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♂白上優吾(しらかみ ゆうご)side
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誰でも簡単!自由に好きな夢を見れる方法
タイトル通りの動画の内容を試した男子高校生がいた。
簡単にできるので、毎日好きな夢を見て過ごしていたある日の夜。
その男子高校生の世界が変わった。
(あれ?)
意識がはっきりしてきているのに夢の中で自分が作り上げた理想の姉、奈々華が添い寝をしている状況を飲み込めずに混乱する。
日サロで綺麗に焼けた肌と、ブリーチしたゆるふわロングの金髪、レースのキャミとショーツだけしか身につけてないので、巨乳、巨尻、挟まれたい太ももがしっかり見える。
「やっぱり奈々華だ……」
その声に奈々華が目覚め、優吾を見つめ声をかけた。
「優、おはよー」
「おはよ……」
「もう、起きるの?」
(俺まだ寝てるのか? あれ? これ夢のはずなんだけと)
夢から覚めたくて目を開けようするが、夢から覚めることができない。
このままだと学校に遅刻すると焦った優吾は、頭を叩いてみたり洗面所へ向かい顔を洗ったりしてみる。
「全然ダメだ? なんで?」
鏡で見る自分の顔に違和感があるが、それよりも焦りが加速していく。
「優、どうしたの?」
後ろから心配そうに声をかけてくれたのはさっきまで横にいた奈々華だった。
「学校に遅刻しちゃう」
「え?」
「分からないと思うけど、このままだと学校に遅刻しゃうんだよね」
「学校?」
「そう学校」
「優は男の子なんだから、学校なんて行ったら危ないよ」
「え?」
「さっきからなんか変だよ。悪い夢でも見たの?」
「ん? んん? ……これ俺の夢だよ、早く起きないと」
恐る恐るこの世界の真実を明かした優吾。
発言だけ切り抜くとただの勘違い野郎になりかねない。
「ふふなぁにそれ、夢じゃないよー。寝ぼけてないでほらお姉ちゃんの部屋に戻ろ!」
(俺は痛いやつかもしれない)
奈々華が優吾の腕をぐっとひっぱり部屋へ戻ろうとする。
「え、え? ちょっと待って、待って」
「もう、まだ寝ぼけてるの? ほらこっち向いて目覚めのチューしてあげる」
俺の顔を両手で包みキスをしてくる。
ちょっとだけ舌が入ってきた。
「どう? 目、覚めた?」
(もう、遅刻したっていい。もう、目が覚めなくていい。もう、一生ここでいい!)
「大丈夫もう目、覚めた、続きはまた後でしような」
「約束だよー」
一旦自分の部屋に戻って状況を整理する。
(つねっても痛い、目を閉じてまた開いても景色はやっぱり変わらないな。とりあえずスマホでこの世界を調べてみるか)
スマホで最近の時事ネタや過去の大きな出来事を調べ始めた。
現実世界と大きく違うのは女性が多いということ。
それは80年前、とある国から未知のウイルスが漏れ出したのが大きな原因となっている。
後にルキコ10ウイルスと呼ばれるそのウイルスは女性だけに感染する特徴があった。
感染力はインフルエンザの1500から2000倍ともいわれ、地球上の空気中ならどこでも300日以上生きていることができるらしい。
特徴は発症すると男児が生まれにくくなるということ。
ただ感染して発症していても気付くことはできず、検査をせずに自力でルキコ10ウイルスにきづくには数回妊娠する必要があった。
そのため感染拡大に気づいた時には、世界中のほとんどの女性が感染者となった。
最初に異変に気づいたのは産婦人科医達。
最近男児が生まれない。
直近10人の赤ちゃん全てが女の子。
確率が50%とはいえ10人連続は珍しい。
最初はその記録がどこまで伸びるかを看護師と話すぐらいの話題だった。
11人になり、12人になり、着々記録が伸びついには20人連続となる。
そこでこの産婦人科医が知り合いの産婦人科医にこのことを話すと、なんとそちらでも似たような事が起きていたそうだ。
過去20人中、男の子の赤ちゃんは1人だけ。
気になったので、知る限りの産婦人科医に直近の男女比率を聞いて回ることにするとどこも10対1や20対1、凄いところだと50対1ともなっていた。
この違和感はどの産婦人科医も持っていて、何か不調があるのかと妊婦の方に聞いてもいたって健康。むしろ良いと答えるほどだった。
女性には問題ない様に見えたのが発見を遅らせる原因となり、爆発的に感染が広がったのだった。
そして最大の問題はこのウイルスに特効薬が存在しないことや、このウイルスに対して体が持つ免疫が機能せず半永久的に体内に残り続けることだった。
更に副産物のような効果として強い老化防止と新陳代謝が上がり太れなくなる。
感染した女性の体は成長はしてもほとんど老化しないことが確認されていて、閉経前の女性はむしろ若返るとまで言われてる。
人体の細胞分裂の回数に関わるテロメアが伸び続けるようになったのが原因らしい。
(俺の夢やべぇな。夢の中でぐらいモテたいという一心で作った世界とは言え、男児が生まれない世界になるとは思わなかったぞ。この先も男が減り続けることが確実な世界なのはちょっと悲しいけど……)
「ゆーくーん、朝ごはんどーするー?」
悲しみに浸る間もなく、キッチンから母親が呼ぶ声がする。
ただ現実とは呼び方が違った。
(現実世界では「ゆうご」呼びだったはず)
「ゆーーくーーん?」
声が近くなってきたので優吾がドアを開けた。
「あっ、ゆーくん。朝ごはんできたよ!」
(若っ!しかも可愛いじゃん、母さん背が低いから夜道歩いてたら補導されるぞ)
老化防止の領域を超えた完全な若返り。
母親の高校時代の卒業アルバムを思い出すぐらい若い。
「う、うん、食べるよ。それより母さん……母さんって今何歳だっけ?」
「なーに、忘れちゃったの? 45よ」
(歳は現実世界と同じか。絶対ルキコ10ウイルスの影響だよな)
「そう……だったね。でも母さん可愛いよ、あっ」
「ゆっ!くん??? もっ、何急に? おだててもお小遣いあげないよ」
「べっ別にそんなんじゃねーーよ」
(おだてた訳じゃない。思わず漏れてた。なんか母さんも恥ずかしがってるけど、言った俺もそうとう恥ずかしいぞこれ)
リビングに行くと優吾の分の他に既に食べ終わった分が1つある。
食器がファンシー。
(これは、奈々華じゃないな。だとすると……)
「あのさ、もう食べたのかな?」
「葵ならもう学校行ったわよ」
(やっぱり葵だ。何回か前の夢の中で作り出した妹だ。そのまま反映されてるなんて嬉しいぞ)
「そーなんだ……ねぇ母さん、俺学校行っちゃダメかな」
「え!? ゆーくん、どうしたの? 学校は危ないんだよ」
(やっぱり奈々華と同じことを言うな学校が危ないってのは想像しづらい)
「家庭学習もいいけどさ、学校で学べることもあると思う。先週16歳にもなったしさ」
「周りは女の子しかいないんだよ。共学の学校でも他の男の子なんていないんだよ。飢えたワニがひしめく川の中に鶏を入れる様なものなんだよ」
(どこかの国の動物園でやってそうな食事のショーが、この国でも起こるなんて治安はどうなってるのか気になる)
「そうなんだ……それは危ない」
「でもどうしても、っていうなら特別護衛を付けて学校に行くならまだ安心かな」
「特別護衛?」
「特別護衛は男性を危険人物から守ってくれる、特別な訓練を受けた護衛の方のことよ」
「俺が守られる側なの?」
「当たり前でしょ、ゆーくん男の子なんだよ!」
「わかったよ。で、特別な訓練ってなに?」
「1番難しいのは護衛対象を好きにならないようにすることね」
「そんなの他の奴を好きになればいいだけだろ?」
「……んー。ゆーくん、頭でも打ったの?」
(俺は致命的な何かが欠けた人のように見えるのかもしれないな)
「大丈夫だよ。いつも通りだから」
「本当に? なーーんか違うきがするんだけど」
(この世界は俺の夢だけど、この世界の住人じゃないのは確かなんだよな。それでもどんなに怪しまれても、俺は俺なので変わることはできないぞ)
話を逸らす方法はないかキョロキョロし始めたところに、たまたまTVから『今月の男女比』なるものが流れてくる。
『今月の男女比は先月から更に女性側が多くなっており、1:300の数値で過去最悪となりました。政府が打ち出した男性増加計画も一年経ちますが効果がいまだ見えておりません』
「300……!」
「まーた増えてるわね、特別護衛がいないと男に飢えた女に絡まれるのよ。とっても危ないってわかった?」
「わかった……」
「あと明日は精子提供の日だから、今日は禁欲してね」
「精子提供?」
「ほら忘れてるでしょー。政府が打ち出した計画よ。16歳から39歳までの男性全員の義務なんだからね」
「わ、わかってるよ」
「本当に我慢しなさいよね。前回みたいにお姉ちゃんに当日朝に搾り取られて、採取の時に出ませんでしたとか言わないでよね」
(前回は奈々華に精子を搾り取られたのか?待てができないなんて情けないぞ俺)
「大丈夫だよ、ちゃんとためるから」
「お願いね。それと学校のことだけど、近いし清修高校がいいかしら」
「そこでいいよ」
「わかったわ。相談してみるね。あ、それと病院に行く時の特別護衛はどうするの? 先週と同じ千堂さんでいい?」
「千堂さん? 待って、自分でやるから」
「はいはい、ちゃんと依頼申請しときなさいね」
(この世界のことをもっと知るべきだな。独自のルールが結構あるかもしれない。)
朝ごはんを食べ終え、部屋に戻って色々調べることになった。
(男女比が1:300で過去最悪なのは間違いないな。ネットニュースでもトップで取り上げられてるし、フェイクではなさそう)
特別護衛について、男性が外出する際は必ず特別護衛をつけることが義務化されていること。
特別護衛の費用は国が全額負担で実質無料で頼めること。
事前申請制ではあるが、登録名簿の中から自由に選べること。
(名簿の顔写真、名前、年齢、身長、体重、スリーサイズ、住んでいる地域、職業、趣味、過去の特別護衛歴、本人からのコメントまで載ってるのか……まるでマッチングアプリだな)
個人情報保護が無視されているこの名簿は、仮に載せたくても簡単には載せることができない特別護衛のための名簿。
ここの名簿に載ることがステータスになる。
(現役の清修高校の高校生で特別護衛ができる人いないかな、やっぱり同い年の方がいいよな)
早速数人ヒットした。
毎日通う場所だから特別護衛だって同じ高校の方が効率がいいと考えたからだ。
現実で通っていた清修高校。
こちらでも共学の清修高校は存在している。歩いてでも行ける距離なので決めた高校だ。
「特別護衛1人に負担がないようにローテーション組むのもいいな。全員可愛いし正直誰でもいいや」
と言いつつ精子提供に行く際の特別護衛は、1番バストサイズが大きかった早見朱里に依頼メッセージを送った優吾だった。
タイトル通りの動画の内容を試した男子高校生がいた。
簡単にできるので、毎日好きな夢を見て過ごしていたある日の夜。
その男子高校生の世界が変わった。
(あれ?)
意識がはっきりしてきているのに夢の中で自分が作り上げた理想の姉、奈々華が添い寝をしている状況を飲み込めずに混乱する。
日サロで綺麗に焼けた肌と、ブリーチしたゆるふわロングの金髪、レースのキャミとショーツだけしか身につけてないので、巨乳、巨尻、挟まれたい太ももがしっかり見える。
「やっぱり奈々華だ……」
その声に奈々華が目覚め、優吾を見つめ声をかけた。
「優、おはよー」
「おはよ……」
「もう、起きるの?」
(俺まだ寝てるのか? あれ? これ夢のはずなんだけと)
夢から覚めたくて目を開けようするが、夢から覚めることができない。
このままだと学校に遅刻すると焦った優吾は、頭を叩いてみたり洗面所へ向かい顔を洗ったりしてみる。
「全然ダメだ? なんで?」
鏡で見る自分の顔に違和感があるが、それよりも焦りが加速していく。
「優、どうしたの?」
後ろから心配そうに声をかけてくれたのはさっきまで横にいた奈々華だった。
「学校に遅刻しちゃう」
「え?」
「分からないと思うけど、このままだと学校に遅刻しゃうんだよね」
「学校?」
「そう学校」
「優は男の子なんだから、学校なんて行ったら危ないよ」
「え?」
「さっきからなんか変だよ。悪い夢でも見たの?」
「ん? んん? ……これ俺の夢だよ、早く起きないと」
恐る恐るこの世界の真実を明かした優吾。
発言だけ切り抜くとただの勘違い野郎になりかねない。
「ふふなぁにそれ、夢じゃないよー。寝ぼけてないでほらお姉ちゃんの部屋に戻ろ!」
(俺は痛いやつかもしれない)
奈々華が優吾の腕をぐっとひっぱり部屋へ戻ろうとする。
「え、え? ちょっと待って、待って」
「もう、まだ寝ぼけてるの? ほらこっち向いて目覚めのチューしてあげる」
俺の顔を両手で包みキスをしてくる。
ちょっとだけ舌が入ってきた。
「どう? 目、覚めた?」
(もう、遅刻したっていい。もう、目が覚めなくていい。もう、一生ここでいい!)
「大丈夫もう目、覚めた、続きはまた後でしような」
「約束だよー」
一旦自分の部屋に戻って状況を整理する。
(つねっても痛い、目を閉じてまた開いても景色はやっぱり変わらないな。とりあえずスマホでこの世界を調べてみるか)
スマホで最近の時事ネタや過去の大きな出来事を調べ始めた。
現実世界と大きく違うのは女性が多いということ。
それは80年前、とある国から未知のウイルスが漏れ出したのが大きな原因となっている。
後にルキコ10ウイルスと呼ばれるそのウイルスは女性だけに感染する特徴があった。
感染力はインフルエンザの1500から2000倍ともいわれ、地球上の空気中ならどこでも300日以上生きていることができるらしい。
特徴は発症すると男児が生まれにくくなるということ。
ただ感染して発症していても気付くことはできず、検査をせずに自力でルキコ10ウイルスにきづくには数回妊娠する必要があった。
そのため感染拡大に気づいた時には、世界中のほとんどの女性が感染者となった。
最初に異変に気づいたのは産婦人科医達。
最近男児が生まれない。
直近10人の赤ちゃん全てが女の子。
確率が50%とはいえ10人連続は珍しい。
最初はその記録がどこまで伸びるかを看護師と話すぐらいの話題だった。
11人になり、12人になり、着々記録が伸びついには20人連続となる。
そこでこの産婦人科医が知り合いの産婦人科医にこのことを話すと、なんとそちらでも似たような事が起きていたそうだ。
過去20人中、男の子の赤ちゃんは1人だけ。
気になったので、知る限りの産婦人科医に直近の男女比率を聞いて回ることにするとどこも10対1や20対1、凄いところだと50対1ともなっていた。
この違和感はどの産婦人科医も持っていて、何か不調があるのかと妊婦の方に聞いてもいたって健康。むしろ良いと答えるほどだった。
女性には問題ない様に見えたのが発見を遅らせる原因となり、爆発的に感染が広がったのだった。
そして最大の問題はこのウイルスに特効薬が存在しないことや、このウイルスに対して体が持つ免疫が機能せず半永久的に体内に残り続けることだった。
更に副産物のような効果として強い老化防止と新陳代謝が上がり太れなくなる。
感染した女性の体は成長はしてもほとんど老化しないことが確認されていて、閉経前の女性はむしろ若返るとまで言われてる。
人体の細胞分裂の回数に関わるテロメアが伸び続けるようになったのが原因らしい。
(俺の夢やべぇな。夢の中でぐらいモテたいという一心で作った世界とは言え、男児が生まれない世界になるとは思わなかったぞ。この先も男が減り続けることが確実な世界なのはちょっと悲しいけど……)
「ゆーくーん、朝ごはんどーするー?」
悲しみに浸る間もなく、キッチンから母親が呼ぶ声がする。
ただ現実とは呼び方が違った。
(現実世界では「ゆうご」呼びだったはず)
「ゆーーくーーん?」
声が近くなってきたので優吾がドアを開けた。
「あっ、ゆーくん。朝ごはんできたよ!」
(若っ!しかも可愛いじゃん、母さん背が低いから夜道歩いてたら補導されるぞ)
老化防止の領域を超えた完全な若返り。
母親の高校時代の卒業アルバムを思い出すぐらい若い。
「う、うん、食べるよ。それより母さん……母さんって今何歳だっけ?」
「なーに、忘れちゃったの? 45よ」
(歳は現実世界と同じか。絶対ルキコ10ウイルスの影響だよな)
「そう……だったね。でも母さん可愛いよ、あっ」
「ゆっ!くん??? もっ、何急に? おだててもお小遣いあげないよ」
「べっ別にそんなんじゃねーーよ」
(おだてた訳じゃない。思わず漏れてた。なんか母さんも恥ずかしがってるけど、言った俺もそうとう恥ずかしいぞこれ)
リビングに行くと優吾の分の他に既に食べ終わった分が1つある。
食器がファンシー。
(これは、奈々華じゃないな。だとすると……)
「あのさ、もう食べたのかな?」
「葵ならもう学校行ったわよ」
(やっぱり葵だ。何回か前の夢の中で作り出した妹だ。そのまま反映されてるなんて嬉しいぞ)
「そーなんだ……ねぇ母さん、俺学校行っちゃダメかな」
「え!? ゆーくん、どうしたの? 学校は危ないんだよ」
(やっぱり奈々華と同じことを言うな学校が危ないってのは想像しづらい)
「家庭学習もいいけどさ、学校で学べることもあると思う。先週16歳にもなったしさ」
「周りは女の子しかいないんだよ。共学の学校でも他の男の子なんていないんだよ。飢えたワニがひしめく川の中に鶏を入れる様なものなんだよ」
(どこかの国の動物園でやってそうな食事のショーが、この国でも起こるなんて治安はどうなってるのか気になる)
「そうなんだ……それは危ない」
「でもどうしても、っていうなら特別護衛を付けて学校に行くならまだ安心かな」
「特別護衛?」
「特別護衛は男性を危険人物から守ってくれる、特別な訓練を受けた護衛の方のことよ」
「俺が守られる側なの?」
「当たり前でしょ、ゆーくん男の子なんだよ!」
「わかったよ。で、特別な訓練ってなに?」
「1番難しいのは護衛対象を好きにならないようにすることね」
「そんなの他の奴を好きになればいいだけだろ?」
「……んー。ゆーくん、頭でも打ったの?」
(俺は致命的な何かが欠けた人のように見えるのかもしれないな)
「大丈夫だよ。いつも通りだから」
「本当に? なーーんか違うきがするんだけど」
(この世界は俺の夢だけど、この世界の住人じゃないのは確かなんだよな。それでもどんなに怪しまれても、俺は俺なので変わることはできないぞ)
話を逸らす方法はないかキョロキョロし始めたところに、たまたまTVから『今月の男女比』なるものが流れてくる。
『今月の男女比は先月から更に女性側が多くなっており、1:300の数値で過去最悪となりました。政府が打ち出した男性増加計画も一年経ちますが効果がいまだ見えておりません』
「300……!」
「まーた増えてるわね、特別護衛がいないと男に飢えた女に絡まれるのよ。とっても危ないってわかった?」
「わかった……」
「あと明日は精子提供の日だから、今日は禁欲してね」
「精子提供?」
「ほら忘れてるでしょー。政府が打ち出した計画よ。16歳から39歳までの男性全員の義務なんだからね」
「わ、わかってるよ」
「本当に我慢しなさいよね。前回みたいにお姉ちゃんに当日朝に搾り取られて、採取の時に出ませんでしたとか言わないでよね」
(前回は奈々華に精子を搾り取られたのか?待てができないなんて情けないぞ俺)
「大丈夫だよ、ちゃんとためるから」
「お願いね。それと学校のことだけど、近いし清修高校がいいかしら」
「そこでいいよ」
「わかったわ。相談してみるね。あ、それと病院に行く時の特別護衛はどうするの? 先週と同じ千堂さんでいい?」
「千堂さん? 待って、自分でやるから」
「はいはい、ちゃんと依頼申請しときなさいね」
(この世界のことをもっと知るべきだな。独自のルールが結構あるかもしれない。)
朝ごはんを食べ終え、部屋に戻って色々調べることになった。
(男女比が1:300で過去最悪なのは間違いないな。ネットニュースでもトップで取り上げられてるし、フェイクではなさそう)
特別護衛について、男性が外出する際は必ず特別護衛をつけることが義務化されていること。
特別護衛の費用は国が全額負担で実質無料で頼めること。
事前申請制ではあるが、登録名簿の中から自由に選べること。
(名簿の顔写真、名前、年齢、身長、体重、スリーサイズ、住んでいる地域、職業、趣味、過去の特別護衛歴、本人からのコメントまで載ってるのか……まるでマッチングアプリだな)
個人情報保護が無視されているこの名簿は、仮に載せたくても簡単には載せることができない特別護衛のための名簿。
ここの名簿に載ることがステータスになる。
(現役の清修高校の高校生で特別護衛ができる人いないかな、やっぱり同い年の方がいいよな)
早速数人ヒットした。
毎日通う場所だから特別護衛だって同じ高校の方が効率がいいと考えたからだ。
現実で通っていた清修高校。
こちらでも共学の清修高校は存在している。歩いてでも行ける距離なので決めた高校だ。
「特別護衛1人に負担がないようにローテーション組むのもいいな。全員可愛いし正直誰でもいいや」
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