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No.20 知り合い…らしいです
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目敏く莉緒の変化に気が付いたアルスが、素早く背後から近付いてきて声をかけて来る。
(タ、タイミングが悪すぎる…!)
余りのタイミングの悪さに、莉緒はどう答えて良いか分からなくなる。そんないつもと様子の違う莉緒に気付いたアルスは、何かに感づいた様に低い声で尋ねる。
「………ねぇ、リオちゃん。もしかして、この男がこの間の…?」
「ち、ち、ちちち、違います!」
慌てて否定するが、その態度は誰がどう見ても嘘だと分かった。
「ふーん、コイツがね…」
そうして、冷ややかに男を見つめるアルス。
ーーその時だった。
「アルス様…」
男が、アルスの名前を呟いたのは。
「えっ?」
(アルス様?)
アルスの名前を知っていると言う事は、目の前の男性はアルスを知っていると言うこと。しかも、アルスを様付けで呼ぶと言うことは、アルスは彼よりも偉い上司、もしくは身分の高い人物と言う事だ。
(そう言えば、私アルスさんの事何も知らない…)
知っているのは、料理が上手で気遣いが出来て優しい。そして、莉緒をご主人様だと認識している事。
アルスと一緒に住み始めて1ヶ月近く経つ。
その間、アルスの事を少しでも知ろうと何度か質問をした。だがアルスは、のらりくらりと質問には答えずに別の話にすり替えてしまう。それが何度か続けば、鈍い莉緒だってアルスが答えたくないのだと気が付く。だから、莉緒はそれ以来アルスに個人的な事を質問するのはやめていた。
「あ…?誰だお前」
初めて聞く様なドスの利いた低い声を出しながら、アルスはギュッと莉緒を抱きしめる。食堂には、ピンッ!と張り詰めた空気が漂う。
「もう一度聞く、お前誰だ」
その言葉に、男性はローブの中から手を出し右手の人差し指に付けている銀の指輪を見せる。その指輪を見て、アルスはピクッと反応する。
「私は、第二部隊のダグラスと言います」
「第二…。此処にはお前だけか?」
「いえ、同じ部隊のティナという者と一緒です」
意味が分からない二人のやり取りを聞きながら、莉緒は困惑していた。
(アルスさんの知り合い…みたい。アルスさんを探しにきた…んだよね?)
という事は、アルスはこの町から出ていくのだろうか。考えても何も分からず、莉緒は唯アルスの腕の中でジッとしていた。
「第一の誰かに連絡したのか」
「いえ、まだです。アルス様だと確定するまで不要な報告は控える様にとの事でしたので」
「ギルの奴か。アイツらしい効率重視の方法だな」
「アルス様、皆が貴方を探しています。どうかお戻り下さい」
ダグラスと名乗った男性は、懇願する様にアルスに言った。しかし、アルスの口から出た言葉はダグラスの望んだ言葉では無かった。
「嫌だね、俺は此処から動かない。アイツらには、俺は死んだと伝えろ」
「アルス様!?」
アルスがそう言った瞬間、入り口の方から女性の悲鳴の様な声が聞こえて来た。声の方を見ると、そこにはダグラスと同じ様に黒いローブを着た金髪美女が立っていたのだった。
(タ、タイミングが悪すぎる…!)
余りのタイミングの悪さに、莉緒はどう答えて良いか分からなくなる。そんないつもと様子の違う莉緒に気付いたアルスは、何かに感づいた様に低い声で尋ねる。
「………ねぇ、リオちゃん。もしかして、この男がこの間の…?」
「ち、ち、ちちち、違います!」
慌てて否定するが、その態度は誰がどう見ても嘘だと分かった。
「ふーん、コイツがね…」
そうして、冷ややかに男を見つめるアルス。
ーーその時だった。
「アルス様…」
男が、アルスの名前を呟いたのは。
「えっ?」
(アルス様?)
アルスの名前を知っていると言う事は、目の前の男性はアルスを知っていると言うこと。しかも、アルスを様付けで呼ぶと言うことは、アルスは彼よりも偉い上司、もしくは身分の高い人物と言う事だ。
(そう言えば、私アルスさんの事何も知らない…)
知っているのは、料理が上手で気遣いが出来て優しい。そして、莉緒をご主人様だと認識している事。
アルスと一緒に住み始めて1ヶ月近く経つ。
その間、アルスの事を少しでも知ろうと何度か質問をした。だがアルスは、のらりくらりと質問には答えずに別の話にすり替えてしまう。それが何度か続けば、鈍い莉緒だってアルスが答えたくないのだと気が付く。だから、莉緒はそれ以来アルスに個人的な事を質問するのはやめていた。
「あ…?誰だお前」
初めて聞く様なドスの利いた低い声を出しながら、アルスはギュッと莉緒を抱きしめる。食堂には、ピンッ!と張り詰めた空気が漂う。
「もう一度聞く、お前誰だ」
その言葉に、男性はローブの中から手を出し右手の人差し指に付けている銀の指輪を見せる。その指輪を見て、アルスはピクッと反応する。
「私は、第二部隊のダグラスと言います」
「第二…。此処にはお前だけか?」
「いえ、同じ部隊のティナという者と一緒です」
意味が分からない二人のやり取りを聞きながら、莉緒は困惑していた。
(アルスさんの知り合い…みたい。アルスさんを探しにきた…んだよね?)
という事は、アルスはこの町から出ていくのだろうか。考えても何も分からず、莉緒は唯アルスの腕の中でジッとしていた。
「第一の誰かに連絡したのか」
「いえ、まだです。アルス様だと確定するまで不要な報告は控える様にとの事でしたので」
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「アルス様、皆が貴方を探しています。どうかお戻り下さい」
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「嫌だね、俺は此処から動かない。アイツらには、俺は死んだと伝えろ」
「アルス様!?」
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