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シズク森を出る編

3 街

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私が馬車に乗って待っているとルナお姉ちゃんが顔を隠して馬車に乗ってきた。
私は、なんでそんな顔を隠す必要があるのだろうか…と考えているとバサお兄ちゃんも乗ってきた。

三人で乗ると、馬車はすごく気まずい乗り物だった。
私も二人も誰も話さずに馬車の窓の外の景色…私はいつも見ている景色を眺めているとルナお姉ちゃんが私の方を向いて言った。

「シズク?」

「はい」

「今から、街というところに行くわ。決してはしゃぐんじゃないわよ?あなたは一応成人しているのだから」

「はぁ…成人ってなんですか?」

私がため息をつきながら言ったら、ルナお姉ちゃんは呆れた顔をして頭を抱えていた。そんな姿を見てバサお兄ちゃんが言った。

「シズクいいか?成人って言うのは、俺たちみたいな大人のことを言うんだよ。」

「と言うことは…私もう自立するってこと?」

「それはわからないけど…まぁいつかは自立するだろうね」

私はそれを聞いて少し心に穴が空いたかのようにボーっとしてしまった。自立するってことは…師匠と離れると言うことになる…私はいつまでも師匠と一緒に暮らせると思っていたけど、実際は違かった。私が初めて知った事実だった。

私が黙って俯いていると頭を抱えていたルナお姉ちゃんが顔を上げて言った。

「わかった?成人って結構生きてる上では大事な時期なのよ」

窓枠に肘をかけて窓の外を見ながら言ったルナお姉ちゃん。私はそんな彼女を見て少しは、常識を知ろうと思ったのだった。

いつの間にか馬車は止まり、私たちは馬車を降りて辺りを見渡した。
私は、見渡して情報量が多いところだと一目見て思った。

どうやら、私たちが降りた場所は道路という誰もが歩いたり馬車が通る場所みたいだ。私の中では、道路というのは土しかなかった。けれども、ここは石造りでしっかりとしている。私は地面を触りながら思った。

すると、ルナお姉ちゃんが軽蔑するような目でこちらを見てくる。私はこんなお姉ちゃんを見たことがなかった。

「シズク?」

「は、はい!」

「さぁ、お買い物をしましょう?」

「お買い物とはなんですか?」

「はぁ…」

ルナお姉ちゃんは大きなため息をついて猫背になって歩いた。そんな気力を失った代わりにバサお兄ちゃんが説明してくれた。

「ジズクいいかい?このコイン…これが硬貨だ。これを三枚使えば代々の物は買える。けれども、たまに悪徳商売って言う悪い人たちがいるから売店にいる人と話して信頼できる人のものを買うんだよ?いいね?」

「はい…信頼できる人…硬貨…」

私は、返事をした後バサお兄ちゃんの言っていたことを小さく呟きながら繰り返し言った。
バサお兄ちゃんは私の手に硬貨三枚を包み込んで言った。

「さぁシズク…あのテントにいるおばちゃんと話してものを買ってきなさい」

「わかりました。バサお兄ちゃん。」

私はそう言い、バサお兄ちゃんが指で指していた場所を目掛けて歩いた。
歩く時、周りの人にぶつからないように歩くのは少し大変だったが私はおばちゃんの店着き…

「いらっしゃい!何を買うんだい?」

「あ、あっあの」

「どうかしたかい?」

「ここで一番美味しい物ってなんですか?」

「何を聞いてくるんだと思ったらそんなことかい。そうだねぇこれとかどうかな?」

おばちゃんが差し出してきたのはりんごだった。赤色が濃く。新鮮そうだったので私は硬貨三枚渡して戻ろうとしたが…

「嬢ちゃん!」

おばちゃんに大きな声で言われたので私はビクッとしてしまう。
恐る恐る後ろを振り返ると手招きしているので私はゆっくりとした足取りで再び向かう。

おばちゃんは小さな声で言った。

「嬢ちゃん可愛いから硬貨一枚でいいよ」

「そんなそんな…大丈夫ですよ!」

私は必死に抵抗したがおばちゃんは私の手に強引に硬貨を置いてくるので私はしょうがなくバサお兄ちゃんのところに戻った。

「どうだった?初めての買い物は?」

「まぁ普通だったよ」

そう言いながら、私は硬貨をバサお兄ちゃんに返そうとしたが…

「いいよ。それはシズクが持ってて」

「だけど…」

「だけどじゃない。これはバサお兄ちゃんからの命令です!」

そう言われたので私はポッケに硬貨をしまった。
すると、気力を失っていたルナお姉ちゃんが私を見て…

「シズク…あなた偉いわね」

「えっ?」

私は思わず声を出してしまったがルナお姉ちゃんは私の頭を優しく撫でてくれた。
そのあとは特に何もせず、街を歩き回った。
時間は夕方になり馬車を再び呼んで森に戻ることになった。

馬車が来て乗り込む。
今日一日中歩き回って私は眠くなってきた。私はルナお姉ちゃんの膝下で寝ようとすると…

「シズクは可愛いのね」

そう言いながら、私を優しく膝に乗っけてくれた。そんなシーンを見てバサお兄ちゃんが言った。

「いつまで…そのお淑やかキャラ保てるかな」

「うるさっわね!静かにしなさい!」

その会話を聞いて私は眠りに落ちた。次に目を開けた時は自分のベットに寝ていたのだった。
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