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第1章

第二話 このスキル、やばくないか⁉︎

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  川の流れに身を任せ水面から上がり、俺は飲み込んでしまった水を吐き出した。
 ちょうど草原のような場所に出たようだ。振り返ってみると、城下町と城が佇たたずんでいる。とりあえず隣国の街にでも向かうことにした。このままこの辺りにいるのは危険だ。

 俺は宛てもないままに名前すらまだ知らない、自分を追放した国に背中を向け、移動を開始した。




 ◇




 しばらく移動しているうちに俺は森の中に入り、戦闘を繰り返していた。
 正直、『バキュームドレイン』くらいしか使えるものがないので、遭遇した魔物に便秘状態を付与し、逃げ回っているうちに動きが鈍ったところへ、地面に落ちている大きめの石で攻撃し、また逃げ回り……を繰り返し長い時間をかけ、ようやく何体かを仕留めているうちに、空が暗くなっていた。

 何とか集めた木材で火を起こし、石で囲った葉に引火させ焚き火をつくった――なんで俺は異世界でこんなサバイバルをしているんだ。
 とりあえずステータス画面でも見てみるか……あれ? レベルめちゃ上がってません⁉︎ LV36って、森の魔物を数匹倒しただけだと言うのに。

 俺は念の為に『バキュームドレイン』によるスキル効果の詳細をもう一度、きちんと確認することにした。伊切と戦闘になった時は、そんな余裕なかったもんなぁ。

 ――『バキュームドレイン』で敵の排便物から吸収した水分が経験値に自動変換される? ……経験値特化スキルのため、入手する経験値が六倍になる……⁉︎
 ちょっと待てって……このスキル強過ぎないか? もしかして職業『バキューム男』はチート的なやつじゃないよな。俺はさらに念入りに、職業の詳細画面を表示した。

【バキューム男】、職業レア度SSSランク。世界のあらゆる不浄を浄化する排便物の神『ウンティーネ』の加護により、LV60に達すると、神と同等の力まで成長する、大器晩成型のチートクラス職業。
 おいおい……ステータス画面に『チート』なんて表示して大丈夫なのか? おっと、それよりもレベルアップでスキルが増えているかもしれないから、そっちも確認だ。

 スキルが3つ追加されているな……このスキルって、まさか――『ウンティーネ召喚』……ウンコの女神ウンティーネを召喚可能、召喚後はパーティに加わる。
 ウンコの女神っていうのが、なんか汚そうで嫌な響きだけど、『バキュームドレイン』の破壊力からして、これはかなり強力そうだ。空が明るくなったら、魔物に試してみるか。

 て言うか、ゲームでよく名前を目にする、ウンディーネみたいな名前にウンコの女神を例えるのやめて!
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