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異世界<日本>視察編
夏のお出かけ 1
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待ち合わせの場所でシャルロッテたちを待つ。
シャルロッテとフローラ様は馬車で来ると聞いていた。
少し早かったかなと思ったところで二人を乗せた馬車が到着する。
「待った? ごめんなさいね」
馬車から降りながらシャルロッテが謝るので首を振る。そんなに待ってない。
「いえ、今来たところですよ」
「ああ、良かった。 少し家を出るのが遅れてしまったので間に合わないかと思いました」
シャルロッテの後ろからフローラ様も降りてくる。
ふたりとも夏らしい涼しげな装いだった。
シャルロッテは淡い水色のワンピース。
白の糸で繊細な刺繍が施されている。腰の部分に集中的に模様が刺繍されているので腰の細さが強調されて見えた。
フローラ様は白を基調としたワンピースで、襟元や袖口に黄色のレースがあしらわれていてとても可愛らしい。
髪型も普段とは違い軽く上げてあって印象が変わっていた。
「ふたりとも可愛らしいですね」
大人っぽい外見のふたりだけど今日は髪留めなどの小物も可愛らしい物でまとめられている。
「マリナは変わり映えしないわね」
「そうですね」
マリナはごく普通のワンピース……、上半身がシャツのようになっているので珍しいといえば珍しい形だけど。
色もシンプルに白と薄藍で夏らしく清潔感のある色味を選んでいる。
ただ、可愛く着飾ったふたりと並ぶと普段着といった感じで気おくれしてしまいそうだ。
「シャル、ちょうどいいじゃない」
フローラ様がシャルロッテの手を引いて何事か囁く。
視線がこっちに向いているのでマリナのことを話しているんだろう。
シャルロッテの目がおもしろそうに輝くのを見て嫌な予感が芽生えた。
「そうね、おもしろそうだわ」
目を細めるシャルロッテに逃げ腰になったマリナの退路をフローラ様が塞ぐ。
「マリナ様、今日は色々見ましょうね。 私ずっと楽しみにしていたんです」
微笑むフローラ様の表情は美しい。
それが却って怖く感じるのは自分が深読みしすぎなんだろうか。
曖昧な笑みを返して大人しくてついて歩き出した。
「マリナ様、こちらも試着してみてください」
差し出された服を苦笑いで受け取る。
もう何着着させられたのかわからない。
「疲れた顔するんじゃないわよ。
ドレスを作るときなんかもっと大変でしょう」
これくらいなら平気でしょうとシャルロッテに怒られた。
「ドレスは採寸だけしたらあとは全てお任せしてるので時間は左程かかりませんよ」
職人さんに任せて余計なことを言わない方が良い物ができると思う。
マリナみたいに知識のない人間なら尚更。
「作る数も少ないですしね」
着る機会がシャルロッテやフローラ様たちと比べると圧倒的に少ない。
「そういえば王子の婚約発表のときも婚約式の時もドレスじゃなかったわね」
「ええ、そういった場面では制服で出席します」
護衛として会場にいるのだから当然制服だ。それでも正装は十分に華やかで着飾った令嬢たちに見劣りするものではない。
王子の側に立つことを考えて作られているのだから当然かもしれない。王子はそれ以上に華美に着飾っているものだし。
「もったいないわね。 今日くらいは可愛くしなさいよ。
仕事を離れたときは着飾ったっていいのよ?」
「……そうですね」
シャルロッテの言葉に一拍返事が遅れる。
ここは王宮でもないし、マリナも何もできない子供じゃない。
子供の頃は着飾ることは身の程をわきまえない行為だと思っていた。
髪飾りすら着けなかったのは付け入る隙を作ることが怖かったから。
可愛らしい物を身につけるのはただでさえ幼い容姿の自分を更に幼く見せそうで。
そして王子やヴォルフの側で装うのは媚び、取り入ろうとしていると思われる危険があったから。
「ええ、綺麗な物や可愛い物は心を弾ませてくれますもの」
フローラ様も微笑んでシャルロッテに同意する。
マリナだって普段着ないような可愛い服には心が躍る。ただ着て出かける機会がないので手が伸びない。
そんなマリナを見透かしたのかフローラ様がにっこりと笑いながらもう一着服を手渡してきた。
「さあ、次はこれです。 きっと似合いますよ」
差し出された服を見て顔が引き攣った。
シャルロッテとフローラ様は馬車で来ると聞いていた。
少し早かったかなと思ったところで二人を乗せた馬車が到着する。
「待った? ごめんなさいね」
馬車から降りながらシャルロッテが謝るので首を振る。そんなに待ってない。
「いえ、今来たところですよ」
「ああ、良かった。 少し家を出るのが遅れてしまったので間に合わないかと思いました」
シャルロッテの後ろからフローラ様も降りてくる。
ふたりとも夏らしい涼しげな装いだった。
シャルロッテは淡い水色のワンピース。
白の糸で繊細な刺繍が施されている。腰の部分に集中的に模様が刺繍されているので腰の細さが強調されて見えた。
フローラ様は白を基調としたワンピースで、襟元や袖口に黄色のレースがあしらわれていてとても可愛らしい。
髪型も普段とは違い軽く上げてあって印象が変わっていた。
「ふたりとも可愛らしいですね」
大人っぽい外見のふたりだけど今日は髪留めなどの小物も可愛らしい物でまとめられている。
「マリナは変わり映えしないわね」
「そうですね」
マリナはごく普通のワンピース……、上半身がシャツのようになっているので珍しいといえば珍しい形だけど。
色もシンプルに白と薄藍で夏らしく清潔感のある色味を選んでいる。
ただ、可愛く着飾ったふたりと並ぶと普段着といった感じで気おくれしてしまいそうだ。
「シャル、ちょうどいいじゃない」
フローラ様がシャルロッテの手を引いて何事か囁く。
視線がこっちに向いているのでマリナのことを話しているんだろう。
シャルロッテの目がおもしろそうに輝くのを見て嫌な予感が芽生えた。
「そうね、おもしろそうだわ」
目を細めるシャルロッテに逃げ腰になったマリナの退路をフローラ様が塞ぐ。
「マリナ様、今日は色々見ましょうね。 私ずっと楽しみにしていたんです」
微笑むフローラ様の表情は美しい。
それが却って怖く感じるのは自分が深読みしすぎなんだろうか。
曖昧な笑みを返して大人しくてついて歩き出した。
「マリナ様、こちらも試着してみてください」
差し出された服を苦笑いで受け取る。
もう何着着させられたのかわからない。
「疲れた顔するんじゃないわよ。
ドレスを作るときなんかもっと大変でしょう」
これくらいなら平気でしょうとシャルロッテに怒られた。
「ドレスは採寸だけしたらあとは全てお任せしてるので時間は左程かかりませんよ」
職人さんに任せて余計なことを言わない方が良い物ができると思う。
マリナみたいに知識のない人間なら尚更。
「作る数も少ないですしね」
着る機会がシャルロッテやフローラ様たちと比べると圧倒的に少ない。
「そういえば王子の婚約発表のときも婚約式の時もドレスじゃなかったわね」
「ええ、そういった場面では制服で出席します」
護衛として会場にいるのだから当然制服だ。それでも正装は十分に華やかで着飾った令嬢たちに見劣りするものではない。
王子の側に立つことを考えて作られているのだから当然かもしれない。王子はそれ以上に華美に着飾っているものだし。
「もったいないわね。 今日くらいは可愛くしなさいよ。
仕事を離れたときは着飾ったっていいのよ?」
「……そうですね」
シャルロッテの言葉に一拍返事が遅れる。
ここは王宮でもないし、マリナも何もできない子供じゃない。
子供の頃は着飾ることは身の程をわきまえない行為だと思っていた。
髪飾りすら着けなかったのは付け入る隙を作ることが怖かったから。
可愛らしい物を身につけるのはただでさえ幼い容姿の自分を更に幼く見せそうで。
そして王子やヴォルフの側で装うのは媚び、取り入ろうとしていると思われる危険があったから。
「ええ、綺麗な物や可愛い物は心を弾ませてくれますもの」
フローラ様も微笑んでシャルロッテに同意する。
マリナだって普段着ないような可愛い服には心が躍る。ただ着て出かける機会がないので手が伸びない。
そんなマリナを見透かしたのかフローラ様がにっこりと笑いながらもう一着服を手渡してきた。
「さあ、次はこれです。 きっと似合いますよ」
差し出された服を見て顔が引き攣った。
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