極妻、乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生しちゃいました!

ハルン

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「もう、お父様ったら。いつも言ってますよね?人前で私の話をするのはやめて下さいって」
「どうしてだい?私は、私の可愛い天使がいかに可愛らしく聡明で天使なのかを皆に知って欲しくて、自慢したくて話しているだけだよ」

だから、それをやめて欲しいのだ。

「おや、ダリルじゃないか」
「ジルロ!」

そう言ってダリルに声をかけて来たのは、ティミアと同じ茶色の髪に緑の瞳のガタイの良い厳つい男性だった。

(この人がこの国の宰相のトールディン公爵様。……えっ?厳つくない?)

厳つい。驚く程に厳つい。
背も高く、がっしりとした体型の為にとても威圧感がある。前世での幹部クラスの組員と張り合える厳つさだ。正直、国の宰相では無く歴戦の戦士と言われた方が納得がいく。

(この人が、ティミアのお父様…)

正直、ティミアの可愛らしさは皆無だ。似ているのは髪と目の色位だ。

「元気だったか?最近は、忙しそうだな」
「まぁな、宰相としてやる事が沢山あるからな」

父親同士が話しているのを横目に、サーシャはティミアを探す。父親といると思っていたティミアが見当たらない。

(何処に行るんだろう…?)

キョロキョロと辺りを見渡すサーシャに、ジルロが話しかける。

「君がサーシャ嬢だね。ティミアから話は聞いているよ」
「初めまして、トールディン公爵様。サーシャと申します」
「よろしく。ティミアを探しているんだろう?あの子は、人に酔ったらしくてね。此処から少し先にある薔薇園に行ったよ」
「わかりました。お父様、私ティミアの所へ行って来ます」
「わかったよ。でも、直ぐに戻って来るんだよ?最後の貴族の挨拶が終わったら、ガダル様の紹介があるからね」
「うん」
「サーシャ嬢、これからもティミアをよろしく頼む」
「はい!」

ジルロの言葉に、サーシャは笑顔で頷く。そもそも、誰に言われるまでも無くティミアはサーシャの大切な友達なのだ。大切な友達を大事にするのは当たり前だ。

サーシャは、ジルロに教えられた薔薇園に向かう。お茶会の会場より奥にある薔薇園に向かう程に人気が無くなる。その代わり、薔薇の良い香りが辺りに漂う。そうして現れたのは、辺り一面に咲き誇る美しい青薔薇だった。

「良い香り…」

この薔薇園は、初代国王が王妃に送った薔薇園なのである。しかも、この薔薇園の薔薇はただの薔薇では無く、世界でも数ヶ所にしか咲かない特別な青薔薇なのだ。この青薔薇は育てるのが難しく、群生地から少しでも離すと、どんなに似た様な環境にしても立ち所に枯れてしまうのだ。
それなのに、薔薇はこの場所では枯れずに何百年も咲き誇っている。

その為、この薔薇園は『永遠の花園』と呼ばれているのだ。












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