すべてはスライムで出来ている。

霧谷水穂

文字の大きさ
31 / 39

しおりを挟む
 自分が消えなけりゃ、皆もスライムの姿を維持できるって事か。

「はい」
 人間にはこんな力を持ったやつはいるか?

「似た能力だと、召喚か。契約して呼ぶのと、波長で呼ぶのと、ある。アーサーのは波長の方、だと思う」
 スライムばかりだけどな。

「何か、波長のルールがあると、思う」
 砂と、水と、血液。あと水素もあったな。爆発したけど。

「媒体と、本人の力も必要」
 媒体はそれぞれの物質だな。
 自分の力と言うのは何だ?

「召喚の場合は、魔力」
 石にその魔力があると思うか?

「わからない、けど、呼ぶことが出来たから、持ってると思う」
 だとしたら、ケイを呼んだ時と、崖の壁をスライムにした時の物量の違いは何だと思う?

「注いだ魔力の量か、経験で物量が増えるのか、だと思う」
 呼ぶ時に力を意識してはいなかったから、経験の方かもしれないな。
 センの時はケイと同じ大きさだったし。

 まあ、そんなに大きさを求めてもいないが。
 そう言えば、自分はスライムを作れるが、カークは何か出来るのか?

「刃物の扱い、手入れ、気配を隠すこと、あとは、裁縫かな?」
 以外なのが最後に入っているな。

「ちょっと破れたとか、そのままだと、みっともないから」
 マメなんだな。

「一人で行動だと、出来て当然、くらい」
 良いと思うよ。
 カークが胸の前にぶら下がる自分を撫でる。
 特に触られてる感触とかはない。

「ありがとう」
 ……そう言ったカークの顔が緩んでいた。
 そのうち皆の能力も把握しとこう。


 あっちで、わっ!と人間の声が挙がったので、ボーケイの方に進展があったのだろう。
 もっと近付いて見よう。

 ボーケイの緑の手が神父様の手に乗せられ、その手を神父様がしっかり握っている。
 ボーケイに怯えは見えないし、神父様はニコニコしている。
 周りの人間も武器を地面に降ろし、二人を見つめている。

 神父様は自分のようにスライムと意思の疎通は出来るのだろうか?

「スライムに、気持ちは伝わる。でも、人間にスライムの気持ち、伝わりつらい」
 テイムってそんな感じなんだ。
 うちのスライム達は表現力豊かで助かるよ。

「スライムだって、思いはある」
 そうだな。
 でも感情を持っている人間の体の中に意思を持ったスライムが入っている、今のカークの状態はどうなんだ?

「カーク、死んだ。体、動く。記憶も出せる。でも、そこに意識はない。魂が失くなってる」
 そうなのか。
 魂って大事だな。
 自分の使う召喚は魂を呼んでいるのかもしれないな。
 そして媒体で体が作られる。
 何でスライムになるのかはわからないが。

 ボーケイは神父様と対話したが、根っこが生えていて動けないので現在の位置からの畑警備の担当になったようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...