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No.85
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炎の様に赤い髪に緑の瞳の他の子よりも一段と整った顔をしたその少年は、誰かを探す様にキョロキョロと辺りを見回していた。
(隣の赤い髪の男性は、確か騎士団長のアンドレー・ハイマー伯爵)
がっしりと筋肉の付いた身体が礼服の上からでも分かるアンドレー・ハイマー伯爵は、代々騎士団長を輩出している有名なハイマー家の現当主だ。
(その伯爵にそっくりなのが、噂のドレイク・ハイマーね)
厳格で人格者で有名なハイマー伯爵の一人息子にして次期当主であるドレイク・ハイマー。
ーーしかし、このドレイクは別の意味で有名だった。
(粗暴で、直ぐに女の子を虐めるって噂があるけど…)
成る程、彼を見てサーシャは納得した。
(目が、圧倒的強者の傲慢さが滲んでる。………まぁ、無理も無いか)
ドレイクは、同年代の子供達に比べて一回り身体が大きかった。幼少期の子供のランク付けは、純粋な力による所が大きい。同年代よりも大きな身体に整った顔立ちに、全身から漂う自信に満ち溢れた雰囲気。彼は今、間違い無くヒエラルキーのトップに君臨しているだろう。
そんな御山の大将な彼を、何故ミランダはサーシャに視線で知らせたのか。
(彼に会うのは初めてだし、特に接点はない筈だけど…)
サーシャがそんな事を思っていると、ハイマー伯爵が息子を注意する。
「ドレイク、先程から何をそんなに辺りを見渡しているんだ」
「あっ、えっと…」
「此処には、招待されて来ているんだ。あまりみっともない真似はしない様に」
「………分かりました」
父親に注意され、渋々と言った感じで返事をするドレイク。しかし、やはり視線は辺りを見渡している。
(………ん?)
暫くドレイクを見ていて、サーシャはある事に気が付いた。
(彼…、あの女の子が連れて行かれた方を凄く気にしてるわ)
先程、騒ぎを起こした転生者の少女が連れて行かれた方をしきりに気にしているドレイク。しかし、隣のハイマー伯爵は全く気にしていない。それ何処か、知り合いと楽しそうに会話している。
(………もしかして、あの子をこの会場に入れる様に手引きしたのって、彼?)
そうだとしたら、ミランダがサーシャに彼の事を知らせたのにも納得が行く。様子を見るに、ハイマー伯爵は何も知らないのだろう。そもそも、厳格で人格者として有名なハイマー伯爵が、そんな事をする訳が無い。恐らく、ドレイクが勝手にした事なのだろう。
(これは、予想以上に面倒な事になる予感がする…)
この様な嫌な予感は、よく当たるのだ。
サーシャは、小さく溜息を付くのだった。
(隣の赤い髪の男性は、確か騎士団長のアンドレー・ハイマー伯爵)
がっしりと筋肉の付いた身体が礼服の上からでも分かるアンドレー・ハイマー伯爵は、代々騎士団長を輩出している有名なハイマー家の現当主だ。
(その伯爵にそっくりなのが、噂のドレイク・ハイマーね)
厳格で人格者で有名なハイマー伯爵の一人息子にして次期当主であるドレイク・ハイマー。
ーーしかし、このドレイクは別の意味で有名だった。
(粗暴で、直ぐに女の子を虐めるって噂があるけど…)
成る程、彼を見てサーシャは納得した。
(目が、圧倒的強者の傲慢さが滲んでる。………まぁ、無理も無いか)
ドレイクは、同年代の子供達に比べて一回り身体が大きかった。幼少期の子供のランク付けは、純粋な力による所が大きい。同年代よりも大きな身体に整った顔立ちに、全身から漂う自信に満ち溢れた雰囲気。彼は今、間違い無くヒエラルキーのトップに君臨しているだろう。
そんな御山の大将な彼を、何故ミランダはサーシャに視線で知らせたのか。
(彼に会うのは初めてだし、特に接点はない筈だけど…)
サーシャがそんな事を思っていると、ハイマー伯爵が息子を注意する。
「ドレイク、先程から何をそんなに辺りを見渡しているんだ」
「あっ、えっと…」
「此処には、招待されて来ているんだ。あまりみっともない真似はしない様に」
「………分かりました」
父親に注意され、渋々と言った感じで返事をするドレイク。しかし、やはり視線は辺りを見渡している。
(………ん?)
暫くドレイクを見ていて、サーシャはある事に気が付いた。
(彼…、あの女の子が連れて行かれた方を凄く気にしてるわ)
先程、騒ぎを起こした転生者の少女が連れて行かれた方をしきりに気にしているドレイク。しかし、隣のハイマー伯爵は全く気にしていない。それ何処か、知り合いと楽しそうに会話している。
(………もしかして、あの子をこの会場に入れる様に手引きしたのって、彼?)
そうだとしたら、ミランダがサーシャに彼の事を知らせたのにも納得が行く。様子を見るに、ハイマー伯爵は何も知らないのだろう。そもそも、厳格で人格者として有名なハイマー伯爵が、そんな事をする訳が無い。恐らく、ドレイクが勝手にした事なのだろう。
(これは、予想以上に面倒な事になる予感がする…)
この様な嫌な予感は、よく当たるのだ。
サーシャは、小さく溜息を付くのだった。
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