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18 ガダルside
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オレの名前は、ガダル・グラシェール。
このグラシェール王国の第二王子として生まれた。
賢王として名高い父に、その父を妻として王妃として支える母、そして次代の王として相応しいと思える尊敬する兄。ガダルは、とても恵まれた環境に生まれた。
この国の第二王子として生まれたガダルを、周りの大人は褒め称えた。
『ガダル王子は、陛下の生写しの様に似ていらっしゃる』
『本当に。金の髪に緑の瞳もそっくりだ』
『いずれ、クリス王子と二人でより良い国を築いて下さるだろう』
『流石、我が国の王子だ』
その様な言葉を聞かされて育ったガダルは、「自分は選ばれた素晴らしい人間」だと思い込むようになった。いずれ、あの素晴らしい兄を支えるべく生まれた特別な人間だと。現に、勉強や剣術も他の貴族の子供達より上だった。それが余計にガダルを調子づかせた。
そんなガダルが5歳になる頃、母ミレーヌが歳の近い貴族の子女を招いたお茶会を開く事になった。最初は、ガダルは嫌がった。つまらないお茶会に出るくらいなら、大好きな兄と剣の稽古をしたかったからだ。だが、兄にお茶会に参加しなさいと言われた為に、渋々参加する事にしたのだ。
そのお茶会で、ガダルは二重の意味で"運命の出会い"をする事になった。
ミレーヌと共に会場入りしたガダルは、挨拶に来る貴族達を見ながら既に飽き始めていた。貴族達のミレーヌへの挨拶はまだ終わらない。自分の紹介までまだ時間があった為、コッソリとミレーヌの側から離れる。
(オレの挨拶になるまでに戻れば、母上も怒らないよな!)
そう思いながら誰にも見つからない様に歩いていると、視界の端に何かが映る。それは、ふわふわとした柔らかい髪を持つ女の子の後ろ姿だった。そのふわふわは、人目を避ける様に奥にある薔薇園へと向かっていく。それに吸い寄せられる様に、ガダルは跡をついて行く。薔薇園に着くと、女の子は立ち止まりリラックスした様に身体から力が抜けるのが分かった。
「ふぅ~。此処は落ち着くなぁ…」
その声は、とても可愛らしかった。
どうしても顔が見たくなり、ガダルは大きな声で少女に話しかけた。
「おい!此処で何をしている」
「っ!?」
振り返った少女は、とても可愛らしい女の子だった。ふわふわの茶色い髪にガダルと同じ緑の瞳を持つ少しふっくらとした小動物の様な可愛らしい少女。ガダルは、一瞬にして少女に恋をした。
所謂一目惚れである。
「ん?お前は…」
少女の胸元の紋章の入ったブローチを見て、何か思い出しそうになる。だが、少女の声が聞こえて来て直ぐに意識は少女に向く。
「あ、あの…」
「何だ?喋るならちゃんと話せよ!」
所詮、まだまだ5歳のお子様であるガダル。好きな子に構って欲しくて意地悪する子供の様に…また、人の上に立つ王族としての本能の様に少女にマウントを取る様に大きな声を出してしまう。
「え、えっと…、その…」
ガダルの大声に怯えた少女は、ガダルから視線を逸らす。その事に、ガダルは苛立ちを覚えた。
「おいっ!オレをちゃんと見ろ!」
「きゃっ……!」
自身を見て欲しくて、少女のふわふわの髪を掴む。
ーーその時だった。
「こんのクソガキが!!私の友達に何してやがんだ!」
「「!?」」
そんな聞いた事もないガラの悪い言葉と共に、今まで経験した事の無い物凄い衝撃がガダルを襲う。そうして、ガダルは勢いよく後方へと吹き飛んだ。
これが、優しい天使の様なティミアと天使の皮を被った悪魔の様なサーシャとの出会いであった。
このグラシェール王国の第二王子として生まれた。
賢王として名高い父に、その父を妻として王妃として支える母、そして次代の王として相応しいと思える尊敬する兄。ガダルは、とても恵まれた環境に生まれた。
この国の第二王子として生まれたガダルを、周りの大人は褒め称えた。
『ガダル王子は、陛下の生写しの様に似ていらっしゃる』
『本当に。金の髪に緑の瞳もそっくりだ』
『いずれ、クリス王子と二人でより良い国を築いて下さるだろう』
『流石、我が国の王子だ』
その様な言葉を聞かされて育ったガダルは、「自分は選ばれた素晴らしい人間」だと思い込むようになった。いずれ、あの素晴らしい兄を支えるべく生まれた特別な人間だと。現に、勉強や剣術も他の貴族の子供達より上だった。それが余計にガダルを調子づかせた。
そんなガダルが5歳になる頃、母ミレーヌが歳の近い貴族の子女を招いたお茶会を開く事になった。最初は、ガダルは嫌がった。つまらないお茶会に出るくらいなら、大好きな兄と剣の稽古をしたかったからだ。だが、兄にお茶会に参加しなさいと言われた為に、渋々参加する事にしたのだ。
そのお茶会で、ガダルは二重の意味で"運命の出会い"をする事になった。
ミレーヌと共に会場入りしたガダルは、挨拶に来る貴族達を見ながら既に飽き始めていた。貴族達のミレーヌへの挨拶はまだ終わらない。自分の紹介までまだ時間があった為、コッソリとミレーヌの側から離れる。
(オレの挨拶になるまでに戻れば、母上も怒らないよな!)
そう思いながら誰にも見つからない様に歩いていると、視界の端に何かが映る。それは、ふわふわとした柔らかい髪を持つ女の子の後ろ姿だった。そのふわふわは、人目を避ける様に奥にある薔薇園へと向かっていく。それに吸い寄せられる様に、ガダルは跡をついて行く。薔薇園に着くと、女の子は立ち止まりリラックスした様に身体から力が抜けるのが分かった。
「ふぅ~。此処は落ち着くなぁ…」
その声は、とても可愛らしかった。
どうしても顔が見たくなり、ガダルは大きな声で少女に話しかけた。
「おい!此処で何をしている」
「っ!?」
振り返った少女は、とても可愛らしい女の子だった。ふわふわの茶色い髪にガダルと同じ緑の瞳を持つ少しふっくらとした小動物の様な可愛らしい少女。ガダルは、一瞬にして少女に恋をした。
所謂一目惚れである。
「ん?お前は…」
少女の胸元の紋章の入ったブローチを見て、何か思い出しそうになる。だが、少女の声が聞こえて来て直ぐに意識は少女に向く。
「あ、あの…」
「何だ?喋るならちゃんと話せよ!」
所詮、まだまだ5歳のお子様であるガダル。好きな子に構って欲しくて意地悪する子供の様に…また、人の上に立つ王族としての本能の様に少女にマウントを取る様に大きな声を出してしまう。
「え、えっと…、その…」
ガダルの大声に怯えた少女は、ガダルから視線を逸らす。その事に、ガダルは苛立ちを覚えた。
「おいっ!オレをちゃんと見ろ!」
「きゃっ……!」
自身を見て欲しくて、少女のふわふわの髪を掴む。
ーーその時だった。
「こんのクソガキが!!私の友達に何してやがんだ!」
「「!?」」
そんな聞いた事もないガラの悪い言葉と共に、今まで経験した事の無い物凄い衝撃がガダルを襲う。そうして、ガダルは勢いよく後方へと吹き飛んだ。
これが、優しい天使の様なティミアと天使の皮を被った悪魔の様なサーシャとの出会いであった。
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