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第3章
No.123 人の数だけ
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漸く午前の授業が終わり、待ちに待った昼休みとなった。
「サーシャ、早くご飯買って中庭行こう!」
「そうね。早く行かないと良い物が売り来てしまうものね」
そうして、2人は食堂に行って今日のお昼を購入して中庭へ向かった。色とりどりの美しい花が咲き誇る中庭には、既に何人かの生徒達が各々の好きな場所で昼食を取っていた。ティア達は、彼等から少し離れ人気のない場所に向かう。
「此処なら、誰にも話は聞かれないわね」
「だね。今日は此処で食べよう」
そうして、近くのベンチに座って買って来た具沢山のサンドイッチを食べる。
「ん~っ!やっぱり、此処のサンドイッチは最高!」
「此処の料理人の方は、以前王宮で働いていたんですよ」
「なら、この美味しさにも納得だね!」
そうして、何時もより早く昼食を食べ終えた2人。暫く他愛も無い話をしていたが、次第にティアがモジモジとし始めた。そうして、覚悟を決めた様にサーシャに声をかける。
「…ねぇ、サーシャ。サーシャは、アンドレイ殿下の事を考えると、どんな気持ちになる?」
「そうね…。私はアンドレイの事を考えると、胸が苦しくなるわ」
「えっ…!苦しくなるの!?」
「えぇ。最初は、今何をしてるのかなって思うわ。そして次に、今は公務の時間で忙しいわねって思うの」
静かに話し出したサーシャに、ティアは真剣に耳を傾ける。
「その忙しい中で、一瞬でも私の事を思い出してくれてるかしら?少しでも私に会いたいと思ってくれてるかしらって考えるわ。私は会いたいって思っているけれど、彼も同じ事を思ってくれてるかしらって考えて、もしもそうでなかったら…」
「そう考えて、胸が苦しくなるの?」
ティアの言葉に、サーシャは頷く。
「あの人は、いずれこの国を導く王になる人。その為に、今彼はこの国をより良くする為に必死にいろんな事を国王陛下の元で学んでいるわ。そんな時に、恋愛なんて考えている暇なんてない事は分かっているの。そもそも、国の為の政略結婚をする身でアンドレイと想いが通じ合って恋人になれた事自体奇跡みたいなものって分かっているわ」
一瞬、「そんな事ない!」と口にしそうになった。しかし、本気で誰かを好きになった事の無いティアは、軽々しく否定する事は出来なかった。何よりサーシャ達は、将来国を背負うと言うティアが想像出来ない様な大きな責務を抱えている。色々としがらみが多く、自身の望みを押し殺さなければならない事もあるだろう。
「将来この国を背負う立場になる私達は、愛だの恋だのと言っている暇は無いの。頭ではちゃんと分かってるわ。………それでも、一瞬でも私に会いたいって思って欲しいと願ってしまうの」
サーシャはソッとティアの手を握る。
「会いたい、声を聞きたい、そばに居たい、力になりたい………愛してる。これが私の恋かな」
そう言ったサーシャの顔は、1人の恋する女性の顔をしていた。それは、誰かを好きになったことの無いティアでもハッキリと分かった。
「でも、恋なんて人によって様々だと思うよ。激しい恋もあれば、穏やかな恋もある。人の数だけ、恋があると思うの。だがら、クリスさんへの告白の返事は、ティアちゃんが思った事を伝えればいいと思う」
「ありがとう、サーシャ」
優しく微笑むサーシャに、ティアは穏やかな気持ちになった。
ーーしかし次の瞬間。
(………………ん?クリスへの返事…?)
ボンッ!と一気に顔が赤くなるのだった。
「サーシャ、早くご飯買って中庭行こう!」
「そうね。早く行かないと良い物が売り来てしまうものね」
そうして、2人は食堂に行って今日のお昼を購入して中庭へ向かった。色とりどりの美しい花が咲き誇る中庭には、既に何人かの生徒達が各々の好きな場所で昼食を取っていた。ティア達は、彼等から少し離れ人気のない場所に向かう。
「此処なら、誰にも話は聞かれないわね」
「だね。今日は此処で食べよう」
そうして、近くのベンチに座って買って来た具沢山のサンドイッチを食べる。
「ん~っ!やっぱり、此処のサンドイッチは最高!」
「此処の料理人の方は、以前王宮で働いていたんですよ」
「なら、この美味しさにも納得だね!」
そうして、何時もより早く昼食を食べ終えた2人。暫く他愛も無い話をしていたが、次第にティアがモジモジとし始めた。そうして、覚悟を決めた様にサーシャに声をかける。
「…ねぇ、サーシャ。サーシャは、アンドレイ殿下の事を考えると、どんな気持ちになる?」
「そうね…。私はアンドレイの事を考えると、胸が苦しくなるわ」
「えっ…!苦しくなるの!?」
「えぇ。最初は、今何をしてるのかなって思うわ。そして次に、今は公務の時間で忙しいわねって思うの」
静かに話し出したサーシャに、ティアは真剣に耳を傾ける。
「その忙しい中で、一瞬でも私の事を思い出してくれてるかしら?少しでも私に会いたいと思ってくれてるかしらって考えるわ。私は会いたいって思っているけれど、彼も同じ事を思ってくれてるかしらって考えて、もしもそうでなかったら…」
「そう考えて、胸が苦しくなるの?」
ティアの言葉に、サーシャは頷く。
「あの人は、いずれこの国を導く王になる人。その為に、今彼はこの国をより良くする為に必死にいろんな事を国王陛下の元で学んでいるわ。そんな時に、恋愛なんて考えている暇なんてない事は分かっているの。そもそも、国の為の政略結婚をする身でアンドレイと想いが通じ合って恋人になれた事自体奇跡みたいなものって分かっているわ」
一瞬、「そんな事ない!」と口にしそうになった。しかし、本気で誰かを好きになった事の無いティアは、軽々しく否定する事は出来なかった。何よりサーシャ達は、将来国を背負うと言うティアが想像出来ない様な大きな責務を抱えている。色々としがらみが多く、自身の望みを押し殺さなければならない事もあるだろう。
「将来この国を背負う立場になる私達は、愛だの恋だのと言っている暇は無いの。頭ではちゃんと分かってるわ。………それでも、一瞬でも私に会いたいって思って欲しいと願ってしまうの」
サーシャはソッとティアの手を握る。
「会いたい、声を聞きたい、そばに居たい、力になりたい………愛してる。これが私の恋かな」
そう言ったサーシャの顔は、1人の恋する女性の顔をしていた。それは、誰かを好きになったことの無いティアでもハッキリと分かった。
「でも、恋なんて人によって様々だと思うよ。激しい恋もあれば、穏やかな恋もある。人の数だけ、恋があると思うの。だがら、クリスさんへの告白の返事は、ティアちゃんが思った事を伝えればいいと思う」
「ありがとう、サーシャ」
優しく微笑むサーシャに、ティアは穏やかな気持ちになった。
ーーしかし次の瞬間。
(………………ん?クリスへの返事…?)
ボンッ!と一気に顔が赤くなるのだった。
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