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(本当に綺麗な場所ね。………所で、ティミアは何処かしら)
そう思いながら、薔薇園を歩いていると…。
「やっ、やめて下さい…!」
「!?」
奥の方から、ティミアの弱々しい叫び声が聞こえて来た。サーシャは、ドレスの裾をたくし上げて声の聞こえた方へと走り出す。
そうして、ティミアの声が聞こえた場所へ辿り着いたサーシャが見たものはーー。
「サ、サーシャ!」
「ん?誰だ?」
ティミアの長くてふわふわした髪を掴むサーシャ達と同じくらいの歳の男の子と、頭を押さえて蹲り涙目でこちらを見るティミアだった。
その光景を見た瞬間、サーシャはキレた。
「こんのクソガキが!!私の友達に何してやがんだ!」
「「!?」」
この時のサーシャを後のティミアは、「天使がいきなり日本のお面の鬼みたいな顔になった」と語る。
そんなことは露知らず、サーシャはティミアの髪を掴む男の子へと勢い良く駆け寄りドロップキックを決めた。
「ぐわっ……!」
男の子は、ティミアの髪から手を離し勢い良く後方へと吹き飛ぶ。そんな男の子には目もくれず、サーシャはティミアへと駆け寄る。
「ティミアっ!大丈夫?怪我してない?」
「う、うん。私は平気。でも、あの男の子が…」
チラチラと吹き飛んで動かない男の子を、ティミアは心配そうに見つめる。そんなティミアを「ティミア、優しい子!」と思いながらもバッサリと言い切る。
「あんなの気にしなくて良いわよ。それよりも、何があったの?」
「えっと…。私、人に酔っちゃって此処で休んでたの。そしたら、あの男の子が来てーー」
***
『ふぅ~。此処は落ち着くなぁ…』
『おい!此処で何をしている』
『っ!?』
『ん?お前は…』
『あ、あの….(どうしようっ!緊張して声が出ない!)』
『何だ?喋るならちゃんと話せよ!』
『え、えっと…、その…(怖い…!誰か助けて…)』
『おいっ!オレをちゃんと見ろ!』
『きゃっ……!』
***
「それで髪を掴まれた時に、サーシャが来てくれたの」
その話を聞いてサーシャは無言で立ち上がると、スタスタと未だ倒れている男の子に近寄る。そうして、ゴロンと足で男の子を仰向けにする。
「サ、サーシャ!?何する気なの!?」
足でそんな事をするサーシャに、ティミアが驚いた様に叫ぶ。
「大丈夫。ティミアは何の心配もしなくて良いから」
そう言ってにっこりと笑ったサーシャは、次の瞬間男の子をのお腹に足を乗せる。
「………おい、起きてんだろ?寝たフリとはいい度胸じゃねーか」
ティミアには聞こえない様に声を小さくしながら、ドスの効いた声で足元にいる男の子に声をかける。すると、「ビクッ!」とした振動が足から伝わると共に、男の子の顔が青くなりだらだらと汗をかき始めた。そんな男の子を見ながら、サーシャは彼に向かって普段の愛らしい声で話しかける。
「あら?起きなくてよろしいんですか?ひよこパンツをお履きの第二王子殿下」
その言葉に、勢い良くひよこパンツーー否、第二王子ガダルは目を開けたのだった。
そう思いながら、薔薇園を歩いていると…。
「やっ、やめて下さい…!」
「!?」
奥の方から、ティミアの弱々しい叫び声が聞こえて来た。サーシャは、ドレスの裾をたくし上げて声の聞こえた方へと走り出す。
そうして、ティミアの声が聞こえた場所へ辿り着いたサーシャが見たものはーー。
「サ、サーシャ!」
「ん?誰だ?」
ティミアの長くてふわふわした髪を掴むサーシャ達と同じくらいの歳の男の子と、頭を押さえて蹲り涙目でこちらを見るティミアだった。
その光景を見た瞬間、サーシャはキレた。
「こんのクソガキが!!私の友達に何してやがんだ!」
「「!?」」
この時のサーシャを後のティミアは、「天使がいきなり日本のお面の鬼みたいな顔になった」と語る。
そんなことは露知らず、サーシャはティミアの髪を掴む男の子へと勢い良く駆け寄りドロップキックを決めた。
「ぐわっ……!」
男の子は、ティミアの髪から手を離し勢い良く後方へと吹き飛ぶ。そんな男の子には目もくれず、サーシャはティミアへと駆け寄る。
「ティミアっ!大丈夫?怪我してない?」
「う、うん。私は平気。でも、あの男の子が…」
チラチラと吹き飛んで動かない男の子を、ティミアは心配そうに見つめる。そんなティミアを「ティミア、優しい子!」と思いながらもバッサリと言い切る。
「あんなの気にしなくて良いわよ。それよりも、何があったの?」
「えっと…。私、人に酔っちゃって此処で休んでたの。そしたら、あの男の子が来てーー」
***
『ふぅ~。此処は落ち着くなぁ…』
『おい!此処で何をしている』
『っ!?』
『ん?お前は…』
『あ、あの….(どうしようっ!緊張して声が出ない!)』
『何だ?喋るならちゃんと話せよ!』
『え、えっと…、その…(怖い…!誰か助けて…)』
『おいっ!オレをちゃんと見ろ!』
『きゃっ……!』
***
「それで髪を掴まれた時に、サーシャが来てくれたの」
その話を聞いてサーシャは無言で立ち上がると、スタスタと未だ倒れている男の子に近寄る。そうして、ゴロンと足で男の子を仰向けにする。
「サ、サーシャ!?何する気なの!?」
足でそんな事をするサーシャに、ティミアが驚いた様に叫ぶ。
「大丈夫。ティミアは何の心配もしなくて良いから」
そう言ってにっこりと笑ったサーシャは、次の瞬間男の子をのお腹に足を乗せる。
「………おい、起きてんだろ?寝たフリとはいい度胸じゃねーか」
ティミアには聞こえない様に声を小さくしながら、ドスの効いた声で足元にいる男の子に声をかける。すると、「ビクッ!」とした振動が足から伝わると共に、男の子の顔が青くなりだらだらと汗をかき始めた。そんな男の子を見ながら、サーシャは彼に向かって普段の愛らしい声で話しかける。
「あら?起きなくてよろしいんですか?ひよこパンツをお履きの第二王子殿下」
その言葉に、勢い良くひよこパンツーー否、第二王子ガダルは目を開けたのだった。
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