上 下
67 / 163
聖戦の始まり

言うのが遅い!

しおりを挟む
 俺達は遺跡内のロボット共を破壊すべく、自爆スイッチのあるコントロールルームへと向かう。

 筈だったのだが-------------

「多過ぎだろ、これは…………!?」

「わたくしもこれは予想外ですね」

 それにしては、随分と涼しい顔をしてらっしゃいますねぇえええ!!!

 畜生っ!!!

 何でこうなってるんだ!?

 俺は全力全開で、遺跡の通路を必死で駆け抜けていた。

 入り組んだ道を駆使し、アルダートの道案内と共に逃げ惑う。

 俺達の背後には、津波のように迫るロボット群の姿が-------------

「うおおおおおおお!!!!!!」

 マシンガン、バズーカ、ミサイルなどの銃火器系の雨あられを躱して、また脇道へと入り込む。

 何でこうなった!?

 アルダートの話だと、俺達がいた王座の間から向かえば、罠などのトラップは無いって事だったのだが…………!?

 歩いていたら、いきなり壁がスライドして開いて、このロボット群が現れて追い掛け回して来やがった。

「そういえば、このルートには侵入者を妨害する緊急起動用のセンサーがありましたね。

 うっかり忘れていました。

 だから、あの時、壁から現れたんですか」

「おいっ!!!

 そんな大事な事は忘れんなっ!!!」

「申し訳ありません。

 後、あまりここを進むのはオススメしません」

「何でだっ!?」

「トラップがあるからです」

 カチッと嫌な音が鳴る。

「それを早く言えっ!!!」

 目の前から鉄球が現れて、こちらに向かって来た。

「失礼致します」

 アルダートは跳躍すると、勢いよく飛び蹴りを繰り出し、鉄球を粉々に粉砕する。

 でも、心なしか、その破片が俺の方に向かっている気がするんだが…………。

「申し訳ありません。

 うっかり、主の方へ破片を飛ばしてしまいました。

 すぐにお避けください」

「だから、遅いって!!!」


《マグナムモード》


 俺は既に装備していたシグマ・ブレードのビームピストルで破片を撃ち砕いて、通り抜ける。

 こいつ、さっきからわざとやってないか!?

 俺の隣を併走する駄メイドアルダートに疑いの眼差しを向けながら、次のルートを聞く。

「次は左です」

「左だなっ!?」

 言われた通りに左に曲がると、またもや嫌な音が-------------

「今度は水かよ!?」

 ロボット群を飲み込みながら、大量の水が背後から勢い良く迫る。

「そういえば、ここには水が流れるトラップがありましたね」

「だから、遅いっての!?

 ガバババっ!!!」

 この役立たずの駄メイドがっ!!?

 そう青筋を立てながら、アルダートと共に流される俺。

 ほんとに、俺達、コントロールルームに辿り着けるかのか?


 数十分後-------------


「主、コントロールルームに到着致しました」

「そう、そうか…………」

 何とか辿り着き、まるでボロ雑巾のように、地面に平伏していた俺はゆっくりと立ち上がると-------------

 今でも、涼しい顔で無表情に佇むアルダートに一言物申す!!

「さっきから言うのが遅過ぎるわ!!!

 俺を殺す気か!!!

 この駄メイドっ!?!?」

「それは申し訳ありませんでした。

 わざとです」

 もう嫌、こいつ…………!!
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約破棄署名したらどうでも良くなった僕の話

BL / 完結 24h.ポイント:3,715pt お気に入り:2,150

日常では味わえない欲望を求めて

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

二番目の夏 ー愛妻と子供たちとの日々— 続「寝取り寝取られ家内円満」

kei
大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:639pt お気に入り:26

あの日の誓いは今も

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:92

真面目系眼鏡女子は、軽薄騎士の求愛から逃げ出したい。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,048pt お気に入り:247

妻が遺した三つの手紙

恋愛 / 完結 24h.ポイント:6,938pt お気に入り:50

公爵家に生まれてしまいまして。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:534

処理中です...