95 / 230
7.二人の部屋
89.一日休め
しおりを挟む
次の日。
朝飯食ったあと、
「いってらー」
「…………」
小さく頷いて剣道の稽古に行く丹生田の背中を見送る。
お、今日はなんか、足取り軽くね?
いつも稽古から帰って作業の手伝いしてたけど、明日から合宿だし、今日はちげーのかな。シメ的なナンカあんのかも。イイなあ楽しいことあって。
なんて思いつつ399に戻る。今日は休まなきゃなのだ。
――が。
「……あっちぃじゃねーかよ~~~~~」
ソヨとも動かねえカーテン睨み、唸る。
まだエアコンの無い部屋は、当然だが灼熱のままだ。けど娯楽室も食堂も作業中だし、行ったら動いちまいそうだから行けない。今日は休むって宣言したし。
どっか行くかなと思ったけど、まだ店開いてねえ時間だ。もうちょい経ってから出かけるか。
朝飯食ったあと、
「いってら~」
「…………」
小さく頷いて剣道の稽古に行く丹生田の背中を見送る。
お、今日はなんか、足取り軽くね?
いつも稽古から帰って作業の手伝いしてたけど、明日から合宿だし、今日はちげーのかな。シメ的なナンカあんのかも。イイなあ楽しいことあって。
なんて思いつつ399に戻る。今日は休まなきゃなのだ。
─────が。
「……あっちぃじゃねーかよ~~~~~」
ソヨとも動かねえカーテン睨み、唸る。
まだエアコンの無い部屋は、当然だが灼熱のままだ。けど娯楽室も食堂も作業中だし、行ったら動いちまいそうだから行けない。今日は休むって宣言したし。
どっか行くかなと思ったけど、まだ店開いてねえ時間だ。もうちょい経ってから出かけるか。
「つか休めったって、こんなあっちぃ中でどうしろつんだよ」
ブツブツ言いつつ、うちわパタパタ使ったりベッド寝転がったりデスクに向かってみたり、ちょっとでも風の良い場所探して椅子ゴロゴロさせながら部屋ん中ウロウロしたり、してたわけだが。
開きっぱなしのドアんとこに誰か来た気配した。
「う~、誰だよ~」
ほけっと声を出しつつ、目を向ける。
そんで固まった。
「え」
そこにいたのは丹生田だったのだ。
(なに? え、どした?)
いるはずない。丹生田が戻ってくるはず無い。
だって丹生田が稽古休むなんて二日酔い以外今まで無くて。それに明日から合宿で、……え、まさか!
まさかまさか怪我したとか? でもそんな風に見えねえ……けどそうは見せずに実は! つうオチとか! いやいやいや、ねえよ。どんなツンデレだよ!
なんて一瞬で考えてるうちに固形化が緩み、最速で走り寄った。
「つか具合悪いのか!? だいじょぶかよっ!?」
丹生田は「なんのことだ」とか淡々と言いつつロッカーん中整理してるっぽい。なにやってんだよっ、とか焦る。
「まさか怪我した? 明日から合宿だろ?」
必死に聞いても、こっち見ねーし黙ったままで、やっぱ焦る。
「おいっ」
思わず怒鳴ったら、身を起こした丹生田は、口元を緩め、少し細めた目で見返してきた。
「……出かけるぞ」
「え、なに言って……つうか怪我は?」
「怪我?」
「だって怪我したんじゃねえの!?」
「……どうしてそうなる」
「じゃ、じゃじゃ怪我してないのっ?」
「していない」
「そっか! 良かったぁ~」
めっちゃホッとしてたら、丹生田は「出かけるぞ」ともう一回言った。
「涼しいところがいいか」
「いや、で、でも剣道……」
「今日は稽古を休む。そう言ってきた」
「えっ」
二日酔いでも怪我したわけでも無いのに?
じっと見てたら、丹生田は眉を少し寄せて目を逸らした。
「……伊勢も、大田原さんも、言っていただろう」
「あ! もしかして、抑えとけ、とか言ってたアレ?」
思わず声を上げると、丹生田はよそ向いたまま、うっそりと頷いた。
ああ~、そっか。そうだよな。
俺がダメダメだから大田原さんが言ってくれて、その場に丹生田もいたわけで─────
「なんかゴメン!」
ぺこんと頭を下げる。
「何のことだ」
「大田原さんとか伊勢とか、色々言ってたから稽古休むことにしたんだろ」
寮のために、ダメダメな俺のために、丹生田は稽古休んで……そう思ったら自分が情けなくて、唇噛んだ。
「悪い。俺なんかのために気を遣わせてさ。けど気にしなくて良いし」
ダメだなあ俺。丹生田に迷惑かけてばっかりだ。
「…………それだけではない」
低い声に目を上げると、丹生田は少し細めた、めっさ優しい目でこっち見てて言った。
「俺が行きたいんだ」
「え……そうなの?」
「そうだ」
だって丹生田って滅多に外出しねえし、買い物とか楽しむタイプじゃねえし、つうかケチだし……いやいやいやケチってんじゃねえ、倹約家なんだって!
てか俺のために無理してんじゃね?
「出かけンの面倒くせえ、とか思ってねえ? 無理すんなよ、俺なら……」
「思っていない」
揺るぎなくまっすぐな視線。
「行きたいところがある」
じっと見返して、本当に丹生田がそう思ってんだって、そう思えて、めちゃホッとする。
「……そっか」
ホッとしたら、丹生田が笑った。
いつもは鋭い目を、ちょい細めて。なんつうかめっちゃ優しいんだ、こういう顔って。
そんで俺って、この丹生田の笑顔が大好きなのだ。
「……んじゃ、……出かけっか?」
「ああ、行こう。行きたいところはあるか」
目を細めて、丹生田が笑ったから、なんか超安心して言った。
「どこでもいいよ! つうかおまえが行きたいトコあんだろ? そこ行こうぜ! つきあっちゃるよ、そんで時間余ったら、あっちこっち歩こうぜ!」
「そうだな」
低く言った丹生田は、ふっと笑みを深め、それを見てコッチもニカッと笑ったのだった。
二人で校門出て、思わず声が出た。
「あちー」
キャンパス内は木とかけっこうあるけど、道出たらゲロゲロに暑い。
したら丹生田は黙ってコンビニ入り、ついてって涼しさに癒されてたら、さっさとレジ並んで、ニュッと目の前に差し出したモノ!
「ほれ」
なんとアイス! しかも抹茶! 嬉しいけどっ!
「え! いいの!?」
ケチなのにいいの? だいじょぶなの!?
「俺も食いたいからな」
「マジか!」
苦笑気味に頷く丹生田が、またカッコカワイイっ!!
「めっちゃサンキュ! つかなんだよ、おまえケチのくせに」
あ、言っちまった。
「……夏のアイスは特別だ」
「だよな~! マジうめぇ!」
そんで公園とか歩いて、ゲーセン行った。
丹生田が入ったことねーつうから、ちょい偉そうに教えてやったりして。
格ゲー対戦やったんだけど、丹生田くっそ下手でゲラゲラ笑っちまう。
「あまりゲームはしたことが無い」
なんて照れくさそうに言うから、超カワイイぜっ! とか盛り上がりつつ
「よっし! ンじゃ見てろよ!」
とかって大いばりでやってたら、高校生に挑まれてあっさり負けた。
フッと笑った丹生田の目が『まだまだだな』とか言ってるみてーで「くっそー!」なんてやる気漲らせてたら「少し休もう」なんて丹生田が笑みで言った。
「今日は、休む日だろう」
あ~、そっか、そうだよな~、なんて思い「だな~」とか言ってテヘヘなんてしてたら、
「映画に行こう」
とか! マジでかっ! つってまたテンション上がる。
「そっか、行きたいトコってソレか! 何見ンの?」
なにげに今話題のアクションファンタジーだった。へー意外、丹生田ってこういうの好きだったんだ~
「……しかし、映画では寝てしまうか」
「えっ、なに言ってんだよ。ンなわけねーっつの」
「しかし、藤枝は灯りが消えるとすぐ寝るだろう。明るいと起きているが」
「あ~、俺眩しいと寝らんないんだよ」
「やはりそうなのか」
なんてくちもとが緩んでる。
「とにかく、ここを出よう」
ゲーセン出たら、丹生田は、ほう、と息を吐いてた。
「あれ、もしかして騒がしいの苦手?」
横から顔覗いてやったら、少し眉寄せて目を逸らした。
「なんだよアタリかよ!」
ゲラゲラ笑っても、丹生田はあっち見てる。
「……行くぞ」
肩怒らせて、のしのし歩いてったから
「なんだよ~、照れる事じゃねえだろ~」
なんてまとわりつきながら付いてく。
「まあいいや、映画何時から?」
「………………腹が減った」
なんて言った顔は、あきらか照れてる顔で、拓海はまた声を上げて笑った。
ラーメン食って、映画行って、しっかり寝たんだけどなんとか誤魔化して、コンビニ寄って寮に戻って風呂入って。したら丹生田ってば、またも抹茶アイス出してくれて!
しかもダッツ! マジかー!!
「え!? つかどした? 大サービスじゃん?」
「風呂上がりのコレが好きなんだろう」
「イヤ好きだけどさ! つかマジ嬉しい、めっちゃサンキュ!」
丹生田は渋く小豆のアイスだ。二人で娯楽室でアイスを堪能して晩メシ食って部屋戻ったら
「うつぶせになれ」
言われて、ああ~アレな? とか思いつつベッドにうつぶせンなって。
したら丹生田は部屋の灯りを消してくれて、丹生田のデスクんとこの灯りだけになって。マッサージしてくれて超気持ちよくて。
ンで気づいたら寝てた。たけど、まだ店開いてねえ時間だ。もうちょい経ってから出かけるか。
「つか休めったって、こんなあっちぃ中でどうしろつんだよ」
ブツブツ言いつつうちわパタパタ使い、ベッド寝転がったりデスクに向かってみたり、ちょっとでも風の良い場所探して椅子ゴロゴロさせながら部屋ん中ウロウロしたり、してたわけだが。
開きっぱなしのドアんとこに誰か来た気配した。
「う~、誰だよ~」
ほけっと声を出しつつ、目を向ける。こんだけ暑いと、ちょっとした空気の動きに敏感になるんだよね。
そんで
「え」
固まった。
そこにいたのは丹生田だったのだ。
(なに? え、どした?)
いるはずない。丹生田が戻ってくるはず無い。
だって丹生田が稽古休むなんて二日酔い以外今まで無くて。それに明日から合宿で、……え、まさか!
まさかまさか怪我したとか? でもそんな風に見えねえ……けどそうは見せずに実は! つうオチとか! いやいやいや、ねえよ。どんなツンデレだよ!
なんて一瞬で考えてるうちに固形化が緩み、最速で走り寄った。
「つか具合悪いのか!? だいじょぶかよっ!?」
丹生田は「なんのことだ」とか淡々と言いつつロッカーん中整理してるっぽい。なにやってんだよっ、とか焦る。
「まさか怪我した? 明日から合宿だろ?」
必死に聞いても、こっち見ねーし黙ったままで、やっぱ焦る。
「おいっ」
思わず怒鳴ったら、身を起こした丹生田は、口元を緩め、少し細めた目で見返してきた。
「……出かけるぞ」
「え、なに言って……つうか怪我は?」
「怪我?」
「だって怪我したんじゃねえの!?」
「……どうしてそうなる」
「じゃ、じゃじゃ怪我してないのっ?」
「していない」
「そっか! 良かったぁ~」
めっちゃホッとしてたら、丹生田は「出かけるぞ」ともう一回言った。
「涼しいところがいいか」
「いや、で、でも剣道…」
「今日は稽古を休む。そう言ってきた」
「えっ」
二日酔いでも怪我したわけでも無いのに?
じっと見てたら、丹生田は眉を少し寄せて目を逸らした。
「……伊勢も、大田原さんも、言っていただろう」
「あ! もしかして、抑えとけ、とか言ってたアレ?」
思わず声を上げると、丹生田はよそ向いたまま、うっそりと頷いた。
ああ~、そっか。そうだよな。
俺がダメダメだから大田原さんが言ってくれて、その場に丹生田もいたわけで――――
「なんかゴメン!」
ぺこんと頭を下げる。
「何のことだ」
「大田原さんとか伊勢とか、色々言ってたから稽古休むことにしたんだろ」
寮のために、ダメダメな俺のために、丹生田は稽古休んで……そう思ったら自分が情けなくて、唇噛む。
「悪い。俺なんかのために気を遣わせてさ。けど気にしなくて良いし」
ダメだなあ俺。丹生田に迷惑かけてばっかりだ。
「…………それだけではない」
低い声に目を上げると、丹生田は少し細めた、めっさ優しい目でこっち見てて、「俺が行きたいんだ」と言った。
「え……そうなの?」
「そうだ」
だって丹生田って滅多に外出しねえし、買い物とか楽しむタイプじゃねえし、つうかケチだし……いやいやいやケチってんじゃねえ、倹約家なんだって!
てか俺のために無理してんじゃね?
「出かけンの面倒くせえ、とか思ってねえ? 無理すんなよ、俺なら……」
「思っていない」
揺るぎなくまっすぐな視線。
「行きたいところがある」
じっと見返して、本当に丹生田がそう思ってんだって、そう思えて、めちゃホッとする。
「……そっか」
ホッとしたら、丹生田が笑った。
いつもは鋭い目を、ちょい細めて。なんつうかめっちゃ優しいんだ、こういう顔って。
そんで俺って、この丹生田の笑顔が大好きなのだ。
「……んじゃ、……出かけっか?」
「ああ、行こう。行きたいところはあるか」
目を細めて、丹生田が笑ったから、なんか超安心して言った。
「どこでもいいよ! つうかおまえが行きたいトコあんだろ? そこ行こうぜ! つきあっちゃるよ、そんで時間余ったら、あっちこっち歩こうぜ!」
「そうだな」
低く言った丹生田は、ふっと笑みを深め、それを見てコッチもニカッと笑ったのだった。
二人で校門出て、思わず声が出た。
「あちー」
キャンパス内は木とかけっこうあるけど、道出たらゲロゲロに暑い。
したら丹生田は黙ってコンビニ入り、ついてって涼しさに癒されてたら、さっさとレジ並んで、ニュッと目の前に差し出したモノ!
「ほれ」
なんとアイス! しかも抹茶! 嬉しいけどっ!
「え! いいの!?」
ケチなのにいいの? だいじょぶなの!?
「俺も食いたいからな」
「マジか!」
苦笑気味に頷く丹生田が、またカッコカワイイっ!!
「めっちゃサンキュ! つかなんだよ、おまえケチのくせに」
あ、言っちまった。
「……夏のアイスは特別だ」
「だよな~! マジうめぇ!」
そんで公園とか歩いて、ゲーセン行った。
丹生田が入ったことねーつうから、ちょい偉そうに教えてやったりして。
格ゲー対戦やったんだけど、丹生田くっそ下手でゲラゲラ笑っちまう。
「あまりゲームはしたことが無い」
なんて照れくさそうに言うから、超カワイイぜっ! とか盛り上がりつつ
「よっし! ンじゃ見てろよ!」
とかって大いばりでやってたら、高校生に挑まれてあっさり負けた。
フッと笑った丹生田の目が『まだまだだな』とか言ってるみてーで「くっそー!」なんてやる気漲らせてたら「少し休もう」なんて丹生田が笑みで言った。
「今日は、休む日だろう」
あ~、そっか、そうだよな~、なんて思い「だな~」とか言ってテヘヘなんてしてたら、
「映画に行こう」
とか! マジでかっ! つってまたテンション上がる。
「そっか、行きたいトコってソレか! 何見ンの?」
なにげに今話題のファンタジーアクションだった。へー意外、丹生田ってこういうの好きだったんだ~
「……しかし、映画では寝てしまうか」
「えっ、なに言ってんだよ。ンなわけねーっつの」
「しかし、藤枝は灯りが消えるとすぐ寝るだろう。明るいと起きているが」
「あ~、俺眩しいと寝らんないんだよ」
「やはりそうなのか」
なんてくちもとが緩んでる。
「とにかく、ここを出よう」
ゲーセン出たら、丹生田は、ほう、と息を吐いてた。
「あれ、もしかして騒がしいの苦手?」
横から顔覗いてやったら、少し眉寄せて目を逸らした。
「なんだよアタリかよ!」
ゲラゲラ笑っても、丹生田はあっち見てる。
「……行くぞ」
肩怒らせて、のしのし歩いてったから
「なんだよ~、照れる事じゃねえだろ~」
なんてまとわりつきながら付いてく。
「まあいいや、映画何時から?」
「………………腹が減った」
なんて言った顔は、あきらか照れてる顔で、拓海はまた声を上げて笑った。
ラーメン食って、映画行って、しっかり寝たんだけどなんとか誤魔化して、コンビニ寄って寮に戻って風呂入って。したら丹生田ってば、またも抹茶アイス出してくれて!
しかもダッツ! マジかー!!
「え!? つかどした? 大サービスじゃん?」
「風呂上がりのコレが好きなんだろう」
「イヤ好きだけどさ! つかマジ嬉しい、めっちゃサンキュ!」
丹生田は渋く小豆のアイスだ。二人で娯楽室でアイスを堪能して晩メシ食って部屋戻ったら
「うつぶせになれ」
言われて、ああ~アレな? とか思いつつベッドにうつぶせンなって。
したら丹生田は部屋の灯りを消してくれて、丹生田のデスクんとこの灯りだけになって。マッサージしてくれて超気持ちよくて。
ンで気づいたら寝てた。
朝飯食ったあと、
「いってらー」
「…………」
小さく頷いて剣道の稽古に行く丹生田の背中を見送る。
お、今日はなんか、足取り軽くね?
いつも稽古から帰って作業の手伝いしてたけど、明日から合宿だし、今日はちげーのかな。シメ的なナンカあんのかも。イイなあ楽しいことあって。
なんて思いつつ399に戻る。今日は休まなきゃなのだ。
――が。
「……あっちぃじゃねーかよ~~~~~」
ソヨとも動かねえカーテン睨み、唸る。
まだエアコンの無い部屋は、当然だが灼熱のままだ。けど娯楽室も食堂も作業中だし、行ったら動いちまいそうだから行けない。今日は休むって宣言したし。
どっか行くかなと思ったけど、まだ店開いてねえ時間だ。もうちょい経ってから出かけるか。
朝飯食ったあと、
「いってら~」
「…………」
小さく頷いて剣道の稽古に行く丹生田の背中を見送る。
お、今日はなんか、足取り軽くね?
いつも稽古から帰って作業の手伝いしてたけど、明日から合宿だし、今日はちげーのかな。シメ的なナンカあんのかも。イイなあ楽しいことあって。
なんて思いつつ399に戻る。今日は休まなきゃなのだ。
─────が。
「……あっちぃじゃねーかよ~~~~~」
ソヨとも動かねえカーテン睨み、唸る。
まだエアコンの無い部屋は、当然だが灼熱のままだ。けど娯楽室も食堂も作業中だし、行ったら動いちまいそうだから行けない。今日は休むって宣言したし。
どっか行くかなと思ったけど、まだ店開いてねえ時間だ。もうちょい経ってから出かけるか。
「つか休めったって、こんなあっちぃ中でどうしろつんだよ」
ブツブツ言いつつ、うちわパタパタ使ったりベッド寝転がったりデスクに向かってみたり、ちょっとでも風の良い場所探して椅子ゴロゴロさせながら部屋ん中ウロウロしたり、してたわけだが。
開きっぱなしのドアんとこに誰か来た気配した。
「う~、誰だよ~」
ほけっと声を出しつつ、目を向ける。
そんで固まった。
「え」
そこにいたのは丹生田だったのだ。
(なに? え、どした?)
いるはずない。丹生田が戻ってくるはず無い。
だって丹生田が稽古休むなんて二日酔い以外今まで無くて。それに明日から合宿で、……え、まさか!
まさかまさか怪我したとか? でもそんな風に見えねえ……けどそうは見せずに実は! つうオチとか! いやいやいや、ねえよ。どんなツンデレだよ!
なんて一瞬で考えてるうちに固形化が緩み、最速で走り寄った。
「つか具合悪いのか!? だいじょぶかよっ!?」
丹生田は「なんのことだ」とか淡々と言いつつロッカーん中整理してるっぽい。なにやってんだよっ、とか焦る。
「まさか怪我した? 明日から合宿だろ?」
必死に聞いても、こっち見ねーし黙ったままで、やっぱ焦る。
「おいっ」
思わず怒鳴ったら、身を起こした丹生田は、口元を緩め、少し細めた目で見返してきた。
「……出かけるぞ」
「え、なに言って……つうか怪我は?」
「怪我?」
「だって怪我したんじゃねえの!?」
「……どうしてそうなる」
「じゃ、じゃじゃ怪我してないのっ?」
「していない」
「そっか! 良かったぁ~」
めっちゃホッとしてたら、丹生田は「出かけるぞ」ともう一回言った。
「涼しいところがいいか」
「いや、で、でも剣道……」
「今日は稽古を休む。そう言ってきた」
「えっ」
二日酔いでも怪我したわけでも無いのに?
じっと見てたら、丹生田は眉を少し寄せて目を逸らした。
「……伊勢も、大田原さんも、言っていただろう」
「あ! もしかして、抑えとけ、とか言ってたアレ?」
思わず声を上げると、丹生田はよそ向いたまま、うっそりと頷いた。
ああ~、そっか。そうだよな。
俺がダメダメだから大田原さんが言ってくれて、その場に丹生田もいたわけで─────
「なんかゴメン!」
ぺこんと頭を下げる。
「何のことだ」
「大田原さんとか伊勢とか、色々言ってたから稽古休むことにしたんだろ」
寮のために、ダメダメな俺のために、丹生田は稽古休んで……そう思ったら自分が情けなくて、唇噛んだ。
「悪い。俺なんかのために気を遣わせてさ。けど気にしなくて良いし」
ダメだなあ俺。丹生田に迷惑かけてばっかりだ。
「…………それだけではない」
低い声に目を上げると、丹生田は少し細めた、めっさ優しい目でこっち見てて言った。
「俺が行きたいんだ」
「え……そうなの?」
「そうだ」
だって丹生田って滅多に外出しねえし、買い物とか楽しむタイプじゃねえし、つうかケチだし……いやいやいやケチってんじゃねえ、倹約家なんだって!
てか俺のために無理してんじゃね?
「出かけンの面倒くせえ、とか思ってねえ? 無理すんなよ、俺なら……」
「思っていない」
揺るぎなくまっすぐな視線。
「行きたいところがある」
じっと見返して、本当に丹生田がそう思ってんだって、そう思えて、めちゃホッとする。
「……そっか」
ホッとしたら、丹生田が笑った。
いつもは鋭い目を、ちょい細めて。なんつうかめっちゃ優しいんだ、こういう顔って。
そんで俺って、この丹生田の笑顔が大好きなのだ。
「……んじゃ、……出かけっか?」
「ああ、行こう。行きたいところはあるか」
目を細めて、丹生田が笑ったから、なんか超安心して言った。
「どこでもいいよ! つうかおまえが行きたいトコあんだろ? そこ行こうぜ! つきあっちゃるよ、そんで時間余ったら、あっちこっち歩こうぜ!」
「そうだな」
低く言った丹生田は、ふっと笑みを深め、それを見てコッチもニカッと笑ったのだった。
二人で校門出て、思わず声が出た。
「あちー」
キャンパス内は木とかけっこうあるけど、道出たらゲロゲロに暑い。
したら丹生田は黙ってコンビニ入り、ついてって涼しさに癒されてたら、さっさとレジ並んで、ニュッと目の前に差し出したモノ!
「ほれ」
なんとアイス! しかも抹茶! 嬉しいけどっ!
「え! いいの!?」
ケチなのにいいの? だいじょぶなの!?
「俺も食いたいからな」
「マジか!」
苦笑気味に頷く丹生田が、またカッコカワイイっ!!
「めっちゃサンキュ! つかなんだよ、おまえケチのくせに」
あ、言っちまった。
「……夏のアイスは特別だ」
「だよな~! マジうめぇ!」
そんで公園とか歩いて、ゲーセン行った。
丹生田が入ったことねーつうから、ちょい偉そうに教えてやったりして。
格ゲー対戦やったんだけど、丹生田くっそ下手でゲラゲラ笑っちまう。
「あまりゲームはしたことが無い」
なんて照れくさそうに言うから、超カワイイぜっ! とか盛り上がりつつ
「よっし! ンじゃ見てろよ!」
とかって大いばりでやってたら、高校生に挑まれてあっさり負けた。
フッと笑った丹生田の目が『まだまだだな』とか言ってるみてーで「くっそー!」なんてやる気漲らせてたら「少し休もう」なんて丹生田が笑みで言った。
「今日は、休む日だろう」
あ~、そっか、そうだよな~、なんて思い「だな~」とか言ってテヘヘなんてしてたら、
「映画に行こう」
とか! マジでかっ! つってまたテンション上がる。
「そっか、行きたいトコってソレか! 何見ンの?」
なにげに今話題のアクションファンタジーだった。へー意外、丹生田ってこういうの好きだったんだ~
「……しかし、映画では寝てしまうか」
「えっ、なに言ってんだよ。ンなわけねーっつの」
「しかし、藤枝は灯りが消えるとすぐ寝るだろう。明るいと起きているが」
「あ~、俺眩しいと寝らんないんだよ」
「やはりそうなのか」
なんてくちもとが緩んでる。
「とにかく、ここを出よう」
ゲーセン出たら、丹生田は、ほう、と息を吐いてた。
「あれ、もしかして騒がしいの苦手?」
横から顔覗いてやったら、少し眉寄せて目を逸らした。
「なんだよアタリかよ!」
ゲラゲラ笑っても、丹生田はあっち見てる。
「……行くぞ」
肩怒らせて、のしのし歩いてったから
「なんだよ~、照れる事じゃねえだろ~」
なんてまとわりつきながら付いてく。
「まあいいや、映画何時から?」
「………………腹が減った」
なんて言った顔は、あきらか照れてる顔で、拓海はまた声を上げて笑った。
ラーメン食って、映画行って、しっかり寝たんだけどなんとか誤魔化して、コンビニ寄って寮に戻って風呂入って。したら丹生田ってば、またも抹茶アイス出してくれて!
しかもダッツ! マジかー!!
「え!? つかどした? 大サービスじゃん?」
「風呂上がりのコレが好きなんだろう」
「イヤ好きだけどさ! つかマジ嬉しい、めっちゃサンキュ!」
丹生田は渋く小豆のアイスだ。二人で娯楽室でアイスを堪能して晩メシ食って部屋戻ったら
「うつぶせになれ」
言われて、ああ~アレな? とか思いつつベッドにうつぶせンなって。
したら丹生田は部屋の灯りを消してくれて、丹生田のデスクんとこの灯りだけになって。マッサージしてくれて超気持ちよくて。
ンで気づいたら寝てた。たけど、まだ店開いてねえ時間だ。もうちょい経ってから出かけるか。
「つか休めったって、こんなあっちぃ中でどうしろつんだよ」
ブツブツ言いつつうちわパタパタ使い、ベッド寝転がったりデスクに向かってみたり、ちょっとでも風の良い場所探して椅子ゴロゴロさせながら部屋ん中ウロウロしたり、してたわけだが。
開きっぱなしのドアんとこに誰か来た気配した。
「う~、誰だよ~」
ほけっと声を出しつつ、目を向ける。こんだけ暑いと、ちょっとした空気の動きに敏感になるんだよね。
そんで
「え」
固まった。
そこにいたのは丹生田だったのだ。
(なに? え、どした?)
いるはずない。丹生田が戻ってくるはず無い。
だって丹生田が稽古休むなんて二日酔い以外今まで無くて。それに明日から合宿で、……え、まさか!
まさかまさか怪我したとか? でもそんな風に見えねえ……けどそうは見せずに実は! つうオチとか! いやいやいや、ねえよ。どんなツンデレだよ!
なんて一瞬で考えてるうちに固形化が緩み、最速で走り寄った。
「つか具合悪いのか!? だいじょぶかよっ!?」
丹生田は「なんのことだ」とか淡々と言いつつロッカーん中整理してるっぽい。なにやってんだよっ、とか焦る。
「まさか怪我した? 明日から合宿だろ?」
必死に聞いても、こっち見ねーし黙ったままで、やっぱ焦る。
「おいっ」
思わず怒鳴ったら、身を起こした丹生田は、口元を緩め、少し細めた目で見返してきた。
「……出かけるぞ」
「え、なに言って……つうか怪我は?」
「怪我?」
「だって怪我したんじゃねえの!?」
「……どうしてそうなる」
「じゃ、じゃじゃ怪我してないのっ?」
「していない」
「そっか! 良かったぁ~」
めっちゃホッとしてたら、丹生田は「出かけるぞ」ともう一回言った。
「涼しいところがいいか」
「いや、で、でも剣道…」
「今日は稽古を休む。そう言ってきた」
「えっ」
二日酔いでも怪我したわけでも無いのに?
じっと見てたら、丹生田は眉を少し寄せて目を逸らした。
「……伊勢も、大田原さんも、言っていただろう」
「あ! もしかして、抑えとけ、とか言ってたアレ?」
思わず声を上げると、丹生田はよそ向いたまま、うっそりと頷いた。
ああ~、そっか。そうだよな。
俺がダメダメだから大田原さんが言ってくれて、その場に丹生田もいたわけで――――
「なんかゴメン!」
ぺこんと頭を下げる。
「何のことだ」
「大田原さんとか伊勢とか、色々言ってたから稽古休むことにしたんだろ」
寮のために、ダメダメな俺のために、丹生田は稽古休んで……そう思ったら自分が情けなくて、唇噛む。
「悪い。俺なんかのために気を遣わせてさ。けど気にしなくて良いし」
ダメだなあ俺。丹生田に迷惑かけてばっかりだ。
「…………それだけではない」
低い声に目を上げると、丹生田は少し細めた、めっさ優しい目でこっち見てて、「俺が行きたいんだ」と言った。
「え……そうなの?」
「そうだ」
だって丹生田って滅多に外出しねえし、買い物とか楽しむタイプじゃねえし、つうかケチだし……いやいやいやケチってんじゃねえ、倹約家なんだって!
てか俺のために無理してんじゃね?
「出かけンの面倒くせえ、とか思ってねえ? 無理すんなよ、俺なら……」
「思っていない」
揺るぎなくまっすぐな視線。
「行きたいところがある」
じっと見返して、本当に丹生田がそう思ってんだって、そう思えて、めちゃホッとする。
「……そっか」
ホッとしたら、丹生田が笑った。
いつもは鋭い目を、ちょい細めて。なんつうかめっちゃ優しいんだ、こういう顔って。
そんで俺って、この丹生田の笑顔が大好きなのだ。
「……んじゃ、……出かけっか?」
「ああ、行こう。行きたいところはあるか」
目を細めて、丹生田が笑ったから、なんか超安心して言った。
「どこでもいいよ! つうかおまえが行きたいトコあんだろ? そこ行こうぜ! つきあっちゃるよ、そんで時間余ったら、あっちこっち歩こうぜ!」
「そうだな」
低く言った丹生田は、ふっと笑みを深め、それを見てコッチもニカッと笑ったのだった。
二人で校門出て、思わず声が出た。
「あちー」
キャンパス内は木とかけっこうあるけど、道出たらゲロゲロに暑い。
したら丹生田は黙ってコンビニ入り、ついてって涼しさに癒されてたら、さっさとレジ並んで、ニュッと目の前に差し出したモノ!
「ほれ」
なんとアイス! しかも抹茶! 嬉しいけどっ!
「え! いいの!?」
ケチなのにいいの? だいじょぶなの!?
「俺も食いたいからな」
「マジか!」
苦笑気味に頷く丹生田が、またカッコカワイイっ!!
「めっちゃサンキュ! つかなんだよ、おまえケチのくせに」
あ、言っちまった。
「……夏のアイスは特別だ」
「だよな~! マジうめぇ!」
そんで公園とか歩いて、ゲーセン行った。
丹生田が入ったことねーつうから、ちょい偉そうに教えてやったりして。
格ゲー対戦やったんだけど、丹生田くっそ下手でゲラゲラ笑っちまう。
「あまりゲームはしたことが無い」
なんて照れくさそうに言うから、超カワイイぜっ! とか盛り上がりつつ
「よっし! ンじゃ見てろよ!」
とかって大いばりでやってたら、高校生に挑まれてあっさり負けた。
フッと笑った丹生田の目が『まだまだだな』とか言ってるみてーで「くっそー!」なんてやる気漲らせてたら「少し休もう」なんて丹生田が笑みで言った。
「今日は、休む日だろう」
あ~、そっか、そうだよな~、なんて思い「だな~」とか言ってテヘヘなんてしてたら、
「映画に行こう」
とか! マジでかっ! つってまたテンション上がる。
「そっか、行きたいトコってソレか! 何見ンの?」
なにげに今話題のファンタジーアクションだった。へー意外、丹生田ってこういうの好きだったんだ~
「……しかし、映画では寝てしまうか」
「えっ、なに言ってんだよ。ンなわけねーっつの」
「しかし、藤枝は灯りが消えるとすぐ寝るだろう。明るいと起きているが」
「あ~、俺眩しいと寝らんないんだよ」
「やはりそうなのか」
なんてくちもとが緩んでる。
「とにかく、ここを出よう」
ゲーセン出たら、丹生田は、ほう、と息を吐いてた。
「あれ、もしかして騒がしいの苦手?」
横から顔覗いてやったら、少し眉寄せて目を逸らした。
「なんだよアタリかよ!」
ゲラゲラ笑っても、丹生田はあっち見てる。
「……行くぞ」
肩怒らせて、のしのし歩いてったから
「なんだよ~、照れる事じゃねえだろ~」
なんてまとわりつきながら付いてく。
「まあいいや、映画何時から?」
「………………腹が減った」
なんて言った顔は、あきらか照れてる顔で、拓海はまた声を上げて笑った。
ラーメン食って、映画行って、しっかり寝たんだけどなんとか誤魔化して、コンビニ寄って寮に戻って風呂入って。したら丹生田ってば、またも抹茶アイス出してくれて!
しかもダッツ! マジかー!!
「え!? つかどした? 大サービスじゃん?」
「風呂上がりのコレが好きなんだろう」
「イヤ好きだけどさ! つかマジ嬉しい、めっちゃサンキュ!」
丹生田は渋く小豆のアイスだ。二人で娯楽室でアイスを堪能して晩メシ食って部屋戻ったら
「うつぶせになれ」
言われて、ああ~アレな? とか思いつつベッドにうつぶせンなって。
したら丹生田は部屋の灯りを消してくれて、丹生田のデスクんとこの灯りだけになって。マッサージしてくれて超気持ちよくて。
ンで気づいたら寝てた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる