23 / 149
はしたない辺境伯夫人と三連休
しおりを挟む
せっかくルイと楽しく遊んでいたのに、とエメリーンが腹を立てているのは、ルイが目に見えて落ち込んでいるからだ。
「すぐに、かべからおりて、あいさつできなかった」
ルイががっかりすることなど何もないとエメリーンは思う。壁に登っていた辺境伯子息より、二階の窓から入ってくる辺境伯夫人の方がよっぽど非常識だ。
「下りてからしっかり綺麗なお辞儀が出来ていたから大丈夫ですよ」
「そうかな?」
「ええ。立派なお辞儀でした」
えへへと嬉しそうに笑っていたルイが、「あ」と何かに気が付いたように声を上げた。ルイに座るように促されてエメリーンが身を屈めると、エメリーンの頭の上の葉っぱをルイが取ってくれた。
「まあ、ルイ様、ありがとうございます。……ルイ様、私は頭に葉っぱを乗せたまま、旦那様にご挨拶してしまったのですね」
困ったわ、とおどけたようにエメリーンが言うと、ルイがくすくすと笑った。
「はしたない?」
「ええ、その通りですわ。ルイ様、私ってばとてもはしたない、ですね」
二人揃ってくすくすと笑いながら、エメリーンはルイに笑顔が戻ったことに安堵していた。エメリーンは今来た方を振り返って、ヒューバートの様子を思い返した。
――怪しんでいたかしら?
ヒューバートはとにかくずっと驚きっぱなしのようで、その心の内がエメリーンには分からなかった。
――煩わしいわね。
いっそヒューバートと関わらずに済めばいいのに、とエメリーンは思っている。ここ最近、ルイや使用人たちと過ごすのがとても快適だった分、余計な波風を立てることが確定しているヒューバートの存在が、正直に言って心底面倒くさい。
――まあ、そうも言っていられないことくらい、分かっているけど。
相手は辺境伯だ。そしてエメリーンの夫で、ルイの父親でもある。関わらないことなど絶対に無理だろう。
――なるべく関わらないで済みますように。
そんなエメリーンの希望はもちろん叶わず、エメリーンが自らヒューバートのところへ突っ込んでいくことになるのは、その翌日のことだった。
向かっ腹を立てたエメリーンが、わざとダンダンダンと廊下を踏み鳴らしながらヒューバートの執務室へ向かっているのは、怒りが抑えられないからだ。こんなに怒っているのは一体いつ以来のことだろう。そんなことを思ったエメリーンだが、両親――オルクス子爵と子爵夫人に怒った時だから割と最近だったと気が付いて、少し怒りが分散した。
ゴンゴンゴン
ノックの音が強すぎて変な響きになっているが、エメリーンの怒りはまだキープされている。
――こんなことで収まるような怒りじゃないわよ。
ゴンゴンゴン ゴンゴンゴン ゴンゴンゴンゴンゴンッ
激しく鳴り響くノックの音に、廊下を歩いていた使用人たちが集まってきてしまった。
「あの、奥様?」
誰かに呼ばれたのか、執事長がエメリーンに声を掛けた。
「旦那様はその……外出中、でして」
「外出中? どこへ?」
「ど、どちらというのは、その」
冷静沈着が服を着ているような、と内心評価していた執事の挙動不審さに、エメリーンの直感が告げた。
「女?」
「ひっ」と声を上げたのは、目の前の執事長ではなく後方の侍女だった。マーサと一緒にいるところを何度か見かけたことがある、セイラという名前の侍女だ。
「セイラ、何か知っているのかしら?」
首からゆっくりと振り返ったエメリーンの姿に、追加で上がった悲鳴の中には、「ぎゃっ」という野太い声も含まれていた。
「いえ、私は知りません。本当です。旦那様が今日どなたのところに行ったのか、さっぱり分かりません。本当です。本当なんです」
なおも「本当です」、と繰り返すセイラは涙目だ。だがエメリーンは、セイラの言葉の意味を正しく理解した。
「そう。今日どこに行ったのかは分からないけど、行きそうなところは何ヶ所か分かる、ということで良いかしら?」
セイラへの質問に対し、「ひっ」と息を呑むような悲鳴を上げたのは執事長だ。エメリーンは今度は首だけを動かして執事長に微笑み、「旦那様はどこかしら?」と低い声で聞いた。
「は、その、ですが、う、その……」
呻くような苦しげな様子で、執事長が助けを求めるように視線を彷徨わせるが、使用人たちは自分がターゲットにならないようにと思っているのか、揃って顔を逸らしている。
――やりすぎかしら。執事長たちには何も罪はないものね。
「……言ってしまいなさい。私に命令されたと言えば、あなたたちに迷惑を掛けることもないでしょう」
先ほどまで駄々洩れになっていた怒りを消して静かに語りかけると、執事長がようやくホッと息を吐いた。
「セイラも、ごめんなさいね。あなたたちに怒っているんじゃないのよ」
「大丈夫、です。ちょっと、びっくりしただけ、です」
使用人たちの中から、「ちょっとじゃなかったよな」、「怖すぎるよな」という囁きが聞こえてきたが、それだけ場が落ち着いたのだと、エメリーンは良いように解釈した。
「じゃあ、旦那様が会っていそうな女性について、何か情報がある人は教えて。そうね、情報料の代わりと言っては何だけど、教えてもらった情報先に旦那様がいた人に三連休をあげる、っていうのはどうかしら?」
「「「えっ、三連休?」」」
可能かどうかを確認するために、エメリーンが執事長をチラリを見ると、執事長はしっかりと頷いた。
「ええ、問題ありません」
「ありませんが」と、今度は執事長がエメリーンをチラリと見た。
「それには私も含まれるでしょうか」
名乗りを上げた執事長に、使用人たちから「ずるいぞ」「それはない」と不満の声が上がり、エメリーンは思わず吹き出して笑ってしまった。
「ええ、確かにそれはずるいかもね。申し訳ないけれど、今回はあなたの参戦はなし、よ」
「はぁ。仕方ありませんね」
少しだけ残念そうな顔をしたものの、今回はと言ったことで執事長も納得したらしい。
それからは執事長が中心となって、使用人たちの情報を書き留めていった。どうやら執事長は参戦できないということで、今回は自身の情報を出さないようだが、それでも特に問題ないほどたくさんの情報が出てきた。
「有力そうなのは、これかしらね」
エメリーンは集まった情報を見つめて、辺境伯領の中心街にある高級宿屋の一つを指さした。ヒューバートが王都に行く前に入り浸っていた宿屋で、未亡人の女主人がいるらしい。噂となっていたのは、その女主人だけではなく、近隣のパン屋の娘や宝飾店の夫人もだが、相手が誰であってもこの高級宿屋を使用している可能性は高いとエメリーンは目星をつけたのだ。
「よっしゃ、俺の情報!」
「まだそこにいるかは分からないわ!」
三連休を巡って使用人たちの闘いの炎は燃えているが、本当の闘いはこれからだと思ってエメリーンがくつりと笑うと、その笑みを見ていた使用人たちからは「うわあ」と小さな悲鳴が上がった。
「すぐに、かべからおりて、あいさつできなかった」
ルイががっかりすることなど何もないとエメリーンは思う。壁に登っていた辺境伯子息より、二階の窓から入ってくる辺境伯夫人の方がよっぽど非常識だ。
「下りてからしっかり綺麗なお辞儀が出来ていたから大丈夫ですよ」
「そうかな?」
「ええ。立派なお辞儀でした」
えへへと嬉しそうに笑っていたルイが、「あ」と何かに気が付いたように声を上げた。ルイに座るように促されてエメリーンが身を屈めると、エメリーンの頭の上の葉っぱをルイが取ってくれた。
「まあ、ルイ様、ありがとうございます。……ルイ様、私は頭に葉っぱを乗せたまま、旦那様にご挨拶してしまったのですね」
困ったわ、とおどけたようにエメリーンが言うと、ルイがくすくすと笑った。
「はしたない?」
「ええ、その通りですわ。ルイ様、私ってばとてもはしたない、ですね」
二人揃ってくすくすと笑いながら、エメリーンはルイに笑顔が戻ったことに安堵していた。エメリーンは今来た方を振り返って、ヒューバートの様子を思い返した。
――怪しんでいたかしら?
ヒューバートはとにかくずっと驚きっぱなしのようで、その心の内がエメリーンには分からなかった。
――煩わしいわね。
いっそヒューバートと関わらずに済めばいいのに、とエメリーンは思っている。ここ最近、ルイや使用人たちと過ごすのがとても快適だった分、余計な波風を立てることが確定しているヒューバートの存在が、正直に言って心底面倒くさい。
――まあ、そうも言っていられないことくらい、分かっているけど。
相手は辺境伯だ。そしてエメリーンの夫で、ルイの父親でもある。関わらないことなど絶対に無理だろう。
――なるべく関わらないで済みますように。
そんなエメリーンの希望はもちろん叶わず、エメリーンが自らヒューバートのところへ突っ込んでいくことになるのは、その翌日のことだった。
向かっ腹を立てたエメリーンが、わざとダンダンダンと廊下を踏み鳴らしながらヒューバートの執務室へ向かっているのは、怒りが抑えられないからだ。こんなに怒っているのは一体いつ以来のことだろう。そんなことを思ったエメリーンだが、両親――オルクス子爵と子爵夫人に怒った時だから割と最近だったと気が付いて、少し怒りが分散した。
ゴンゴンゴン
ノックの音が強すぎて変な響きになっているが、エメリーンの怒りはまだキープされている。
――こんなことで収まるような怒りじゃないわよ。
ゴンゴンゴン ゴンゴンゴン ゴンゴンゴンゴンゴンッ
激しく鳴り響くノックの音に、廊下を歩いていた使用人たちが集まってきてしまった。
「あの、奥様?」
誰かに呼ばれたのか、執事長がエメリーンに声を掛けた。
「旦那様はその……外出中、でして」
「外出中? どこへ?」
「ど、どちらというのは、その」
冷静沈着が服を着ているような、と内心評価していた執事の挙動不審さに、エメリーンの直感が告げた。
「女?」
「ひっ」と声を上げたのは、目の前の執事長ではなく後方の侍女だった。マーサと一緒にいるところを何度か見かけたことがある、セイラという名前の侍女だ。
「セイラ、何か知っているのかしら?」
首からゆっくりと振り返ったエメリーンの姿に、追加で上がった悲鳴の中には、「ぎゃっ」という野太い声も含まれていた。
「いえ、私は知りません。本当です。旦那様が今日どなたのところに行ったのか、さっぱり分かりません。本当です。本当なんです」
なおも「本当です」、と繰り返すセイラは涙目だ。だがエメリーンは、セイラの言葉の意味を正しく理解した。
「そう。今日どこに行ったのかは分からないけど、行きそうなところは何ヶ所か分かる、ということで良いかしら?」
セイラへの質問に対し、「ひっ」と息を呑むような悲鳴を上げたのは執事長だ。エメリーンは今度は首だけを動かして執事長に微笑み、「旦那様はどこかしら?」と低い声で聞いた。
「は、その、ですが、う、その……」
呻くような苦しげな様子で、執事長が助けを求めるように視線を彷徨わせるが、使用人たちは自分がターゲットにならないようにと思っているのか、揃って顔を逸らしている。
――やりすぎかしら。執事長たちには何も罪はないものね。
「……言ってしまいなさい。私に命令されたと言えば、あなたたちに迷惑を掛けることもないでしょう」
先ほどまで駄々洩れになっていた怒りを消して静かに語りかけると、執事長がようやくホッと息を吐いた。
「セイラも、ごめんなさいね。あなたたちに怒っているんじゃないのよ」
「大丈夫、です。ちょっと、びっくりしただけ、です」
使用人たちの中から、「ちょっとじゃなかったよな」、「怖すぎるよな」という囁きが聞こえてきたが、それだけ場が落ち着いたのだと、エメリーンは良いように解釈した。
「じゃあ、旦那様が会っていそうな女性について、何か情報がある人は教えて。そうね、情報料の代わりと言っては何だけど、教えてもらった情報先に旦那様がいた人に三連休をあげる、っていうのはどうかしら?」
「「「えっ、三連休?」」」
可能かどうかを確認するために、エメリーンが執事長をチラリを見ると、執事長はしっかりと頷いた。
「ええ、問題ありません」
「ありませんが」と、今度は執事長がエメリーンをチラリと見た。
「それには私も含まれるでしょうか」
名乗りを上げた執事長に、使用人たちから「ずるいぞ」「それはない」と不満の声が上がり、エメリーンは思わず吹き出して笑ってしまった。
「ええ、確かにそれはずるいかもね。申し訳ないけれど、今回はあなたの参戦はなし、よ」
「はぁ。仕方ありませんね」
少しだけ残念そうな顔をしたものの、今回はと言ったことで執事長も納得したらしい。
それからは執事長が中心となって、使用人たちの情報を書き留めていった。どうやら執事長は参戦できないということで、今回は自身の情報を出さないようだが、それでも特に問題ないほどたくさんの情報が出てきた。
「有力そうなのは、これかしらね」
エメリーンは集まった情報を見つめて、辺境伯領の中心街にある高級宿屋の一つを指さした。ヒューバートが王都に行く前に入り浸っていた宿屋で、未亡人の女主人がいるらしい。噂となっていたのは、その女主人だけではなく、近隣のパン屋の娘や宝飾店の夫人もだが、相手が誰であってもこの高級宿屋を使用している可能性は高いとエメリーンは目星をつけたのだ。
「よっしゃ、俺の情報!」
「まだそこにいるかは分からないわ!」
三連休を巡って使用人たちの闘いの炎は燃えているが、本当の闘いはこれからだと思ってエメリーンがくつりと笑うと、その笑みを見ていた使用人たちからは「うわあ」と小さな悲鳴が上がった。
1,050
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~
雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。
突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。
多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。
死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。
「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」
んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!!
でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!!
これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。
な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)
ひ弱な竜人 ~周りより弱い身体に転生して、たまに面倒くさい事にも出会うけど家族・仲間・植物に囲まれて二度目の人生を楽しんでます~
白黒 キリン
ファンタジー
前世で重度の病人だった少年が、普人と変わらないくらい貧弱な身体に生まれた竜人族の少年ヤーウェルトとして転生する。ひたすらにマイペースに前世で諦めていたささやかな幸せを噛み締め、面倒くさい奴に絡まれたら鋼の精神力と図太い神経と植物の力を借りて圧倒し、面倒事に巻き込まれたら頼れる家族や仲間と植物の力を借りて撃破して、時に周囲を振り回しながら生きていく。
タイトルロゴは美風慶伍 様作で副題無し版です。
小説家になろうでも公開しています。
https://ncode.syosetu.com/n5715cb/
カクヨムでも公開してします。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887026500
●現状あれこれ
・2021/02/21 完結
・2020/12/16 累計1000000ポイント達成
・2020/12/15 300話達成
・2020/10/05 お気に入り700達成
・2020/09/02 累計ポイント900000達成
・2020/04/26 累計ポイント800000達成
・2019/11/16 累計ポイント700000達成
・2019/10/12 200話達成
・2019/08/25 お気に入り登録者数600達成
・2019/06/08 累計ポイント600000達成
・2019/04/20 累計ポイント550000達成
・2019/02/14 累計ポイント500000達成
・2019/02/04 ブックマーク500達成
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる