溺愛パパは勇者!〜悪役令嬢の私のパパが勇者だった件〜

ハルン

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第3章

No.54 ヒロイン再び?

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「それより、何故アンドレイ殿下が?20歳の殿下は、もう学園を卒業してますよね?」

クリスが殿下に質問する。
アスカラ学園は、14歳から入学し18歳になる4年間学園で魔法を学ぶのだ。

「あぁ、それはねーー」

殿下が質問に応えようとした時だった。

「きゃっ!!いった~い!」

そんな声が聞こえて来たのは。
3人でその声が聞こえた方を見ると、そこには1人の女子が倒れていた。

「どうしよ~う!足を痛めちゃった~」

耳に触る話し方をするその子をジッと見る。

(…?何だろう?何処かで見たような)

肩下あたりまでの茶色い髪に薄い水色の瞳の可愛い子だった。しかし、見た事がある感じがするが何処で見たのか思い出せない。

「これから入学式があるのに~。誰か助けてくれないかしーーってアンタ!!」

下から見上げる様に上目遣いで殿下を見たその子は、隣に立つ私を見た瞬間に鬼の様な表情になった。

「…え、私?」
「何でアンタが此処にいるのよ!」

そう言って勢いよく立ち上がると、私を指差し叫ぶ。

(えっ?足を痛めてたんじゃ…)

「今日は、貴重なアンドレイとの出会いイベントなのに!!悪役令嬢が邪魔しないでよ!」

(あっ!!思い出した!)

出会いイベント、悪役令嬢。その言葉で彼女の事をようやく思い出す。

「あっ、思い出した。自称ヒロインの頭の痛い子だ」
「自称ヒロイン?」

クリスも思い出したらしい。クリスの言葉に殿下は頭を傾げる。

「はい。僕達が魔王討伐の時に寄ったケプラン村という村で会った子です。初めて会ったのに僕やバロンの名前を知っていて、ティアを悪役令嬢と呼んでいた所謂変人です」

確かにその通りだが、もう少し言い方があるだろうに。

「成る程、それは変人だな。…いや、初対面で名前を知っていたのたら変人では無くストーカーなのでは?」

その瞬間、私達の間で彼女は自称ヒロインからストーカーになった。

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