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第1章
有名神でした
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「マリオンさん。この度は、僕を助けてくれて、本当にありがとうございます」
そう言って、アルミンはマリオンにお礼を言う。すると、アルミンの背後にいた片目に傷のある男性がマリオンの前に進み出る。歳の頃は、30代半ばくらいの鍛え抜かれた身体の男性だった。
「私の名前はガルシュと言う。此度は、王……アル様を助けてくれてありがとう。感謝する」
そう言って、深く頭を下げるガルシュ。彼の握り込まれた拳は小さく震えている。恐らく、彼はアルミンの護衛なのだろう。それなのに、自身の護衛対象であるアルミンを守れなかった事を深く後悔して、自身に怒りを覚えて震えているのだろう。
暫くして、頭を上げたガルシュは何も言わないマリオンを見て不思議そうに首を傾げる。他の者達も、ガルシュを見てピクリとも動かないマリオンを不思議そうに見つめる。
ーーしかし、マリオンはそれどころでは無い。
(めっちゃ、目があってる…)
マリオンは現在、ガルシュの背後に浮かんでいる一人の男とがっつり目が合っていた。赤い髪に髭を生やした筋骨隆々の男だ。腰に豪華な布を巻き付け、キラキラとした宝石を身に付けるその男は、宙に胡座をかきながら前のめりになってマリオンをガン見している。
ソロ~と不自然にならない様に視線を逸らすが、男は直ぐにマリオンの視線の先に移動する。今は、ガルシュの胸の辺りから身体を突き出してこちらを見ている。
(ガルシュさんの胸から、筋骨隆々の男が生えてる…)
間違いなく、目の前の男にはマリオンが見えている事はバレている。そう確信した時、男はニカっと笑いながら話しかけて来た。
『ようっ!俺はガンダルって言うんだ。よろしくな!』
男の自己紹介に、マリオンは遠い目をする。
(ガンダルって……)
とても聞き覚えがある。
いや、そんなモノでは無い。
ーーガンダルとは、この世界の戦いの神だ。
世間には、燃える炎の様な髪を靡かせ戦場を駆ける勇猛果敢な戦神として知られている。その他にも、妻である豊穣の女神ルティアナを愛する愛妻家としても。
(へぇ~、本物って髭が生えてるんだ)
『まさか、加護を与えられても無い、ましてや神託を聞ける人でも無いのに俺の声が聞こえる人間が居るなんてなぁ~。しかも、姿も見える……。いや~、長生きはするもんだな!』
カラカラと楽しそうに笑うガンダル神に、マリオンは引き攣った顔になる。
「………?どうしたんですか、マリオン?」
「うわぁ!マリオン、なに変な顔してるんだよ?ビビるじゃねーか!」
「マリオンさん?」
ガス、テイル、アルミンがそれぞれ聞いてくる。自身の胸の辺りを見ながら引き攣った顔をするマリオンを見て、ガルシュは困惑の顔をする。
だが、言える訳が無い。
ガルシュの胸から、戦いの神ガンダルが生えているなんて……。
(絶対に言えない…)
「な、何でもないです。ちょっと顔が痒くって…」
マリオンは、何とか苦しい言い訳をする。
すると、ガンダルがマリオンに話しかけてくる。
『何だ、顔が痒いのか?馬鹿だなぁ~!顔が痒いならかけばいいだろ?何で我慢なんてしてんだ?変な人間だな』
ーーお前のせいだよ!!
そう心の中で怒鳴る。
せっかく人が無理矢理言い訳を考えたのに、この神は人の気も知らないで…。
マリオンは、痛み出した頭を抱えながら目の前の神の事は無視する事にした。
そう言って、アルミンはマリオンにお礼を言う。すると、アルミンの背後にいた片目に傷のある男性がマリオンの前に進み出る。歳の頃は、30代半ばくらいの鍛え抜かれた身体の男性だった。
「私の名前はガルシュと言う。此度は、王……アル様を助けてくれてありがとう。感謝する」
そう言って、深く頭を下げるガルシュ。彼の握り込まれた拳は小さく震えている。恐らく、彼はアルミンの護衛なのだろう。それなのに、自身の護衛対象であるアルミンを守れなかった事を深く後悔して、自身に怒りを覚えて震えているのだろう。
暫くして、頭を上げたガルシュは何も言わないマリオンを見て不思議そうに首を傾げる。他の者達も、ガルシュを見てピクリとも動かないマリオンを不思議そうに見つめる。
ーーしかし、マリオンはそれどころでは無い。
(めっちゃ、目があってる…)
マリオンは現在、ガルシュの背後に浮かんでいる一人の男とがっつり目が合っていた。赤い髪に髭を生やした筋骨隆々の男だ。腰に豪華な布を巻き付け、キラキラとした宝石を身に付けるその男は、宙に胡座をかきながら前のめりになってマリオンをガン見している。
ソロ~と不自然にならない様に視線を逸らすが、男は直ぐにマリオンの視線の先に移動する。今は、ガルシュの胸の辺りから身体を突き出してこちらを見ている。
(ガルシュさんの胸から、筋骨隆々の男が生えてる…)
間違いなく、目の前の男にはマリオンが見えている事はバレている。そう確信した時、男はニカっと笑いながら話しかけて来た。
『ようっ!俺はガンダルって言うんだ。よろしくな!』
男の自己紹介に、マリオンは遠い目をする。
(ガンダルって……)
とても聞き覚えがある。
いや、そんなモノでは無い。
ーーガンダルとは、この世界の戦いの神だ。
世間には、燃える炎の様な髪を靡かせ戦場を駆ける勇猛果敢な戦神として知られている。その他にも、妻である豊穣の女神ルティアナを愛する愛妻家としても。
(へぇ~、本物って髭が生えてるんだ)
『まさか、加護を与えられても無い、ましてや神託を聞ける人でも無いのに俺の声が聞こえる人間が居るなんてなぁ~。しかも、姿も見える……。いや~、長生きはするもんだな!』
カラカラと楽しそうに笑うガンダル神に、マリオンは引き攣った顔になる。
「………?どうしたんですか、マリオン?」
「うわぁ!マリオン、なに変な顔してるんだよ?ビビるじゃねーか!」
「マリオンさん?」
ガス、テイル、アルミンがそれぞれ聞いてくる。自身の胸の辺りを見ながら引き攣った顔をするマリオンを見て、ガルシュは困惑の顔をする。
だが、言える訳が無い。
ガルシュの胸から、戦いの神ガンダルが生えているなんて……。
(絶対に言えない…)
「な、何でもないです。ちょっと顔が痒くって…」
マリオンは、何とか苦しい言い訳をする。
すると、ガンダルがマリオンに話しかけてくる。
『何だ、顔が痒いのか?馬鹿だなぁ~!顔が痒いならかけばいいだろ?何で我慢なんてしてんだ?変な人間だな』
ーーお前のせいだよ!!
そう心の中で怒鳴る。
せっかく人が無理矢理言い訳を考えたのに、この神は人の気も知らないで…。
マリオンは、痛み出した頭を抱えながら目の前の神の事は無視する事にした。
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