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ここまでご愛読いただきありがとうございます。
この次で一度完結に致します。
※今回の話について
ただの短編集として読みたい方は
読まないことをおすすめします。
一度完結には致しますが、少しお時間いただいて
続きを作成する予定でございます。
少々お待ちください。
---------------------------------------------
窓ひとつない真っ白な部屋にはベッドと椅子が一つずつあるだけ。生活に必要な調度品は何一つとして置かれていない。天蓋付きのベッドには白いレースのカーテンがかかり、まるでそれは外界との関係を遮断するように覆っている。
そんなベッドにはブラウン色の肩まである髪に、紫色の瞳を持つ少女が横たわっている。身体が弱いのか、ネグリジェから覗く腕は真っ白で簡単に折れてしまうのではないかと心配になるくらいに細かった。
そのベッドとレースのカーテンで隔てられた外界には、一人の少年が椅子に腰をかけている。黒髪のショートヘアに赤色の瞳の少年は額に翡翠が埋め込まれている。少年の名前はスーリヤ。
そのスーリヤは手に一冊の本を持っている。
「そこに想う相手がいることを確かめるように…。おしまい。」
まだページの途中だったがその本を閉じて膝の上に乗せた。少年が浮かない顔をしているのに対して、ベッドに横たわる少女は天蓋を見つめて、興奮冷めやらぬと言う雰囲気で感嘆の息を漏らす。目をキラキラと輝かせているようにも見えた。
「はぁ…良かったぁ。二人は結ばれたのね。とてもドキドキしました。」
「気に入ってもらえたかな。」
「ええ、とても。魔族と人間の恋…素敵ね。そうは思わない?スーリヤ。」
「そうですね。」
「まるで、私たちのようだわ。」
「そうですね…」
何とかスーリやは微笑んで見せた。こんな場所にいてそんなことが言える彼女は凄いと思う。
「メリル。気分は大丈夫かい?」
「ええ、今日はとても気分が良いの。」
「それは良かった。じゃあ、夕食の食事の準備をしてくるよ。少し時間がかかるから休んでいて。」
「いつもありがとう、スーリヤ。」
そんな言葉を言われるような奴ではないと、スーリヤは内心で自分を責める。
メリルは自分を慕ってくれている。だからこそ彼女を娶ったのだ。
だが、その結果がこの様だ。
周りのもう反対を押し切り祝言を挙げたせいで、彼女の味方になるものはいなかった。
食事もスーリヤたちが食べるものは人間にとって毒でしかない。だから、特別に用意させたもので、スーリヤ自身の手で作っているのだ。
メリルの部屋を出て、階段を降りていくスーリヤ。
メリルのいる部屋は魔法で保護されており、この階段を使わなければ入ることはできない。この階段も魔法がかけられており、侵入者を排除する仕組みになっている。それも、メリルを守るために用意したものだ。他のものに襲われないようにと…。
全ての階段を降りると、普通の一軒家のような部屋が広がっている。スーリヤの家は誰がどう見ても普通の一軒家で間違いない。魔法で螺旋階段を造り上げているのだ。空間をねじ曲げている。
スーリヤは一つの古い扉に手を掛ける。重く開きにくい扉は、音を立ててゆっくりと開かれた。その先に映るのは小さな部屋で、これでもかと言う大量の本が並んでいた。そして、中央に一脚の椅子と机が置かれている。
スーリヤは手にしていた本を椅子に放り投げると、机に乱雑に置かれた本に目を落とす。
それは今までメリルに読んできた本だった。その中の一つを手に取る。それは子供向けに書かれたおとぎ話で、ずっと思いを寄せてきた騎士と結ばれたいと願った少女が、婚約者にフラれるために奮闘して、最後は念願叶って婚約者にフラれるのだが、その事実を知った父親が少女の愛した騎士を殺してしまうと言う話だ。親の言いつけは守りなさいと、子どもに教えるために作られた魔族世界の物語だった。
その他にも…魔王と婚約した力なき魔族が周りの魔族たちに虐められるという話がある。彼女は最後まで魔力や能力を使いこなすことができずに、魔王にも相手にされず彼の配下に殺されてしまう。これは、力を誇示して相手を畏怖させなければ生きていけないのだという教えを示している。
「…次はどうするかな。」
スーリヤは本棚に置かれた本を眺めながら考える。
この魔界には人間にとって楽しいと思えるような本はない。だから、人間界にいた頃に読んだ本を思い出しながら、似たような明るい話にスーリヤが書き換えていた。少しでもメリルに喜んでもらいたかったから。
だけど、先ほど読んだ物語は止めておけば良かったと後悔している。あれはまだ話の途中で、その後エルヴァは寿命がないことの本当の辛さを知るのだ。ルネはヒト族で寿命が短い。
彼女を失った後の彼の絶望を書いた本。これは、言うまでもなく異種属間の恋を戒めるための物語だ。自分の胸に突き刺さる。
メリルは自分の意思でスーリヤの妻になることを望んだ。そして、幸せにすると誓ったのは自分だ。
だが、魔界の外は彼女にとって毒と同じだ。本来であればそれを浄化してくれる魔石があるのだが、これがなかなかに見つからない代物なのだ。メリルから目を離すわけにもいかないから、探しに行くことも難しい。買い出しに行く際に、街の店を見てはいるが売られていることもない。
身体を動かせず、満足なご飯も食べさせることもできず、日に日に痩せていく彼女を見るのは辛かった。だからせめて彼女の笑顔を絶やさないようにと本を読みはじめたのだ。
「よし、次はこれだな。」
そう言ってスーリヤが手にしたのは、己の婚約者が自分の兄を好きになってしまう話だ。結局、最後は兄の元に行ってしまう婚約者を殺してしまう物語。
さて、これをどうやって書き換えようか…と、スーリヤはその本を手にして書斎を出る。キッチンに向かうと、本を片手に考えながらも料理を始めたのだった。
これは、スーリヤにとって長い長い物語。スーリヤは終わりの見えないこの物語にため息をついたのだった。
スーリヤは過保護だと、メリルは思う。
いつもこの部屋から出してもらえず、退屈だなと彼女は思っていた。もちろん、それがメリル自身のためにスーリヤが考えてくれていることだと痛いほど理解している。だから、メリルも大人しくしているのだ。
それに、スーリヤの話してくれる物語は面白くて、メリルは色々な話にワクワクしていた。魔界にもこんな物語があるのかと驚きだった。
だけど、不思議なことにスーリヤはその本を一切見せてくれないのだ。初めはスーリヤがただ一緒にいたいからしていることかとも思ったが、そうではなさそうだと最近では思う。
なら、何のために?と、疑問には思ったが、彼を困らせたくはなくてメリルは聞くことができなかった。
そんなことを考えていると、扉が開かれる。フワッと食欲のそそるよい香りが部屋中に広がった。
「お待たせ。今日はパンとシチューだよ。メリルでも食べられる肉が売っていたんだ。」
「まぁ、それは楽しみね。」
肉なんて何か月ぶりだろうか。と、メリルは思う。
普段は野菜と主食だけの質素なもの。お腹いっぱいに食べられることもほとんどない。
食べる量が足りず、ここに来てから痩せていく自分を見てスーリヤに申し訳ないと思った。彼はそう言うことをとても気にしているだろうからと、メリルは胸を痛める。
自分のわがままで、彼をここに縛り付けてしまっているという自覚もあり、メリルは結婚を望んだことを後悔することも少なくなかった。
だけど、彼と離れることもまた身を引き裂かれる思いになるとメリルは確信できた。
だからメリルが結婚したことを本当の意味で後悔することはなかった。
「さぁ、どうぞ召し上がれ。」
「いただきます。」
メリルの目の前には野菜や肉がたっぷりと、入ったシチューと拳くらいの大きさのパンが2つ。まずは、シチューをスプーンですくって口に運ぶ。温かいミルクが口の中で香り、懐かしい気持ちにしてくれる。肉はホロホロになるまで煮込まれており、口の中で溶けてなくなった。
「凄く美味しいわ。」
「本当?メリルの好きな味にしたつもりだけど、違ってたらどうしようかと不安だったんだ。」
魔族とヒト族はそもそも味覚の感じ方も違う。ヒト族は色々な味覚があり、料理というものを味わって食べるが、魔族は毒かどうかだけが分かれば良かった。料理なんてこともほとんどの魔族はしていないだろう。ただ獣を喰らい、胸焼けするから葉や草を食べるのだ。メリルはスーリヤからそう聞いていた。
「大丈夫よ。とても好きな味だわ。スーリヤも食べてみる?」
「僕はいいよ。メリルが食べて。」
断られてしまいメリルは胸の辺りがキュッと痛んだ。人間界で出会った頃は食事もおやつも一緒に食べていたのに、今では一人で食事をするのが当たり前になっていた。スーリヤは魔族の食べ物を食べているようだが、見た目が良くないからと一緒に食事することを嫌がった。
昔みたいにヒト族の食事を一緒に取れたら良かったのだが、ヒト族が食べられる食材は貴重なのだ。だから仕方ないのだと、メリルは寂しげな瞳をする。
でも、それはスーリヤに見られる前に微笑みに変えて、再びシチューを口に運んだ。
「ねぇ、スーリヤ。」
「うん?」
食事を終えて片付けているスーリヤにメリルは声をかける。スーリヤは手を止めて、優しい視線を向ける。
「前に浄化する魔石があれば、ここの環境でも普通に過ごせて、ヒト族だと食べられないものも食べられるようになるって話をしていたよね?」
「うん。」
何を言われるのかと、スーリヤは少し緊張気味な顔をしている。
「それって、探しに行かないといけないものなんでしょ?」
「う、うん。」
「探しに行けばすぐに見つかるもの?」
「…確証はないけど、心当たりがあるんだ。だから、そんなに時間はかからないで見つけられると思ってる。」
メリルはその答えを聞いて覚悟を決めた。
「なら、スーリヤ。申し訳ないのだけれど、それを取ってきてくれないかしら。」
ハッとメリルに驚いた顔を向けるスーリヤ。
「…ダメかな?」
「ダメかなって…その間の生活はどうするの?食事は?」
「私、光の魔法が得意なのよ。スーリヤがこの部屋に張ってくれてる魔法なら使えるわ。だから、生活は問題ない。食事は、食材を買いだめしてもらわなきゃいけないけど、それで何とかできるわ。」
「不安だよ。もし、魔族が襲ってきたら?」
「私、全ての属性を操るノーヴェよ。問題ないわ。」
自分の魔力量がこんなにも頼もしく感じる日が来るなんて思いもしなかった。9つの属性を操るノーヴェが生まれたのは、ヒト族では私が初めてだ。
だからこそ、ヒト族に忌み嫌われ人間界を追われたんだ。
「で、でも。」
まだ、納得いかないスーリヤが反論しようとするので、彼を動かす魔性の言葉をメリルは紡いだ。
「私、スーリヤといつでも一緒にいられるようになりたい。それに、食事も一緒に取りたいの。」
メリルの言葉に嘘はない。
「…。」
「ダメかな?」
だめ押しをされて、スーリヤは探してくると頷くしかなかった。
あれからスーリヤは忙しくしていた。長旅の準備に私の方の準備もすべてやってくれている。食材は保存食を買いだめして、一年は買わなくても良いくらいの量だった。
お金が心許ないと聞いていたので、おそらくは何かを売らせてしまったのだろうとメリルは思った。
「じゃあ、行ってくるよ。」
「うん、気を付けてね。」
メリルは光の魔法で自分の周りにだけ加護の衣を纏っている。こうすることで、この環境でも動き回ることができる。ただ、固定しない魔法は魔力消費が膨大なので長時間は難しい。
「念のため扉に細工をして行くから、触ってはダメだよ。」
「分かった。」
「魔族の気配を感じたら、いつもの部屋に隠れてね。空間をねじ曲げて造っている部屋だから、あそこなら余程じゃなきゃ見つからない。」
「分かったわ。」
「それと、いつもの部屋には全体に瘴気避けの結界を張ってあるから、必要な時以外は下に降りないでよ。魔力消費し過ぎて倒れたらいけないからね。」
「分かったわ…心配しすぎよ。」
メリルの言葉にスーリヤは情けない顔をする。
「だって…」
「大丈夫。」
メリルは魔法を解く。
「な、何を!?」
慌てるスーリヤにメリルは微笑みを向けて彼を引き寄せて抱き締めた。そして、メリルはスーリヤに優しくキスをした。
瘴気でピリピリと肌に小さな痛みを感じるが、それよりも触れ合う肌の優しさが愛おしいとメリルは思う。
だけど彼をあまり不安にするのも良くないと、彼女はすぐに離れて結界を張り直す。そんな様子をスーリヤは複雑な顔をして見ている。
そんな顔をしないでと、メリルは思わず手を伸ばそうとして触れる前に止める。
「しばらく会えないから、これくらいは…ね。」
言葉だけに止めて、伸ばした手は何にも触れずに戻る。
加護の結界は魔族にとって毒となる。なのに、スーリヤはメリルのために、結界魔法を応用してこれを作り出したのだ。
だから、いつもメリルがいる部屋も彼自身がかけた魔法に守られているのだが、彼にとっては辛いはずなのにそんな様子も見せずに一緒にいてくれた。
だけど、触れ合うことは出来なかったから…と、メリルは思う。
スーリヤもまた同じ気持ちだった。だから、正直に言うと胸が飛び上がり気分は高揚していた。彼女が瘴気にあてられてそんなこと思うなと、咎める自分もいるが、それよりも彼女を愛しいと思う気持ちの方が勝っていた。
こういう時、どういう顔をしたら良いのか分からず困る。すると、メリルが手を伸ばして止める。少し恥ずかしそうに頬を染めながら紡いだ言葉に、もう毒だとか関係なしに抱き締めたい衝動にかられる。
ぐっと手を握り混んでスーリヤはその衝動を押さえ込む。
「大丈夫。心配いらないわ。魔石をよろしくね、スーリヤ。」
「ああ、分かったよ、メリル。…帰ったら一緒に食事をしようね。」
ええ。と、嬉しそうな微笑みを見て、スーリヤは覚悟を決めて家を出たのだった。
残されたメリルはふぅ…とため息を漏らす。
寂しくないと言えば嘘になるが、これからのことを考えれば魔石があった方が良いのだから、自分が我慢すれば良いだけのことだと理解はしている。
だけど、ここの整理がつかず、すぐに部屋に戻る気持ちにはなれなくて、いつもスーリヤが過ごしている部屋を見て回った。
そして、彼女は一つの古い扉を見つけた。
「何かしら?」
ノブを回すと扉は古めかしい音を立てながらも開く。そして、メリルは目を見張った。
「本がこんなに…」
そう思いながらメリルは部屋を眺める。そして、机に乱雑に置かれた本が目に入った。そこには、スーリヤが話してくれた本が置いてあった。本はどれも人間界とは全く違った表紙をしていたから、覚えていたのだ。
スーリヤはメリルが本を読むことを嫌がっていたのを彼女自身知っていたが、今はそのスーリヤもいないと、メリルは一番上にあった本を開く。
メリルは少しでもスーリヤたち魔族を知りたくて、勉強していたので魔族の言葉や文字は問題なく読める。彼女が驚いたのはそこに書かれていたのが、今までスーリヤが話してくれた物語とは違った結末だと言うことだ。
そして、本の所々にスーリヤの手書きのメモが挟まっていた。そこには、メリルが聞いたのと同じ物語が書かれている。
それで彼女は理解した。スーリヤが自分のためにどれ程の時間と労力を惜しんでくれたのかを。そして、彼にどれ程愛されているのかを。
嬉しさで涙が止まらなかった。だけど、同時に彼の人生を壊してしまっているのだと申し訳ない気持ちにもなる。
「私はもらってばかりね。」
ひとしきり泣いたメリルは、スーリヤのために何か返してあげたいと思った。何か出来ないかと大量に並んだ本を眺めて、椅子に置かれた一冊の本に気づいた。
その本にはメモ書きが挟まっておらず、しおりだけ挟んであった。そのページを開いて、メリルはこれが何の物語か理解した。
「星空の約束…」
そして、この物語が決してハッピーエンドではないことも。こればかりは、スーリヤでもハッピーエンドの話が思い付かなかったのだと理解する。あまりにも、自分の状況と酷似しているのだ。だから、話の途中で終わりにしたのだろうと、メリルは思う。
真面目なスーリヤには、これのハッピーエンドを綴るのは難しいだろうなと思ったら、メリルの泣き顔に笑みが溢れる。
「なら、私がハッピーエンドにしちゃえば良いんだわ。きっと、喜んでくれるわよ。」
メリルはそう意気込んでその本と他数冊を選んで手にすると、部屋へと戻っていった。
この次で一度完結に致します。
※今回の話について
ただの短編集として読みたい方は
読まないことをおすすめします。
一度完結には致しますが、少しお時間いただいて
続きを作成する予定でございます。
少々お待ちください。
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窓ひとつない真っ白な部屋にはベッドと椅子が一つずつあるだけ。生活に必要な調度品は何一つとして置かれていない。天蓋付きのベッドには白いレースのカーテンがかかり、まるでそれは外界との関係を遮断するように覆っている。
そんなベッドにはブラウン色の肩まである髪に、紫色の瞳を持つ少女が横たわっている。身体が弱いのか、ネグリジェから覗く腕は真っ白で簡単に折れてしまうのではないかと心配になるくらいに細かった。
そのベッドとレースのカーテンで隔てられた外界には、一人の少年が椅子に腰をかけている。黒髪のショートヘアに赤色の瞳の少年は額に翡翠が埋め込まれている。少年の名前はスーリヤ。
そのスーリヤは手に一冊の本を持っている。
「そこに想う相手がいることを確かめるように…。おしまい。」
まだページの途中だったがその本を閉じて膝の上に乗せた。少年が浮かない顔をしているのに対して、ベッドに横たわる少女は天蓋を見つめて、興奮冷めやらぬと言う雰囲気で感嘆の息を漏らす。目をキラキラと輝かせているようにも見えた。
「はぁ…良かったぁ。二人は結ばれたのね。とてもドキドキしました。」
「気に入ってもらえたかな。」
「ええ、とても。魔族と人間の恋…素敵ね。そうは思わない?スーリヤ。」
「そうですね。」
「まるで、私たちのようだわ。」
「そうですね…」
何とかスーリやは微笑んで見せた。こんな場所にいてそんなことが言える彼女は凄いと思う。
「メリル。気分は大丈夫かい?」
「ええ、今日はとても気分が良いの。」
「それは良かった。じゃあ、夕食の食事の準備をしてくるよ。少し時間がかかるから休んでいて。」
「いつもありがとう、スーリヤ。」
そんな言葉を言われるような奴ではないと、スーリヤは内心で自分を責める。
メリルは自分を慕ってくれている。だからこそ彼女を娶ったのだ。
だが、その結果がこの様だ。
周りのもう反対を押し切り祝言を挙げたせいで、彼女の味方になるものはいなかった。
食事もスーリヤたちが食べるものは人間にとって毒でしかない。だから、特別に用意させたもので、スーリヤ自身の手で作っているのだ。
メリルの部屋を出て、階段を降りていくスーリヤ。
メリルのいる部屋は魔法で保護されており、この階段を使わなければ入ることはできない。この階段も魔法がかけられており、侵入者を排除する仕組みになっている。それも、メリルを守るために用意したものだ。他のものに襲われないようにと…。
全ての階段を降りると、普通の一軒家のような部屋が広がっている。スーリヤの家は誰がどう見ても普通の一軒家で間違いない。魔法で螺旋階段を造り上げているのだ。空間をねじ曲げている。
スーリヤは一つの古い扉に手を掛ける。重く開きにくい扉は、音を立ててゆっくりと開かれた。その先に映るのは小さな部屋で、これでもかと言う大量の本が並んでいた。そして、中央に一脚の椅子と机が置かれている。
スーリヤは手にしていた本を椅子に放り投げると、机に乱雑に置かれた本に目を落とす。
それは今までメリルに読んできた本だった。その中の一つを手に取る。それは子供向けに書かれたおとぎ話で、ずっと思いを寄せてきた騎士と結ばれたいと願った少女が、婚約者にフラれるために奮闘して、最後は念願叶って婚約者にフラれるのだが、その事実を知った父親が少女の愛した騎士を殺してしまうと言う話だ。親の言いつけは守りなさいと、子どもに教えるために作られた魔族世界の物語だった。
その他にも…魔王と婚約した力なき魔族が周りの魔族たちに虐められるという話がある。彼女は最後まで魔力や能力を使いこなすことができずに、魔王にも相手にされず彼の配下に殺されてしまう。これは、力を誇示して相手を畏怖させなければ生きていけないのだという教えを示している。
「…次はどうするかな。」
スーリヤは本棚に置かれた本を眺めながら考える。
この魔界には人間にとって楽しいと思えるような本はない。だから、人間界にいた頃に読んだ本を思い出しながら、似たような明るい話にスーリヤが書き換えていた。少しでもメリルに喜んでもらいたかったから。
だけど、先ほど読んだ物語は止めておけば良かったと後悔している。あれはまだ話の途中で、その後エルヴァは寿命がないことの本当の辛さを知るのだ。ルネはヒト族で寿命が短い。
彼女を失った後の彼の絶望を書いた本。これは、言うまでもなく異種属間の恋を戒めるための物語だ。自分の胸に突き刺さる。
メリルは自分の意思でスーリヤの妻になることを望んだ。そして、幸せにすると誓ったのは自分だ。
だが、魔界の外は彼女にとって毒と同じだ。本来であればそれを浄化してくれる魔石があるのだが、これがなかなかに見つからない代物なのだ。メリルから目を離すわけにもいかないから、探しに行くことも難しい。買い出しに行く際に、街の店を見てはいるが売られていることもない。
身体を動かせず、満足なご飯も食べさせることもできず、日に日に痩せていく彼女を見るのは辛かった。だからせめて彼女の笑顔を絶やさないようにと本を読みはじめたのだ。
「よし、次はこれだな。」
そう言ってスーリヤが手にしたのは、己の婚約者が自分の兄を好きになってしまう話だ。結局、最後は兄の元に行ってしまう婚約者を殺してしまう物語。
さて、これをどうやって書き換えようか…と、スーリヤはその本を手にして書斎を出る。キッチンに向かうと、本を片手に考えながらも料理を始めたのだった。
これは、スーリヤにとって長い長い物語。スーリヤは終わりの見えないこの物語にため息をついたのだった。
スーリヤは過保護だと、メリルは思う。
いつもこの部屋から出してもらえず、退屈だなと彼女は思っていた。もちろん、それがメリル自身のためにスーリヤが考えてくれていることだと痛いほど理解している。だから、メリルも大人しくしているのだ。
それに、スーリヤの話してくれる物語は面白くて、メリルは色々な話にワクワクしていた。魔界にもこんな物語があるのかと驚きだった。
だけど、不思議なことにスーリヤはその本を一切見せてくれないのだ。初めはスーリヤがただ一緒にいたいからしていることかとも思ったが、そうではなさそうだと最近では思う。
なら、何のために?と、疑問には思ったが、彼を困らせたくはなくてメリルは聞くことができなかった。
そんなことを考えていると、扉が開かれる。フワッと食欲のそそるよい香りが部屋中に広がった。
「お待たせ。今日はパンとシチューだよ。メリルでも食べられる肉が売っていたんだ。」
「まぁ、それは楽しみね。」
肉なんて何か月ぶりだろうか。と、メリルは思う。
普段は野菜と主食だけの質素なもの。お腹いっぱいに食べられることもほとんどない。
食べる量が足りず、ここに来てから痩せていく自分を見てスーリヤに申し訳ないと思った。彼はそう言うことをとても気にしているだろうからと、メリルは胸を痛める。
自分のわがままで、彼をここに縛り付けてしまっているという自覚もあり、メリルは結婚を望んだことを後悔することも少なくなかった。
だけど、彼と離れることもまた身を引き裂かれる思いになるとメリルは確信できた。
だからメリルが結婚したことを本当の意味で後悔することはなかった。
「さぁ、どうぞ召し上がれ。」
「いただきます。」
メリルの目の前には野菜や肉がたっぷりと、入ったシチューと拳くらいの大きさのパンが2つ。まずは、シチューをスプーンですくって口に運ぶ。温かいミルクが口の中で香り、懐かしい気持ちにしてくれる。肉はホロホロになるまで煮込まれており、口の中で溶けてなくなった。
「凄く美味しいわ。」
「本当?メリルの好きな味にしたつもりだけど、違ってたらどうしようかと不安だったんだ。」
魔族とヒト族はそもそも味覚の感じ方も違う。ヒト族は色々な味覚があり、料理というものを味わって食べるが、魔族は毒かどうかだけが分かれば良かった。料理なんてこともほとんどの魔族はしていないだろう。ただ獣を喰らい、胸焼けするから葉や草を食べるのだ。メリルはスーリヤからそう聞いていた。
「大丈夫よ。とても好きな味だわ。スーリヤも食べてみる?」
「僕はいいよ。メリルが食べて。」
断られてしまいメリルは胸の辺りがキュッと痛んだ。人間界で出会った頃は食事もおやつも一緒に食べていたのに、今では一人で食事をするのが当たり前になっていた。スーリヤは魔族の食べ物を食べているようだが、見た目が良くないからと一緒に食事することを嫌がった。
昔みたいにヒト族の食事を一緒に取れたら良かったのだが、ヒト族が食べられる食材は貴重なのだ。だから仕方ないのだと、メリルは寂しげな瞳をする。
でも、それはスーリヤに見られる前に微笑みに変えて、再びシチューを口に運んだ。
「ねぇ、スーリヤ。」
「うん?」
食事を終えて片付けているスーリヤにメリルは声をかける。スーリヤは手を止めて、優しい視線を向ける。
「前に浄化する魔石があれば、ここの環境でも普通に過ごせて、ヒト族だと食べられないものも食べられるようになるって話をしていたよね?」
「うん。」
何を言われるのかと、スーリヤは少し緊張気味な顔をしている。
「それって、探しに行かないといけないものなんでしょ?」
「う、うん。」
「探しに行けばすぐに見つかるもの?」
「…確証はないけど、心当たりがあるんだ。だから、そんなに時間はかからないで見つけられると思ってる。」
メリルはその答えを聞いて覚悟を決めた。
「なら、スーリヤ。申し訳ないのだけれど、それを取ってきてくれないかしら。」
ハッとメリルに驚いた顔を向けるスーリヤ。
「…ダメかな?」
「ダメかなって…その間の生活はどうするの?食事は?」
「私、光の魔法が得意なのよ。スーリヤがこの部屋に張ってくれてる魔法なら使えるわ。だから、生活は問題ない。食事は、食材を買いだめしてもらわなきゃいけないけど、それで何とかできるわ。」
「不安だよ。もし、魔族が襲ってきたら?」
「私、全ての属性を操るノーヴェよ。問題ないわ。」
自分の魔力量がこんなにも頼もしく感じる日が来るなんて思いもしなかった。9つの属性を操るノーヴェが生まれたのは、ヒト族では私が初めてだ。
だからこそ、ヒト族に忌み嫌われ人間界を追われたんだ。
「で、でも。」
まだ、納得いかないスーリヤが反論しようとするので、彼を動かす魔性の言葉をメリルは紡いだ。
「私、スーリヤといつでも一緒にいられるようになりたい。それに、食事も一緒に取りたいの。」
メリルの言葉に嘘はない。
「…。」
「ダメかな?」
だめ押しをされて、スーリヤは探してくると頷くしかなかった。
あれからスーリヤは忙しくしていた。長旅の準備に私の方の準備もすべてやってくれている。食材は保存食を買いだめして、一年は買わなくても良いくらいの量だった。
お金が心許ないと聞いていたので、おそらくは何かを売らせてしまったのだろうとメリルは思った。
「じゃあ、行ってくるよ。」
「うん、気を付けてね。」
メリルは光の魔法で自分の周りにだけ加護の衣を纏っている。こうすることで、この環境でも動き回ることができる。ただ、固定しない魔法は魔力消費が膨大なので長時間は難しい。
「念のため扉に細工をして行くから、触ってはダメだよ。」
「分かった。」
「魔族の気配を感じたら、いつもの部屋に隠れてね。空間をねじ曲げて造っている部屋だから、あそこなら余程じゃなきゃ見つからない。」
「分かったわ。」
「それと、いつもの部屋には全体に瘴気避けの結界を張ってあるから、必要な時以外は下に降りないでよ。魔力消費し過ぎて倒れたらいけないからね。」
「分かったわ…心配しすぎよ。」
メリルの言葉にスーリヤは情けない顔をする。
「だって…」
「大丈夫。」
メリルは魔法を解く。
「な、何を!?」
慌てるスーリヤにメリルは微笑みを向けて彼を引き寄せて抱き締めた。そして、メリルはスーリヤに優しくキスをした。
瘴気でピリピリと肌に小さな痛みを感じるが、それよりも触れ合う肌の優しさが愛おしいとメリルは思う。
だけど彼をあまり不安にするのも良くないと、彼女はすぐに離れて結界を張り直す。そんな様子をスーリヤは複雑な顔をして見ている。
そんな顔をしないでと、メリルは思わず手を伸ばそうとして触れる前に止める。
「しばらく会えないから、これくらいは…ね。」
言葉だけに止めて、伸ばした手は何にも触れずに戻る。
加護の結界は魔族にとって毒となる。なのに、スーリヤはメリルのために、結界魔法を応用してこれを作り出したのだ。
だから、いつもメリルがいる部屋も彼自身がかけた魔法に守られているのだが、彼にとっては辛いはずなのにそんな様子も見せずに一緒にいてくれた。
だけど、触れ合うことは出来なかったから…と、メリルは思う。
スーリヤもまた同じ気持ちだった。だから、正直に言うと胸が飛び上がり気分は高揚していた。彼女が瘴気にあてられてそんなこと思うなと、咎める自分もいるが、それよりも彼女を愛しいと思う気持ちの方が勝っていた。
こういう時、どういう顔をしたら良いのか分からず困る。すると、メリルが手を伸ばして止める。少し恥ずかしそうに頬を染めながら紡いだ言葉に、もう毒だとか関係なしに抱き締めたい衝動にかられる。
ぐっと手を握り混んでスーリヤはその衝動を押さえ込む。
「大丈夫。心配いらないわ。魔石をよろしくね、スーリヤ。」
「ああ、分かったよ、メリル。…帰ったら一緒に食事をしようね。」
ええ。と、嬉しそうな微笑みを見て、スーリヤは覚悟を決めて家を出たのだった。
残されたメリルはふぅ…とため息を漏らす。
寂しくないと言えば嘘になるが、これからのことを考えれば魔石があった方が良いのだから、自分が我慢すれば良いだけのことだと理解はしている。
だけど、ここの整理がつかず、すぐに部屋に戻る気持ちにはなれなくて、いつもスーリヤが過ごしている部屋を見て回った。
そして、彼女は一つの古い扉を見つけた。
「何かしら?」
ノブを回すと扉は古めかしい音を立てながらも開く。そして、メリルは目を見張った。
「本がこんなに…」
そう思いながらメリルは部屋を眺める。そして、机に乱雑に置かれた本が目に入った。そこには、スーリヤが話してくれた本が置いてあった。本はどれも人間界とは全く違った表紙をしていたから、覚えていたのだ。
スーリヤはメリルが本を読むことを嫌がっていたのを彼女自身知っていたが、今はそのスーリヤもいないと、メリルは一番上にあった本を開く。
メリルは少しでもスーリヤたち魔族を知りたくて、勉強していたので魔族の言葉や文字は問題なく読める。彼女が驚いたのはそこに書かれていたのが、今までスーリヤが話してくれた物語とは違った結末だと言うことだ。
そして、本の所々にスーリヤの手書きのメモが挟まっていた。そこには、メリルが聞いたのと同じ物語が書かれている。
それで彼女は理解した。スーリヤが自分のためにどれ程の時間と労力を惜しんでくれたのかを。そして、彼にどれ程愛されているのかを。
嬉しさで涙が止まらなかった。だけど、同時に彼の人生を壊してしまっているのだと申し訳ない気持ちにもなる。
「私はもらってばかりね。」
ひとしきり泣いたメリルは、スーリヤのために何か返してあげたいと思った。何か出来ないかと大量に並んだ本を眺めて、椅子に置かれた一冊の本に気づいた。
その本にはメモ書きが挟まっておらず、しおりだけ挟んであった。そのページを開いて、メリルはこれが何の物語か理解した。
「星空の約束…」
そして、この物語が決してハッピーエンドではないことも。こればかりは、スーリヤでもハッピーエンドの話が思い付かなかったのだと理解する。あまりにも、自分の状況と酷似しているのだ。だから、話の途中で終わりにしたのだろうと、メリルは思う。
真面目なスーリヤには、これのハッピーエンドを綴るのは難しいだろうなと思ったら、メリルの泣き顔に笑みが溢れる。
「なら、私がハッピーエンドにしちゃえば良いんだわ。きっと、喜んでくれるわよ。」
メリルはそう意気込んでその本と他数冊を選んで手にすると、部屋へと戻っていった。
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