すべてはスライムで出来ている。

霧谷水穂

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栽培

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 ところで、何でスライムの核がボーケイになったんだろうな。

「それは、当たり前」
 ん?
 カークは何か知ってるのか?

「草スライムの核が、種なのは、人間みんな、知ってる」
 そうなんだろうな。

「でも、種が小さすぎて、倒した後で見つからない、場合が多い」
 そうなのか。

「地面に落ちると、近くの雑草を取り込んで、スライムとして復活」
 そうだな。

「でも今回は、センの上に乗ってた。だから、水も草も取り込めなかった」
 そうなんだろうな。

「だから、代わりに、センを取り込んだ」
 ほえ?
 センを?どういう事だ?

「センは水からできた、スライムで、頭の上で、苔が枯れずに、ある」
 そう言えばそうだな。

「だから、センを水として、取り込めば、植物としてなら生きられた。
 でも、小さいうちに、土に落ちたから、姿はボーケイの、スライムになった」
 それだと、地面の土にはスライムの核をスライムにする成分がある事にならないか?

「詳しくは、わからない」
 そうだよな。
 土の中なんて詳しくわかる奴がいたら驚きだ。

 だとしたら種の方にそんな力があったって事だな。
 本当に不思議な種だ。

「スライムは、住処によって、いろんな姿がある。だからケイもセンも、驚かれただけで、すんだ」
 野生でなければ、だろ?

「はい」
 一応カークがこっそり話してくれていたが、人間の壁の向こうではボーケイと神父様の駆け引きが今も続いている。
 ボーケイのあの様子だと、あそこまで人間側が警戒しなくてもいいと思うんだがな。

「アーサーなら、ボーケイとも、すぐ仲良くなれそう」
 そうか?

「センで、育ったから、兄弟。主様アーサーは親」
 な!そんな意識なのか?
 自分は動けない小石でしかないから助けられてばかりで、こっちが子なような感覚だったんだが。

「別の言い方なら、アーサーは、仲間」
 自分が呼んで生まれたスライムは子供で仲間なのか!
 そこまで意識してなかった。

「呼ばれた方は、生まれた瞬間から、絆が出来てる」
 ……カークの肩の上でセキ達が頷いている。
 そうか~少し嬉しいな。

「少し?」
 仕方ないだろ。
 自分はこの通り小石で、子供どころか仲間なんて意識は今までしたことが無かったんだからな。

「アーサーにいらないって言われるまで、ずっと一緒だ」
 ああ~それな。
 ケイには一回言った事がある。
 そしたら、砂に戻ったんだ。あれには驚いた。

 それでも呼んだらまた来てくれて助かった。
「アーサーに呼ばれるの、嬉しい。これ、一番」
 ああ、ありがとな。
 自分が呼んだからかな、皆に核が無いのは。

「俺らの核は、アーサーだよ?」
 それは直な繋がりだな。
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