【奨励賞】こわがりちゃんとサイキョーくん!【受賞】

またり鈴春

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優しいカラスとクラスメイト

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 だけど、わたしが色々考えている間に、いつの間にか話は進んだようで……

「じゃあ、遠慮なく祓うからな」
『お願します』

 千景くんは、カラスさんを祓う準備をしてた。

「だから、ダメだって!!
 千景くん、なんでもかんでも、いさぎよく祓いすぎだから!」

 手を伸ばして、千景くんを止めようとする。
 だけど……あれ?
 千景くんの手、「滅」の構えじゃない?

「っていうか、あれって……!」

 千景くんの手にあるのは、石けん!
 しかも、ボディーソープ!?

「それを、どうするの?」
「……フッ」

 なんで微笑むだけ!?
 その笑みに不安を覚えるのは、私だけ!?
 すると千景くんはボディーソープを、カラスさんの上から、容赦なくドバドバ垂らした。
 次に、ゴム手袋を取りだす。
 そして……

 ゴシゴシ

 なんと、カラスさんをキレイにし始めた。

「えっと……千景くん、何してるの?」
「そーじ。ってか、風呂」

「だから……なんで?」
「…………はぁ」

 な……!
 その「説明するのメンドクセー」みたいな顔と、ため息は、なに!?
 すると千景くんは「説明すんのメンドクセー」と。
 私の心の中のセリフを、そのまま言った。

「どうせお前、コイツを祓わないんだろ?」
「……うん。祓いたくない」

「ってことは、だ。
 そのタヌキ共々、これからも行動を共にするわけだろ」
「え……」

 そうなるのかな?
 カラスさんを見た後に、キキを見る。
 するとキキは、わたしの手とカラスくんの翼を、両方の手でキュッと握った。
 まるで「離れたくない」と、そう言っているみたいに――

「……っ」

 なんか、泣きそう。
 キキもカラスさんも、人間のわたしと一緒にいたいって。
 そう思ってくれるんだね?

「ズビ、ズビ……」
「泣くなよ、きたねぇなぁ。
 あ、ついでにお前も”掃除”しとくか?」
「エンリョしときます……!」

 すると千景くんは、またフッと笑った。
 そして「俺はキレイ好きなんだよ」と、誰得情報を、おひろめする。

「タヌキと一緒で、これからカラスがお前のそばにいるなら、カラスだろうが妖怪だろうが、キレイにしないとな」
「あ、それで“お風呂”って言ってたの?」
「そーだよ。……悪いかよ」

 千景くんは、少しだけ顔を赤く染める。
「ありがとう」とお礼を言うと、ますます赤く染まった。

「おい小童、なぜ俺には掃除をしない?」
「あ? 石けんがもったいねーだろうが」

「明らかに差別だ! 俺も洗え!」
「うるせぇなぁ、誰が洗うか!」

「……ふふ」

 千景くんは、カラスくんを祓わなかった――
 妖怪の事を嫌っているのに、見逃してくれた。
 その気持ちが、すごく嬉しい。

「ありがとう、千景くん」
「なにか言ったか?」
「ううん、何も!」

 そして、ちょうどお風呂が終わった時。
 今まで気絶していた休田静ちゃんが「うぅ」と、目を開ける。

「あれ? 私、どうしてココに……?」
「良かった……、目が覚めたんだね」

 ホッと、一安心。
 あ、でも千景くんが魔王サマのままだ!
 早く元の王子様に戻らないと!

 すると手を洗った千景くんが、バサリ――かれいにハンカチを取り出して、こちらへやってきた。

「休田さん、もう大丈夫かな?」
「へ!? 千景くん!?」

「……」

 王子様の切り替えの早さに、唖然とする。
 いつものマガマガしいオーラは、一体どこへ!?

「顔色が悪かったから、外の風に当たった方がいいだろうと思って、今まで外にいたんだよ。
 あ、まだ調子悪いなら、保健室に行ってね。
 そこにいる小羽さんが付き添ってくれるから」
「!?」

 き、聞いてない!
 聞いてないよ、千景くん!
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