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セレスタ 波乱の婚約式編
フレスの来賓 1
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王子とレイフェミア様と如才なく挨拶をしたフレスの王妹殿下、マリエール様はにこやかにお二人と会話をしている。
セレスタに来るのは3年ぶりだったか、優しげな顔立ちをした彼女は実に変わった人物だった。
「マリナさんも久しぶりね。 時間があったらぜひお話しする時間がほしいわ」
護衛として控えているマリナにも声をかけてくださるような気さくな方……、ではなく魔法技術の獲得に余念のない強かな人だ。
フレスへの技術供与は国としても認めているのでマリナも遠慮なく話ができる。
もちろん話せないところは秘匿するが、王妹殿下もわかっているので一線を踏み越えてくることはない。
自身が魔法を使えるわけではないのに、魔術の成り立ちから魔道具の運用方法までよく知っている。
彼女が設計した魔道具も存在するくらい魔術にどっぷりと浸かった姫なのだ。
どれだけ変わり者なのかが知れる。
マリナとしては気難しいところもない話しやすい人だけれど。
「お久しぶりです、マリー様」
マリナが愛称を返すとぱっと花が咲いたように笑う。
「よくできました。
遠慮するようならまた同じ問答を繰り返さないといけないと思っていたのよ?」
「恐れ多いからと申し上げても取り下げてくださらないのはわかっていますから」
不敬と罵られることを恐れ、名前を呼ぶことすら断ろうとしたマリナに、マリエール様は根気強く言い聞かせてくれた。
周りの者には何も言わせない、自分を信じてほしいと、繰り返し。
それはもう、しつこかった。
そのおかげで親しく話をさせていただいているので文句を言う気はないが。
「あなたも婚約したんですって?
残念だわ、うちの人間と結ばれて嫁いで来てくれたら本当にうれしかったのに」
マリエール様のセリフにはマリナは苦笑を返す。
そう言ってくれるのはうれしいけれど、セレスタを捨てる気がなかったのでフレスに行くことはなかったと思う。
実際に不可能な話ではないので王子も苦笑している。
「如何にマリエール様の下でもマリナは行かせられませんよ」
「あら、以前の様子だったら無理な話ではないと思ったもの。
女性の魔術師が結婚を機に仕事を辞めるというのも珍しい話ではないし、フレスに来るなら外交としても申し分ないでしょう?」
マリエール様の言う通り、有り得ない話ではなかった。
マリナが手放せない存在ではない以上、フレスの人間と結婚したいと言ったところで咎められない。
寧ろ賛成する人間の方が多かったかもしれなかった。
「私がいなくなった上にフレスとの絆も強くなりますからね」
そんな話が出なくて何よりだった。当時のマリナには逃げるという選択肢があったのでお互いの国のメンツを潰すことになりかねなかった。
マリエール様がフレスの人と結ばれたらという前提を付けたのはそれが理由だろう。
政略結婚が必要とされる人たちと違ってマリナには守るものがなかったので逃げようと思ったら容易い。
もしかしてマリナがヴォルフと婚約していなかったら、今回の婚約式にはマリエール様の見繕った男性が送り込まれていたのかも。
にっこりと笑うマリエール様はそんなことをおくびにも出さなかったけれど、なんとなくマリナは自分の推測が正しいような気がした。
セレスタに来るのは3年ぶりだったか、優しげな顔立ちをした彼女は実に変わった人物だった。
「マリナさんも久しぶりね。 時間があったらぜひお話しする時間がほしいわ」
護衛として控えているマリナにも声をかけてくださるような気さくな方……、ではなく魔法技術の獲得に余念のない強かな人だ。
フレスへの技術供与は国としても認めているのでマリナも遠慮なく話ができる。
もちろん話せないところは秘匿するが、王妹殿下もわかっているので一線を踏み越えてくることはない。
自身が魔法を使えるわけではないのに、魔術の成り立ちから魔道具の運用方法までよく知っている。
彼女が設計した魔道具も存在するくらい魔術にどっぷりと浸かった姫なのだ。
どれだけ変わり者なのかが知れる。
マリナとしては気難しいところもない話しやすい人だけれど。
「お久しぶりです、マリー様」
マリナが愛称を返すとぱっと花が咲いたように笑う。
「よくできました。
遠慮するようならまた同じ問答を繰り返さないといけないと思っていたのよ?」
「恐れ多いからと申し上げても取り下げてくださらないのはわかっていますから」
不敬と罵られることを恐れ、名前を呼ぶことすら断ろうとしたマリナに、マリエール様は根気強く言い聞かせてくれた。
周りの者には何も言わせない、自分を信じてほしいと、繰り返し。
それはもう、しつこかった。
そのおかげで親しく話をさせていただいているので文句を言う気はないが。
「あなたも婚約したんですって?
残念だわ、うちの人間と結ばれて嫁いで来てくれたら本当にうれしかったのに」
マリエール様のセリフにはマリナは苦笑を返す。
そう言ってくれるのはうれしいけれど、セレスタを捨てる気がなかったのでフレスに行くことはなかったと思う。
実際に不可能な話ではないので王子も苦笑している。
「如何にマリエール様の下でもマリナは行かせられませんよ」
「あら、以前の様子だったら無理な話ではないと思ったもの。
女性の魔術師が結婚を機に仕事を辞めるというのも珍しい話ではないし、フレスに来るなら外交としても申し分ないでしょう?」
マリエール様の言う通り、有り得ない話ではなかった。
マリナが手放せない存在ではない以上、フレスの人間と結婚したいと言ったところで咎められない。
寧ろ賛成する人間の方が多かったかもしれなかった。
「私がいなくなった上にフレスとの絆も強くなりますからね」
そんな話が出なくて何よりだった。当時のマリナには逃げるという選択肢があったのでお互いの国のメンツを潰すことになりかねなかった。
マリエール様がフレスの人と結ばれたらという前提を付けたのはそれが理由だろう。
政略結婚が必要とされる人たちと違ってマリナには守るものがなかったので逃げようと思ったら容易い。
もしかしてマリナがヴォルフと婚約していなかったら、今回の婚約式にはマリエール様の見繕った男性が送り込まれていたのかも。
にっこりと笑うマリエール様はそんなことをおくびにも出さなかったけれど、なんとなくマリナは自分の推測が正しいような気がした。
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