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No.52 ルイスside
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「それでは殿下、本日は陛下からの重要な手紙をお持ちくださり誠にありがとうございました。帰りの馬車の中に、我が領地から取り寄せたブラックサーペントの皮革を乗せております。どうぞ、殿下のお好きな様にお使い下さい」
「本当ですか?それは嬉しいです。早速、帰ったら父上や母上に自慢しないと」
そろそろ帰る事となり、玄関前で挨拶をする二人の会話を聞いてルイスは内心驚愕していた。
(……おいおい、ブラックサーペントって言ったら、Aランクの魔物だぞ。その魔物の皮革って言ったら、とんでもない値段になるぞ?)
何より、そんな高価な品を土産として簡単に差し出す事の出来るダリルが凄い。
(この様子だと、あの『噂』は本当かもしれないな…)
ーーアベルシュタイン領に住む者は、小さな子供に至るまで生粋の戦闘民族である。
数年前、社交界で一時期流れた噂だ。
『アベルシュタイン領に住む者は、子供の頃から遊びと称して魔物を狩っている』
『自身の領地の者達を鍛えて、王家に反乱を起こすつもりだ』
『鍛えた領民達を兵士として、自領を一つの国として興すつもりでは?』
などと言う、様々な噂が立った。
それらの理由の一つとして、アベルシュタイン領から出る魔物の素材の多さが噂の原因だった。
別に、魔物の素材が出回る事自体は何もおかしくない。現に、他の領地でも魔物の素材は出回っている。
ーー問題なのは、その魔物の素材のランクの高さだ。
市場に出回るのは、大体がBランクの魔物の素材だ。偶にAランクの素材も出回るが、それも年に数回程だ。何故なら、Aランクの魔物は狩るのが難しいからだ。Aランクの魔物は、一体で小さな街なら簡単に破壊出来る力を持つ。そんなAランクの魔物を狩れる者など、この国には両手の数程しかいない。
それなのに、アベルシュタイン領から年に何度も高ランクの魔物の素材が王都の市場へと出回る。しかも、それらを狩ったのがアベルシュタイン領で生まれ地元で活動する無名の冒険者達だと言う。
ーー有名な高ランクの冒険者なら分かるが、無名の冒険者が?
そんな疑問を抱いた者が調べてみると、現在の有名な高ランク冒険者達のその半分程がアベルシュタイン領の出身と言う驚きの結果が出たのだった。
これらの出来事によって、その様な様々な噂が社交界で広まったのだ。
ーーしかし、その噂も直ぐに消える事となった。
何故なら、国王自らがその噂を否定したのだ。
『アベルシュタイン家の者は、全ての者が代々我が王家に忠誠を誓って来た。そんな彼等が、我が王家に牙を剥くなど絶対にあり得ない』
国王自らが「絶対にあり得ない」と断言した事によって、その噂を表沙汰に口にする者は居なくなった。だが、その噂は今でも人知れず囁かれているのだった。
「本当ですか?それは嬉しいです。早速、帰ったら父上や母上に自慢しないと」
そろそろ帰る事となり、玄関前で挨拶をする二人の会話を聞いてルイスは内心驚愕していた。
(……おいおい、ブラックサーペントって言ったら、Aランクの魔物だぞ。その魔物の皮革って言ったら、とんでもない値段になるぞ?)
何より、そんな高価な品を土産として簡単に差し出す事の出来るダリルが凄い。
(この様子だと、あの『噂』は本当かもしれないな…)
ーーアベルシュタイン領に住む者は、小さな子供に至るまで生粋の戦闘民族である。
数年前、社交界で一時期流れた噂だ。
『アベルシュタイン領に住む者は、子供の頃から遊びと称して魔物を狩っている』
『自身の領地の者達を鍛えて、王家に反乱を起こすつもりだ』
『鍛えた領民達を兵士として、自領を一つの国として興すつもりでは?』
などと言う、様々な噂が立った。
それらの理由の一つとして、アベルシュタイン領から出る魔物の素材の多さが噂の原因だった。
別に、魔物の素材が出回る事自体は何もおかしくない。現に、他の領地でも魔物の素材は出回っている。
ーー問題なのは、その魔物の素材のランクの高さだ。
市場に出回るのは、大体がBランクの魔物の素材だ。偶にAランクの素材も出回るが、それも年に数回程だ。何故なら、Aランクの魔物は狩るのが難しいからだ。Aランクの魔物は、一体で小さな街なら簡単に破壊出来る力を持つ。そんなAランクの魔物を狩れる者など、この国には両手の数程しかいない。
それなのに、アベルシュタイン領から年に何度も高ランクの魔物の素材が王都の市場へと出回る。しかも、それらを狩ったのがアベルシュタイン領で生まれ地元で活動する無名の冒険者達だと言う。
ーー有名な高ランクの冒険者なら分かるが、無名の冒険者が?
そんな疑問を抱いた者が調べてみると、現在の有名な高ランク冒険者達のその半分程がアベルシュタイン領の出身と言う驚きの結果が出たのだった。
これらの出来事によって、その様な様々な噂が社交界で広まったのだ。
ーーしかし、その噂も直ぐに消える事となった。
何故なら、国王自らがその噂を否定したのだ。
『アベルシュタイン家の者は、全ての者が代々我が王家に忠誠を誓って来た。そんな彼等が、我が王家に牙を剥くなど絶対にあり得ない』
国王自らが「絶対にあり得ない」と断言した事によって、その噂を表沙汰に口にする者は居なくなった。だが、その噂は今でも人知れず囁かれているのだった。
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