不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。

桧山 紗綺

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子供たちはすくすく成長しています。ピクニックは楽しいです。

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兄と色々相談して離婚をすることに決めました。
夫から請求された賠償に関しては夫が浮気をしていた証拠を突きつけた上で拒否しました。
私が身籠ったのは夫の子ですし、してもいない不貞の証拠なんてあるわけないですからね。
反対に夫の浮気の証拠はいくらでもありますよ。
浮気してると掴んでから兄にちゃんと逐一報告していましたから。
ちゃんと子供たちの髪や目が夫と同じであることは伝えています。なのに一度会うことすら拒否したのです。
結果子供たちの父親については夫であることを否定しないとした上で親権は私たちの家が持つことになりました。
賠償金などはお互いに無しとしました。
私から賠償を請求をすることもできましたが、それよりも速やかに離婚することと子供たちの親権を完全にこちらが手に入れることが優先でしたので。
浮気を見逃して離婚することで子供たちに対する権利を得た感じですね。
泥沼離婚をせずに済んだのは良かったです。
多少はもめましたけど両家の間で話が済みましたのでね。
調停員なんかを入れると社交界の暇な人たちを喜ばせてしまいますから、両家で解決できてほっとしています。


走ってくる子供たちを両手で受け止めます。
今日は兄や使用人たちみんなでピクニックに来ました。

普段も屋敷の庭を駆け回っている双子たちは自然に大興奮しています。
馬車に乗っていたときから浮かれ通しでした。
今も一緒にピクニックに来てくれた冒険者の方に飛びついて一緒に探検しようと誘っています。
その冒険者の方が私の方を見て手を上げました。子供たちは任せてくださいと言って原っぱに駆け出した双子の後を追っていきます。
彼は私が元婚家を追い出されたときに助けてくれた冒険者です。
門の前で叫んでいた私の話を聞いて、家族の元まで送ってくれると約束してくれました。
どうやら身の上話を聞いて、主人のお手付きになり身籠って追い出された使用人だと思ったみたいですが。
兄の元にたどり着いて迎え入れられた私を見て驚いていたのが印象的でした。
まあ私も詳しい名前なんかは言っていませんでしたものね。
そこは貴族としての最小限の危機管理として黙っていました。
身重の身体ということで売り飛ばされる可能性は低いと思っていましたが、ただの親切な人かどうかは出会ったばかりのときは判断つきませんでしたもの。
本当にただの親切な人だったとわかったときは深く感謝いたしました。
兄もいたく感激して希望するなら屋敷で護衛として雇うことも申し出ていました。
護衛になることは辞退されてしまいましたが、それから彼はこの街を拠点として冒険者の仕事をしています。
その縁から時々遊びに来てくれ、子供たちもなついています。

信頼できる家族や友人に囲まれて私は幸せです。
本当に離婚してよかったと思います。夫の元では子供たちもあんなにのびのびとした笑顔では暮らせなかったでしょう。

探検を終えた子供たちが頬を上気させて走ってきます。
お弁当、お弁当、と歌いながらくるくる回っている二人のために使用人が手早くお弁当を広げました。
歓声を上げた二人の手を水魔法で綺麗にしてフォークを渡します。
口いっぱいに頬張る子供たちをみな微笑ましく見ていました。
同じように微笑み双子たちの世話を焼いていた彼へ料理を盛ったお皿を差し出します。
一瞬目を瞬いた彼が両手を差し出しました。彼の意図がわかって魔法で出した水で手を洗います。
きれいになった手を表裏観察して彼がお皿を受け取りました。
おいしい、と笑う彼に子供たちも笑顔でこっちもおいしいよと色々な料理を勧めています。
楽しそうなその様子に私も頬が緩んでしまいます。
ふと彼と目が合いました。微笑む私に彼も穏やかな笑みを返してくれます。
こんな幸せな日々が送れているのも彼のおかげ。
あの日この人と出会えた幸運に改めて感謝しました。


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