ようこそ、悲劇のヒロインへ

一宮 沙耶

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7話 女ともだち

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 今日は、横の部屋に新しい学生が引っ越してくると聞いている。お互いに、初めての大学生活という2人で、仲良くできるんじゃないかとワクワクしていた。いつも一緒にいる、親しい女友達ができるんじゃないかって。

「こんにちは。今日から、隣の部屋に越してきた 室井 理恵 です。よろしくね。」
「理恵ね。聞いてる。糸井 彩 って言います。こちらこそ、よろしく。大学生活って初めてで、わからないことも多いけど、一緒にやっていけばできることも増えると思うから、仲良くしてくれると嬉しい。」
「こちらこそ。私、付属高校からの推薦入学だから、少しは知ってることもあると思う。そうはいっても、大学は初めてだし、不安も多いから、彩が仲良くしてくれると助かる。よろしく。じゃあ、荷物を入れるので、少しうるさいけど、ごめん。」
「まずは、荷物の搬入を手伝うことから始めるわね。」
「本当! 助かる。じゃあ、お願いするわね。」

 少し地味な感じだけど、なんか感じはいいじゃないか。楽しくなってきた。そして、引っ越しを手伝うなかで、女性が一人暮しをするうえで持ってるものってなんだろうていうことも、大体わかったことも収穫があった。

 その後、引っ越しが終わって夕方になった。

「今日は、二人で引っ越し祝いということで、私の部屋でパーティーでもしない?」
「いいわね。部屋じゃお料理できないけど、料理とかどうする?」
「ポテチとかでもいい。あと、炭酸系の飲み物とか。一緒に買いに行こう。」
「じゃあ、行こう」

 一緒に買い物なんて、デートじゃないか。なんか、女性どうしで、お互いに笑いながら、何買おうかなんて会話するって楽しい。

 買い物から帰ってきて、テーブルにスナック菓子を広げ、パーティーを始めた。

「どうしてかな。少し、フラフラするけど。」
「疲れたんじゃない。今日、手伝わせてしまって、ごめんなさいね。」

 理恵は、最初は、テーブルで向かい合って座っていたけど、そのうち、横に椅子を持ってきて座り、急に距離を縮めてきたんだ。女性って、こういう距離感なんだろうか。

 なんか、腕も組んでくるし、腕に胸とかが触れて、肌のふれあいを感じる。こういうのはドキドキして嬉しい。俺の気持ちは男性なんだから。

「ねえ、彩って、スタイルいいね。」
「それほどじゃないよ。」
「彼とかいるの?」
「今はいないかな~。」
「そうなんだ。私、なんかぴーんときたんだけど、彩って、女の人好きじゃない?」
「いや・・・・」

 俺のことがバレたのかとびっくりした。

「隠さなくてもいいのよ。私もそうだから、なんとなくわかるんだ。今どき、女同士のカップルだっていっぱいいるし。」
「でも、これまでそんなこと・・・。」

 バレたわけじゃないんだ。

「そんなに、警戒しなくていいって。まず、気軽に試してみて、嫌だったら、やめればいいじゃん。横の部屋になったのも運命だと思うの。私は、彩のことタイプ。初めてみた時に、この人って思ったんだ。」

 そういうと、理恵は俺にキスをしてきた。そして、いきなりベットに連れていかれ、上にのり濃厚なキッスを続け、俺を愛撫し続けた。

 そもそも、これまでエッチなんてしたことはなかったから、キスはこんなに深く、長くするとは想像していなかった。

 俺も、理恵の胸を揉んだりした方がいいのだろうか。でも、変なことして嫌われたら嫌だし。でも、女性を抱いてるって感じがいいな。男とエッチなんて気持ち悪いし、女性とだったらエッチもできると思えた。

 いつの間にか服は自然に脱がされていた。女性だから、女性の急所を知っているのだろう。俺は何も知らないし、体を任せていた方がいいって。

 でも、知らぬ間に声も出ていて、これが女性としての感覚なんだってことを初めて知った。

「え、何?」
「びっくりさせちゃって、ごめん。これ、女性どうしでエッチするときに使うおもちゃ。中に入って、動くんだよ。面白いでしょ。初めてかと思うけど、痛かったら、すぐ言ってね。無理しないから。」

 ゆっくりだったからか痛さは感じず、愛撫は続いて、私はいつの間にかクライマックスを迎えていた。

「よかった? 最初からこんなハードにするとだめかなと思ったんだけど、彩だったら、むしろ、最初から、こっちでいった方が、上手くいくんじゃないかと思って。彩は女性ホルモン、そんなに嫌じゃないんだよ。多分。結構、近づくだけで気持ち悪いっていう女性もいるし。でも、初めてで、そんなにいっちゃうなんって思わなかった。」
「恥ずかしい。」
「そんなことないよ。これから、ずっと一緒だね。私って、昔から悩みがあって、男性が好きになれなかったんだ。でも、女性に声をかけても嫌われるんじゃないかって。それでも、なんか彩にあった途端、この人だったらいけるってビビってきて。今日は突然でごめんね。でも、よかったでしょ。」
「うん。理恵のことよく知らないし、これから、いろいろ教えてね。」

 そして、理恵と一緒にキスをしながら眠りに落ちた。その後も、理恵とは仲良く大学生活をおくり、レストランにも一緒に行ったりした。

 それから数日して、別の友人から温泉旅行に誘われた。

「彩、今週、温泉旅行に行くんだけど、1人欠員が出てさ、一緒に行かない?」
「ごめん。あの日だから遠慮しておく。」
「そうなの。じゃあ、また誘うね。」
「ありがとう。」

 今日にでも生理が始まると思う。なんか眠いし、イライラするし、これじゃあ温泉旅行とか無理だな。ナプキンも、なんかおむつはいているようで、肌に優しいとは言っているけど、ガサガサして本当にいや。本当にやめてもらいたい。

 そんな中でもお風呂には行く。これまで観察していたけど、生理の人はシャワーだけね。まず、シャワー浴びようか。さっき始まって、なんか、ももにぬるっとした赤い液体が流れていって、汚い感じ。本当に嫌だ。これと一生付き合っていくのか。

 女子大だから、みんな理解はしてくれる。あ~、あの日なのねって。そういえば、周期がわかる便利なアプリがあるから使ってみればって。そう言うのは勉強になるけど、でも、それだけ。痛いのが軽くなるわけじゃない。

 ああ、ゆうつだな。でも、ピルとかあるらしいけど怖いし。でも、生理が終わると、気分がいきなり明るくなってくる。


 なんか気持ちの起伏が男性の時よりも大きい気がする。なんでもできるんじゃないという気分。これから外に遊びにいくぞー。あ~、楽しい。

「理恵、今日、一緒にレストランに行かない? この前、この先のイタリアンが美味しいって聞いたから。」
「行こう、行こう。今日はご機嫌だね。」
「そうそう。じゃあ、予約しておくね。」

 レストランに着くと、二人の会話は弾んだ。


「部屋で話すのと違って、これはこれでいいね。」
「そうね。そういえば、英語Ⅱの先生、なんか明治時代のおばあちゃんっていう感じだよね。」
「それ、面白い。確かにそう。もう少し、今時のニュースとか軽やかにレクチャーする方がいいのにね。」
「だから、あの先生の授業には、生徒が少ないんだろうね。私、参加してみたけど、いつも寝ちゃっていたもん。」
「それわかるー。先生、やめちゃうべきかもね。」
「それは言い過ぎだよ。そう思うけど・・・。あはは。」

 二人の会話は続き、その後も、部屋で大笑いしながら続いた。でも、大学の別の女子生徒が、レストランで2人の姿を見ていた。
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