溺愛パパは勇者！〜悪役令嬢の私のパパが勇者だった件〜

序章

No.2 あんまりです

「………何処？」

目を開けると、そこは真っ白な空間だった。
病室の様に消毒液の匂いと命の音がする機械音が全然しない、静かな空間。

「私、死んだよね？」

確かに覚えている。
身体の感覚が無くなり意識が暗闇に沈んでいくあの感覚。

「っ！」

思い出した途端、恐怖が遅いその場で身体を抱きしめ座り込む。

（大丈夫、大丈夫っ！）

必死に自分を落ち着かせ、どれくらいの時間が経っただろう。

「おっ待たせ～！！」
「っ！？」

そんな声が突然、目の前から聞こえた。
慌てて顔を上げると其処には、キラキラと輝く少年が立っていた。その少年は、プラチナの髪に黒い目をしたとても綺麗な少年だった。

「…誰？」
「僕？僕は神様っ！月宮雫さん。君は、先程死亡しました！今の君は、霊体。つまり魂で、此処は俗に言う死後の世界ってやつだよ！」
「は…ぁ。」
「あれ？あんまり驚かないね？」

（十分、驚いてます）

「まっ、いっか！！それでね？何で僕が君の前に現れたかと言うと、君には地球とは別の世界に転生して貰おうと思って！」
「………え？」

急な事で頭が良く動かない。

「いや～。本当なら君は、地球じゃ無くてジュピーラっていう世界に生まれる筈だったんだけどね？手違いがあって地球に生まれちゃったの！だから君の魂が此処に戻ってくるのを待ってたんだ～。これで漸く、君の魂は元の場所に戻れるよ！」

神様（自称？）は、私に話す機会を与えずにマシンガントークを連発する。

「え？あの…ちょ…」
「『強い身体の子供に生まれたい』って最後に願ったでしょ？手違いのお詫びにその願いを叶えてあげるね！記憶は多分、朧げに残るだろうけど支障はないから！それじゃあ、いっくよ～！」
「まっーー！」

その瞬間、私の周りが光り出し余りの眩しさに目を瞑る。そうして私は、一言も話すこともせずに強制的に本来の世界に転生させられたのだ。