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第52話 知能がネズミ以下
しおりを挟む「ミサト様曰く、背中に入れた刺青が魔術陣の役割を持っており、普通であれば魔術陣を製作する時間がかかり戦闘では使えない魔術を行使できるようにしていると仰っていたが、あのクズの背中が青白く光っている所を見るとミサト様の言っていた事は正しかったようだな」
「流石ミサト様よねぇ。 まるで未来を見通しているかのごとき洞察力、そして相手の考えがまるで手に取るように分かってしまう智謀、その二つだけでも如何にミサト様が偉大な存在であるか分かるというものね。 でも、いくら何でも過保護過ぎだと私は思うわねぇ」
「あぁ、そうだな。 こんなゴミみたいな魔術陣から行使される、ゴミみたいな魔術で俺達がけがをすると思われていたのであれば少しだけ心外だな……っ」
「まぁ、だからこそここは危なげなくこのバカを倒して帰る事によって信頼を得るのよ」
そして我が魔術段位五の魔術を行使しようとしているにも関わらず、件の狼人族の男性とメスのラミアは、俺が行使しようとしている魔術を見ると、まるで天気の話をしているかの如くリラックスして喋り出すではないか。
魔術に精通していない者であっても空気中に渦巻く魔力を感じ取って今から我が行使する魔術がいかにヤバい物であるか理解できるというのに、どうやらこの馬鹿どもはそんな事すら理解できないようである。
しかしながらそれは我にとって千載一遇のチャンスでもある為、今から我が行使する魔術が魔術段位五である事は伏せて、背中に刻まれた魔方陣へと魔力を送り続ける。
「しかし、行使するまでに時間がかかりすぎなんじゃねぇのか? 流石にここまで時間が
かかってしまってはいくら何でも実践では使用できないだろう……」
「ホントそうよねぇ。 背中の魔術陣に魔力を注ぎ込んでいる時間に攻撃されたら目も当てられないわね……。 恐らく、部下たちに周囲を固めて貰ってから魔術を行使するまでの時間を確保した上で使う魔術だと思うのだけれども、その周囲を固める部下もいなければ私達の見えるところで行使するのだから、このクズの知能はネズミ以下なんじゃないかしら?」
そして件の二人は言いたい放題である。
しかしながらそうやって見下していれば良い。 わざわざこの魔術を行使するまで待っていてくれているのだからありがたく魔術を行使しようではないか。
そして、どちらの知能がネズミ以下であるのか思い知れば良い。
「馬鹿めっ!! 貴様らの知能が余りにも低すぎ、バカみたいに喋って時間を潰してくれたたお陰で魔術を行使できるぞっ!! 【炎魔術段位五・火炎牢獄】っ!!」
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