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デビュタントしてから4ヶ月が経った。
既に何回かルークにエスコートしてもらい夜会に参加していた。昨夜も断れ無い夜会に遅く迄参加していたミレーナは、お昼近くに目を覚ました。
「はぁ…」
ぐっすりと寝た筈だが、ミレーナの気分は落ち込んでいた。
「やっぱり、勘違いじゃ無い……よね?」
***
それは昨夜の夜会での事。
婚約者であるルークのエスコートで参加した夜会で、キャロライン夫婦に出会った。別に、それ自体は不思議な事では無い。貴族の夜会では、余程の事が無い限り知り合いや仕事関係の貴族達が招待される。なので、知り合いに会うなんて普通の事だ。
実際、外交官の補佐をしているフィオール侯爵はその関係で様々な夜会に招待される。だから、ミレーナが今まで参加した夜会の殆どで挨拶している。
それ自体は、別に問題無い。
問題は、ルークだ。
何回目の夜会での事だっただろう。
フィオール侯爵夫婦や他の目ぼしい貴族達との挨拶を終えて壁際で休憩していた時だった。
『ルーク、少し席を外すわね』
『分かった、ここで待ってるよ』
ルークに断りを入れてからお手洗いに向かったミレーナは、直ぐに用を済ませてルークの元へと戻った。
『ルー…』
ルークを呼ぼうとした声は、途中で途切れる。ルークは、真剣な目で何処かをジッと見つめていた。
(何を見てるのかしら)
何気無くルークの視線の先を見て、ミレーナは息が詰まった。そこには、楽しそうに人と話すキャロラインの姿があった。
(何でキャロライン様を見てるの…?)
その姿に、忘れていたデビュタントでのルークの姿が思い浮かんだ。
(ーーって、私ったら!ただキャロライン様を見てただけで何を不安になってるのよ!)
たまたま、暇だったルークが知り合いを見てただけかも知れない。そう考えたミレーナは、不安な気持ちを振り払い今度こそルークに声をかける。
『お待たせ』
『いや、それほど待ってないよ』
その様子がいつものルークだった事に、知らず知らずのうちに安堵する。
(やっぱり、気の所為だったんだわ)
『じゃあ、そろそろ帰ろうか』
『えぇ。今度の夜会もエスコートをお願いしてもいい?』
『勿論だよ。でも、僕がエスコート出来ないときは伯爵に頼むんだよ?他の男に頼んだら駄目だからね』
『もう、分かってるわ。耳にタコが出来るくらい聞いたわよ』
そうやって、笑い合いながらその夜会を後にした。
ーーけれど、次に参加した夜会でミレーナの不安は無視出来ないものとなったのだった。
既に何回かルークにエスコートしてもらい夜会に参加していた。昨夜も断れ無い夜会に遅く迄参加していたミレーナは、お昼近くに目を覚ました。
「はぁ…」
ぐっすりと寝た筈だが、ミレーナの気分は落ち込んでいた。
「やっぱり、勘違いじゃ無い……よね?」
***
それは昨夜の夜会での事。
婚約者であるルークのエスコートで参加した夜会で、キャロライン夫婦に出会った。別に、それ自体は不思議な事では無い。貴族の夜会では、余程の事が無い限り知り合いや仕事関係の貴族達が招待される。なので、知り合いに会うなんて普通の事だ。
実際、外交官の補佐をしているフィオール侯爵はその関係で様々な夜会に招待される。だから、ミレーナが今まで参加した夜会の殆どで挨拶している。
それ自体は、別に問題無い。
問題は、ルークだ。
何回目の夜会での事だっただろう。
フィオール侯爵夫婦や他の目ぼしい貴族達との挨拶を終えて壁際で休憩していた時だった。
『ルーク、少し席を外すわね』
『分かった、ここで待ってるよ』
ルークに断りを入れてからお手洗いに向かったミレーナは、直ぐに用を済ませてルークの元へと戻った。
『ルー…』
ルークを呼ぼうとした声は、途中で途切れる。ルークは、真剣な目で何処かをジッと見つめていた。
(何を見てるのかしら)
何気無くルークの視線の先を見て、ミレーナは息が詰まった。そこには、楽しそうに人と話すキャロラインの姿があった。
(何でキャロライン様を見てるの…?)
その姿に、忘れていたデビュタントでのルークの姿が思い浮かんだ。
(ーーって、私ったら!ただキャロライン様を見てただけで何を不安になってるのよ!)
たまたま、暇だったルークが知り合いを見てただけかも知れない。そう考えたミレーナは、不安な気持ちを振り払い今度こそルークに声をかける。
『お待たせ』
『いや、それほど待ってないよ』
その様子がいつものルークだった事に、知らず知らずのうちに安堵する。
(やっぱり、気の所為だったんだわ)
『じゃあ、そろそろ帰ろうか』
『えぇ。今度の夜会もエスコートをお願いしてもいい?』
『勿論だよ。でも、僕がエスコート出来ないときは伯爵に頼むんだよ?他の男に頼んだら駄目だからね』
『もう、分かってるわ。耳にタコが出来るくらい聞いたわよ』
そうやって、笑い合いながらその夜会を後にした。
ーーけれど、次に参加した夜会でミレーナの不安は無視出来ないものとなったのだった。
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