47 / 78
#4:宿泊研修~準備編
#4-2.どんな虫もダメです
しおりを挟む
ヒイロと別れ、寮へ向かおうと帰り道に差し掛かった時。
「どこか出掛けてたの?」
「あ、こんに……こんばんは、ケンティス先輩、マルセル」
タッタッタッと足音がして振り返れば、トレーニングウェアを来たマルセルとケントだった。
今日はどのクラブも活動休止だったはずだから、自主練でもしていたのだろう。
(いつの間に仲良く?)
二人もマリナと同じ生徒会所属ではあるが、生徒会室に二人でいる所を見たことがない。
そもそも、二人共ほとんど来ない。
ならば、学年も違い接点のないのにどうして?と思えば、やはり騎士部で親交を深めたのだろう。
マルセルが近衛騎士を目指しているなら、ケントとの付き合いはきっと助けになる。
「そう挨拶するほど遅いとしたら、淑女の帰宅時間ではないな」
暮れ泥む日はどんどん陰り、あっという間に外灯が薄ぼんやりと灯るほどの暗さになってしまっていた。
確かに、こんなに暗くなるまで出掛けているのはあまりよろしくない。
マルセルと親交を深めたとて、マリナとはほとんど付き合いがない。
最近、朝のランニングで打ち解けたような気がしていたが、本来ケントはこの若さで近衛騎士を務めるだけあって規範正しい真面目な人なのだろう。
遅くに出歩く慎みのない女だと失望させただろうか。
「すみませ……」
「寮まで送っていこう。マルセルは先に帰っておけ」
「でも、すぐそk」
「は、はい」
マルセルを見ると、声に出さずに「じゃあね」と言って軽く手を上げて走って行った。
後ろ姿を見送っていると、「行くぞ」と声を掛けられた。
ここ何日かですっかり見慣れた立派な体躯は、守られているようで随分安心するなあと、マリナは思いながら寮までの短い時間ケントの後ろを付いて歩いた。
(どうか、お腹が鳴りませんように!)
これ以上ケントに呆れられたくないとマリナが必死にそう思う中、隣に立つケントは別の理由で頭を悩ませていた。
「どこか出掛けてたの?」
「あ、こんに……こんばんは、ケンティス先輩、マルセル」
タッタッタッと足音がして振り返れば、トレーニングウェアを来たマルセルとケントだった。
今日はどのクラブも活動休止だったはずだから、自主練でもしていたのだろう。
(いつの間に仲良く?)
二人もマリナと同じ生徒会所属ではあるが、生徒会室に二人でいる所を見たことがない。
そもそも、二人共ほとんど来ない。
ならば、学年も違い接点のないのにどうして?と思えば、やはり騎士部で親交を深めたのだろう。
マルセルが近衛騎士を目指しているなら、ケントとの付き合いはきっと助けになる。
「そう挨拶するほど遅いとしたら、淑女の帰宅時間ではないな」
暮れ泥む日はどんどん陰り、あっという間に外灯が薄ぼんやりと灯るほどの暗さになってしまっていた。
確かに、こんなに暗くなるまで出掛けているのはあまりよろしくない。
マルセルと親交を深めたとて、マリナとはほとんど付き合いがない。
最近、朝のランニングで打ち解けたような気がしていたが、本来ケントはこの若さで近衛騎士を務めるだけあって規範正しい真面目な人なのだろう。
遅くに出歩く慎みのない女だと失望させただろうか。
「すみませ……」
「寮まで送っていこう。マルセルは先に帰っておけ」
「でも、すぐそk」
「は、はい」
マルセルを見ると、声に出さずに「じゃあね」と言って軽く手を上げて走って行った。
後ろ姿を見送っていると、「行くぞ」と声を掛けられた。
ここ何日かですっかり見慣れた立派な体躯は、守られているようで随分安心するなあと、マリナは思いながら寮までの短い時間ケントの後ろを付いて歩いた。
(どうか、お腹が鳴りませんように!)
これ以上ケントに呆れられたくないとマリナが必死にそう思う中、隣に立つケントは別の理由で頭を悩ませていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる