極妻、乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生しちゃいました!

ハルン

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No.90

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翌朝。

「うわぁ~、マジか…」

随分と日が高い位置で輝いている頃、サーシャは自身のベッドの上で思わずそんな声を漏らすら、
昨夜のパーティーにて、自分が思っていたより疲れていた為に、サーシャは生まれて初めて寝坊してしまったのだ。

「寝坊なんて、初めてしたわ…」

普段なら、サーシャ付きのメイドであるリラが起しに来るのだが…。

「………起こしに来てくれたけど、私は起きなかったのね」

サイドテーブルに置かれた未だ冷たい水と、寝る前には無かった瑞々しい薔薇の生けられた花瓶を見てサーシャは全てを察した。

(多分、一回で起きなかった私を好きなだけ寝かせておくように、お父様辺りが言ったわね)

そうでなければ、毎朝家族全員で朝食を取っているのにリラが起こさない訳が無い。サーシャがそう思っていると、ノックの音と共に扉が開き茶色い髪を清潔に纏めたリラが入って来た。

「サーシャ様、おはようございます」
「おはよう、リラ。起こしに来てくれたのに、起きなくてごめんね?」

謝るサーシャに、サイドテーブルに置かれていた水差しからコップに冷たい水を注ぎ、サーシャに手渡しながらリラは首を横に振る。

「大丈夫です。昨日は、多くの人と接したのでお疲れになったのでしょう。それに、旦那様より『好きなだけ寝かせておくように』との事でしたので」

やはり、サーシャの予想は当たっていた様だ。

「お父様って、本当に私に甘過ぎるわ…」
「まぁ…旦那様に限らず、奥様やアラン様、それに屋敷の使用人達全員がサーシャ様に甘いと思います」
「はっきりとそう言ってくれるのは、この家でリラだけよ」

そう言いながら、サーシャはベッドから降りる。
直ぐ様、リラが用意していた動き易い緑と白のワンピースをサーシャに着せる。そうして、ドレッサーの前にサーシャを座らせると、丁寧に髪を梳かしながら家族の予定を話す。

「本日、旦那様は宰相閣下にお会いに登城なさいました。奥様は、昨日のパーティーで知り合った御婦人方とのお茶会へ。アラン様は、何かクリス様から頼まれた用事があるらしく、つい先程お出掛けになられました。………本日は、この様な髪型は如何でしょうか?」

今日のサーシャの髪型は、サイドを残して緩く編み込まれた髪に白い花が挿してあった。

「うん、今日も凄く素敵だわ」
「ありがとうございます。お食事は、何時でも出来る様にしてあります。直ぐに食べられますか?」
「うん、寝過ぎてお腹ペコペコだわ」
「かしこまりました。直ぐにご用意致します」

そう言って部屋を出て行くリラを見送ってから、本日はどうやって過ごすか考えるサーシャ出会った。






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