俺が、死に損になっちゃう。
群衆の興奮は、最高潮に達している。
下賤な農奴の子! と俺を蔑む声。魔女の首を刎ねろ! と興奮する声。残酷な行く末を想像して悲鳴を上げて気絶する人。それを助けようと担架を要求する声。色々な声が聞こえる。
悲鳴と叫び声が、広場にあふれる。
……
……?
……??
いつまで経っても、俺の首つながっている。
俺を押さえつけていた手が緩んで顔をあげてみれば、目の前にセシルの顔がある。
「間に合った……リオス」
セシルが、そう言葉をこぼして、俺を抱きしめる。シロノの姿をしていても、セシルには、俺だとバレているようだ。
周囲をみれば、アスナ達が衛兵に捕らえられている。
縛られたままで身動きのとれない俺。何の抵抗もできないで、状況も理解できないまま、セシルに抱き上げられる。
何がどうやら?? とにかく、俺は、助かったらしい。たぶん。
傍にロージイが、立っている。ロージイが、セシルを呼びに行ってくれたのだろうか?
「シロノ・エルグほど、清らかな者はいない! それは、私が保証する! 決して魔女ではないと!」
群衆に断言するセシル。
王太子セシルがお墨付きをくれるなら、今後シロノを魔女だなんていう奴はいなくなるだろう。よかった。
「……そして、この者を、正妃とする!」
高々と掲げられた俺。え? は?
どっちを??
これは、シロノを正妃に任じたんだよな? まさかの、俺が正妃ルートではないよな?
目が点になる俺。
「では、王太子様……誓約を交わしてください」
何かを要求する大臣。
誓約? なんだ? とりあえず先に縛っているロープを外してくれないか? このままでは、誓約書を渡されても、サインすらできないぞ?
オロオロしていると、セシルの顔が近づいてきて、キスをされてしまう。
呆然とする俺にセシルが微笑みかける。
この光景どこかでみたような……。一学期? いやいや、その前に……。
剣を上げて、とうとう俺の首を刎ねようとしているのだろう。うつ伏せの姿勢で、見えはしないけれども。
視覚が効かないからか、俺には、音がよく聞こえる。
「待ちやがれ!! てめえら! どけぇ!!」
群衆の歓声と悲鳴に混じって、遠くにマキノの声が聞こえる。争う音も聞こえる。周囲の者を殴って、前へ進もうとしているようだが、うまくはいっていないようだ。声は近づいてこない。
「リオス! リオス!」
必死で俺の名前を呼ぶ声。
リンネ? あれ? じゃあ、シロノも一緒? 駄目だよ。シロノを逃がしてあげなきゃ。リンネにして欲しいことは、シロノに危害が加えられないように、シロノを逃がしてあげること。ここに連れてきたら、本物のシロノまで首を刎ねられちゃう。
断罪は俺だけでいいんだよ。
「お兄様!!! 違うの!! わたくしは、ここなの! 刎ねるならわたくしの首を! あれはお兄様なの! お願いだから! お兄様を離してぇ!」
必死で叫ぶシロノ声。自分が何をされても泣かないシロノが涙声になっている。
だけれども、群衆は、俺の首を刎ねる様子に夢中で、誰もシロノにもリンネにも、マキノにも気づかない。
ねえ、そのまま逃げてよ。シロノ。シロノまで危なくなったら、俺が、死に損になっちゃう。
群衆の興奮は、最高潮に達している。
下賤な農奴の子! と俺を蔑む声。魔女の首を刎ねろ! と興奮する声。残酷な行く末を想像して悲鳴を上げて気絶する人。それを助けようと担架を要求する声。色々な声が聞こえる。
悲鳴と叫び声が、広場にあふれる。
……
……?
……??
いつまで経っても、俺の首つながっている。
俺を押さえつけていた手が緩んで顔をあげてみれば、目の前にセシルの顔がある。
「間に合った……リオス」
セシルが、そう言葉をこぼして、俺を抱きしめる。シロノの姿をしていても、セシルには、俺だとバレているようだ。
周囲をみれば、アスナ達が衛兵に捕らえられている。
縛られたままで身動きのとれない俺。何の抵抗もできないで、状況も理解できないまま、セシルに抱き上げられる。
何がどうやら?? とにかく、俺は、助かったらしい。たぶん。
傍にロージイが、立っている。ロージイが、セシルを呼びに行ってくれたのだろうか?
「シロノ・エルグほど、清らかな者はいない! それは、私が保証する! 決して魔女ではないと!」
群衆に断言するセシル。
王太子セシルがお墨付きをくれるなら、今後シロノを魔女だなんていう奴はいなくなるだろう。よかった。
「……そして、この者を、正妃とする!」
高々と掲げられた俺。え? は?
どっちを??
これは、シロノを正妃に任じたんだよな? まさかの、俺が正妃ルートではないよな?
目が点になる俺。
「では、王太子様……誓約を交わしてください」
何かを要求する大臣。
誓約? なんだ? とりあえず先に縛っているロープを外してくれないか? このままでは、誓約書を渡されても、サインすらできないぞ?
オロオロしていると、セシルの顔が近づいてきて、キスをされてしまう。
呆然とする俺にセシルが微笑みかける。
この光景どこかでみたような……。一学期? いやいや、その前に……。
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