溺愛パパは勇者!〜悪役令嬢の私のパパが勇者だった件〜

ハルン

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第3章

No.64 バロン③

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「うわぁ~ん!ティア~!パパは、寂しいよぉ~」

店に入って10分。
ギルバートは、既に酒を3杯は飲んでいた。酔った彼は、人目も憚らず大泣きする。しかし、周りは慣れた様子で各自、料理や酒を楽しんでいる。

「学園で、変な虫が付いたらどうするんだ?この世界一可愛いティアに!!」
「………」
「ティアに男はまだ早いっ!!35歳までは、俺と一緒にいるんだ!」

(それって、いき遅れでは…)

バロンは可愛い妹分がいき遅れにならない為に頑張った。

「ギルバートさん。ティアだって女の子ですよ?好きな人くらい出来ますよ。それを、大好きな父親に否定されたら傷付きますよ?」
「ぐっ!」
「それに、ギルバートさんは孫が欲しく無いんですか?」
「ヴゥゥ~。ほ…欲しい」

呻くギルバート。
バロンは追撃の手を緩めない。

「可愛い孫に『ギルおじいちゃん』って呼ばれたく無いんですか?」
「!!…呼ばれたいっ!」
「でしょう?」

勢い良く頷くギルバート。バロンは、これでティアのいき遅れを防げたと思った。しかし…。

「わかった!だが、ティアの彼氏は俺より強い奴じゃないと認めない!」

バロンは頭を抱えた。

一体何処に、勇者より強い男がいるのだ。そんなの魔王位ではないのか?それか、歳をとってギルバートが衰えるだろう30年後位か?それならギルバートより強い男は現れるだろう。しかし、その時にはティアは確実にいき遅れだ。それでは、バロンか頑張った意味が無い。
 そう思ったが、機嫌良く酒を飲むギルバートにもう何も言えない。

(ティア、頑張って強い男を探して捕まえろよ)

その後、また泣き始めたギルバートを慰める。そうしてバロンの長い夜は明けていった。
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