極妻、乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生しちゃいました!

ハルン

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No.33

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「まぁまぁ。しょうがないよ」

そう言って、未だ文句を言うサーシャをティミアがなだめる。

「………まぁ、ティミアがそう言うなら」

渋々だが納得するサーシャに、ティミアはにっこりと笑って次の行き先を提案する。

「そうだ!次は洋服を見に行かない?」
「洋服?」
「うん。今度また街を歩くとき用の服が見たいの」

その言葉に、サーシャは自分達の着ている服を見る。街に出かける為にと、二人はこの日の為に用意したワンピースを着ていた。
だが、二人が来ているワンピースは誰が見ても上質な服だと一目でわかる物だった。

(どう見たって、良い所のお嬢さんって言う見た目だよね…)

これでは、目立ち過ぎてお忍びの意味が無い。

ーーそう思っていたサーシャ。

だが、どんなにボロボロの服を着ていたとしても彼女の美貌が衰える事はない。むしろ、そのみずぼらしい服がより一層彼女の美貌を引き立てるだろう。
つまり、彼女の美しい容姿では何を着ていても注目を集めるということだ。

「…そうね。これだと、とても平民には見えないわよね」
「うん。どう見てもお金持ちのお嬢様だよ」
「ふふっ。それに、護衛も付いてるしね」
「それね!一体、何処の世界に護衛の居る平民が居るのって話だよね」

そうやって二人で話しながら歩いていた時だった。

「やっと見つけたぞ!」

二人の背後から、そんな声が聞こえて来た。
護衛二人は、サッと二人を背後に庇い腰の剣に手を伸ばす。だが、直ぐに護衛の二人は警戒を解く。

それを不思議に思いながら護衛の背後から覗くと…。

「あら?ガダル殿下」

そこには、上質な服を着て偉そうに胸を張るこの国の第二王子殿下がいた。ガダルの背後には、二人の屈強な護衛。恐らく、王国騎士団の者達だろう。

「お久しぶりですね、殿下。最後にあったのは、あのお茶会以来ですね。………所で、殿下は何故この様な場所に?」
「ふ、ふんっ!オレは王族だからな!民の生活を知るのも、王族の務めだ!」

視線を泳がせながら答えるガダル。サーシャは、そんな彼をじーっと見つめる。

「ふ~~ん…」
「な、何だよ…」
「別に、何でもありませんわ。殿下は、民の事を考えていらっしゃるんですね。素敵ですわ」
「お、おう…」
「そんな殿下のお邪魔は出来ませんわ。私達はこれで失礼します。さ、ティミア行きましょう?」
「あ、うん。で、殿下、失礼します」
「ま、待て!待つんだ!」

ティミアの背中を押してこの場を去ろうとした時、ガダルが慌てた様に二人を引き留めたのだった。
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