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聖剣の秘密

面白い

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「フレジスタ王国…………それが、あんた達の国の名か…………?」

「はい…………」

 今、現在、アルダート達が用意した魔王のような大きな椅子に腰掛け、ノリノリで騎士達に尋問する俺。

 膝の上に座らせた少年の髪を優しく撫でながら、にこやかな笑みを浮かべて話す。

「それで、そのフレジスタ王国の騎士達が何でこんな所にいるんだ…………?

 答えてくれるかな?

 女神様?」

『…………はい…………』

 騎士達と同様に俺の前で、正座させられている愛の女神ベルミナ。

 ベルミナの話によると、盟友である、あのクソ女神ことオリヴィエが、また暴走して、躍起になって、俺を探し回っていたらしい。

 心配になった彼女は、自身の庇護下であるフレジスタ王国に協力を要請。

 女神ベルミナを信仰している王国の連中は、二つ返事でOKを出してくれたそうだ。

 そんで、数日掛けて、オリヴィエを捜索。

 見つけた時には、既にハート王国内だったので、きちんと手順を踏んでから行軍し続けたそうだ。

 はん。

 なるほどね。

 だから、さっきからネズミが紛れ込んでいるのか。

 さっきから、こちらの様子を遠目から窺っている、まるで忍者のような連中が、少し離れた森の中で姿を隠している。

 中々の隠密能力だが、俺の手元のレーダーにバッチリと映っている。

 アンドロイドであるアルダートも、熱源センサーとか、色々と付いてる訳だし、当然、気付いている。

 というか、さっきから、分かり易くチラチラとそっちの方に目線を向けてると、すぐにバレるよ?

 まぁ、別にバレても問題ないけど?

 心の中で、そうは言いながらも、悪意を向けて、監視者達のいる方へと手を振る俺。

 スマイル、スマイル♪

『『!!!』』

 余程の自信があったのか、監視者達が慌てた様子で、その場を離れて行く。

 手元のレーダーにも、その様子がはっきりと映し出されており、非常に愉快だわ。

「あの…………どうなされたのですか…………?」

 俺の行動を不思議に思ったのか、俺の膝の上にいる少年が不思議そうに、こちらを見つめて来る。

 いかんいかん!

 これじゃあ、ただの不審者だ。

 何でもないよ、と少年の問いに笑顔で答えておこう。


 さて、話は戻りまして-------------


 まぁ、そんなこんなと、いろんな事があって-------------ようやく、女神ベルミナは、オリヴィエと接触を果たすが、俺を諦めきれないオリヴィエが暴走。

 現在に至る。

 ほんと、救いようがない奴だな…………。

『あ、あの…………それで、オリヴィエは--------』

「天に召された…………」

 俺は恐る恐る問い掛けようとする、女神ベルミナの言葉を遮り、端的に答えた。

『そう…………ですか…………』

 目に涙をいっぱいに溜め、悲しげに俯くベルミナ。

 そんな悲しい顔をされても、襲って来たあいつが悪い。

 恩には恩を、仇には仇を返さないと…………。

「他に…………方法はなかったのですか…………?」

 膝の上で、非難するような目付きで少年が訊いて来る。

「方法も何も、奴は加害者で、俺、被害者。

 先に剣を振り下ろして来たのは、あっちだ。

 俺が非難される謂れはない」

「で、ですが…………あなた程の実力があれば、他にもやりようがあった筈です…………」

 弱々しく、怯えながらも、しっかりと自分の想いを口にする少年。

「だから、何だって言うんだ?

 人の話も聞かない自分勝手で、自己中心的な女神の為だったら、俺は気持ちは蔑ろにして良いと…………?」

「そ、そうは言って、ません。

 ぼ、僕は…………た、ただ、殺す事だけなのはいけないと言いたいんです」

「……………………」

 やっぱり、面白いな…………。

 このガキ-------------

 ほんとは、怖いくせに、今すぐにでも、逃げ出したいくせに-------------

 でも、そんな恐れを抱えながらも、必死で踏み止まって、真っ直ぐ前を見つめる、その綺麗な青い瞳。

 しかも、今の発言は、女神ベルミナに対しての言葉ではなく、俺自身に向けられた言葉だ。

 まだ、ガキのくせして、中々、肝が据わってやがる。
 
「なぁ? 

 お前、何て名だ…………?」

「…………え? 

 名前、ですか?」

「そう言ったんだが…………?」

 またもや、不思議そうに首を傾げる少年。

 頭に?マークを浮かべていそうな間の抜けた顔をしながらも、口を開いた。

「リヒトです。

 リヒト・フレジスタ。

 それが、僕の名前です」
 
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