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第1章

No.5

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「今日は、皆んなで真琴の誕生日と卒業のお祝いしような」

父が皆んなに聞こえる様に喋る。

「マコ姉、高校卒業したから一人暮らし始めるんだよね。いいなぁ~。私も、早く一人暮らしがしたいなぁ」

紗希が羨ましそうに話す。
だが、紗希が居なくなったら誰が料理をするのだろう。因みに、私は一応で母は料理が壊滅的だ。

「しょうがないでしょ?真琴の就職先が此処から遠いんだから」
「マコちゃん、いなくなっちゃうの?」

母の言葉に由香が不安げな瞳でこちらを見てくる。

「うん、でも偶に帰ってくるから。そしたらいっぱい遊ぼうね」
「うん!」

素直に頷く由香の頭を撫でてあげる。

「今日1日は、皆んなで一緒に買い物に行く予定だろ?ほら!ご飯食べた人から出掛ける準備しろ!」

パンパンと父が手を叩きながら話す。年少組の3人は、はしゃぎながら自身の部屋に向かう。

「ほら、マコ姉も食べたら準備して!お父さんとお母さんも!晃、食器洗うの手伝って」
「わかった」

テキパキと指示する紗希の姿は、大家族のお母さんの様な貫禄がある。

「10分後に玄関集合だからね!」
「は~い」

その後、きっかり10分後に皆んなが玄関に揃う。

「よし、行こうか」

父と母が歩き出し、その背後を私達が付いていく。


***


「マコちゃん、マコちゃん!楽しかったね!」

昼に行った水族館で買ったイルカのぬいぐるみを抱きしめ、興奮した様子で由香が話しかけてくる。

「1番サメがカッコよかったな!」
「カクレクマノミが1番可愛かったわ!」

圭太と圭子がそれぞれ話す。

「父さん、母さん。荷物重くない?」
「これくらい大丈夫だ」
「晃は本当に気が効くわね」
「本当だよね。あ~あ、うちのクラスの男子もこんだけ気が効けばなぁ。高校生より中学生の方が気が効くって何なのよ」

「本当、情け無い」と、紗希がぼやく。その時、その手にあるケーキの入った箱を軽く揺らす。

(やめて、ケーキが崩れる)

誕生日のケーキが崩れているのは勘弁して欲しい。
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