134 / 163
脅威
納得がいかない
しおりを挟む
「…………あの…………あれで、よろしかったのですか?」
移動要塞へと転移するなり、不安げに聖女が俺に問い掛けて来た。
「問題はない。
ああいう奴らには、あれくらいで丁度良い…………。
下手にこっちが手を差し伸べたら、いつまでも甘い汁を啜ろうと画策するような外道な連中だ。
同情するだけ無駄だぞ…………?」
何せ、聖女様。
平和とやらの為に、あんたを生贄にする奴らだ。
情けなどいらん。
「そうなのですか?」
いや、そんな悲しげに訊かれても-------------
第一、協力するメリットが、こっちには何もない訳だし、問題は無いと思うぞ?
あいつら、どうせ、あのエセ勇者とかを利用しようと考えるんだろうけど……………………逆に、自分達の首を締める羽目になるだろうからな…………。
それを踏まえても、迷惑以外の何者でもない。
何もしないなら、放っておくに限る。
「……………………」
でも、聖女様は納得いっていないご様子。
「…………心配しなくても、奴らなら、何とかするだろう…………。
そんな事よりも、まずはお前の治療が先だ」
尚も言いたげな視線を向けて来る聖女に対して、うんざりしながらも答えた俺。
シスターズ共は、あのポンコツ駄メイドの所為で使えねぇ…………だから、俺が連れて行くしかない。
こうなるかもと、徹夜して、頭に要塞の見取り図を叩き込んで置いて良かったぜ。
------------------------------------------
~剣聖サイド~
一方、湊に拒絶され、転移を許してしまったベリンキューム帝国では、湊達が消え去った場所を悲しげに見つめ、佇む剣聖の姿があった。
「やっぱり、彼は私達に協力してくれないみたいね」
しばし、剣聖が眺めていると、背後からゆっくりとサキュバスのヘレスディアが声を掛けて来る。
そして、剣聖の隣に立ち、ソッと剣聖である彼女の肩に手を添えた。
「でも、それは仕方のない事なのかもしれないわね」
見るからに、残念そうに呟くヘレスディアの発言に耳を傾けながら、剣聖も同意するように、静かに頷いた。
話は逸れるが、魔族との休戦の最中、剣聖とヘレスディアとで、とある情報交換が行われた。
それはもちろん、彼-------------如月湊に関する情報だ。
私はその時、ヘレスディアから伝えられた情報に、耳を疑った。
彼を召喚したと思われるリズネーゼ王国は、彼を召喚した後、生産系のスキルだからと彼を魔物が多く現れる危険な森へと捨てたらしい。
そして、私が彼と出会うきっかけになった、あのスタンピード事件。
事もあろうに、彼の秘密に気付いたその国は、彼を連れ戻そうと捕縛部隊を秘密裏に送り込んだ。
だが、返り討ちに遭い、彼に慈悲を請い、戻って来て貰うように嘆願した。
当然、怒り心頭な彼は拒否。
リズネーゼ王国を守護していた女神様も、その捕縛部隊をに協力して、神罰を落とすなど、彼を脅したみたいだが、逆に王国を滅ぼすと脅され、渋々、従ったそうだ。
そして、王国へ帰還する途中、彼を欲する他の女神に隙を突かれた後、取り込まれた。
その結果、リズネーゼ王国は女神の加護を失い、魔族によってなす術もなく、滅ぼされた。
ヘレスディアは、戦いに敗れ、捕虜となった、そのリズネーゼ王国の連中から、何とか、彼の事を聞き出したのだ。
だからこそ、ヘレスディアはこう思っているのだろう。
異界の地から、自分の意思とは関係なく呼び出された彼が、このような不当な扱いを受けて来て、今更、この世界の私達に手を貸してくれる訳がないと-------------
それは違う。
なんて事は言えない。
何故なら、私だって、自分達の都合で、仲間を生贄した。
話を聞かず、一方的に何度も彼に刃を向けた。
なのに、謝りもせず、彼の力を頼ろうとした。
もし私が彼の立場だったら、このような行いをした連中を許しただろうか?
私だったら、許せない。
許せる筈がない。
だから、私は-------------
「た、大変です!!」
物思いに耽っていると、城内から一人の騎士が慌てた様子で、私達に駆け寄って来た。
一体、何事かと、周りの者達も、その騎士の方へと視線が集中した。
「ミズーリ王国が滅ぼされました!!!」
その騎士の叫びの元、報告を聞き、皆、焦りにも似た焦燥感が顔に滲み出ている。
無理もない。
このまま、何も対処出来ず、聖戦を放っておけば、いずれこの国も、その厄災に見舞われ、滅び去る。
そう、滅びはまだ始まったばかりだ。
この報告の後、世界は更なる災厄に呑まれて行く。
移動要塞へと転移するなり、不安げに聖女が俺に問い掛けて来た。
「問題はない。
ああいう奴らには、あれくらいで丁度良い…………。
下手にこっちが手を差し伸べたら、いつまでも甘い汁を啜ろうと画策するような外道な連中だ。
同情するだけ無駄だぞ…………?」
何せ、聖女様。
平和とやらの為に、あんたを生贄にする奴らだ。
情けなどいらん。
「そうなのですか?」
いや、そんな悲しげに訊かれても-------------
第一、協力するメリットが、こっちには何もない訳だし、問題は無いと思うぞ?
あいつら、どうせ、あのエセ勇者とかを利用しようと考えるんだろうけど……………………逆に、自分達の首を締める羽目になるだろうからな…………。
それを踏まえても、迷惑以外の何者でもない。
何もしないなら、放っておくに限る。
「……………………」
でも、聖女様は納得いっていないご様子。
「…………心配しなくても、奴らなら、何とかするだろう…………。
そんな事よりも、まずはお前の治療が先だ」
尚も言いたげな視線を向けて来る聖女に対して、うんざりしながらも答えた俺。
シスターズ共は、あのポンコツ駄メイドの所為で使えねぇ…………だから、俺が連れて行くしかない。
こうなるかもと、徹夜して、頭に要塞の見取り図を叩き込んで置いて良かったぜ。
------------------------------------------
~剣聖サイド~
一方、湊に拒絶され、転移を許してしまったベリンキューム帝国では、湊達が消え去った場所を悲しげに見つめ、佇む剣聖の姿があった。
「やっぱり、彼は私達に協力してくれないみたいね」
しばし、剣聖が眺めていると、背後からゆっくりとサキュバスのヘレスディアが声を掛けて来る。
そして、剣聖の隣に立ち、ソッと剣聖である彼女の肩に手を添えた。
「でも、それは仕方のない事なのかもしれないわね」
見るからに、残念そうに呟くヘレスディアの発言に耳を傾けながら、剣聖も同意するように、静かに頷いた。
話は逸れるが、魔族との休戦の最中、剣聖とヘレスディアとで、とある情報交換が行われた。
それはもちろん、彼-------------如月湊に関する情報だ。
私はその時、ヘレスディアから伝えられた情報に、耳を疑った。
彼を召喚したと思われるリズネーゼ王国は、彼を召喚した後、生産系のスキルだからと彼を魔物が多く現れる危険な森へと捨てたらしい。
そして、私が彼と出会うきっかけになった、あのスタンピード事件。
事もあろうに、彼の秘密に気付いたその国は、彼を連れ戻そうと捕縛部隊を秘密裏に送り込んだ。
だが、返り討ちに遭い、彼に慈悲を請い、戻って来て貰うように嘆願した。
当然、怒り心頭な彼は拒否。
リズネーゼ王国を守護していた女神様も、その捕縛部隊をに協力して、神罰を落とすなど、彼を脅したみたいだが、逆に王国を滅ぼすと脅され、渋々、従ったそうだ。
そして、王国へ帰還する途中、彼を欲する他の女神に隙を突かれた後、取り込まれた。
その結果、リズネーゼ王国は女神の加護を失い、魔族によってなす術もなく、滅ぼされた。
ヘレスディアは、戦いに敗れ、捕虜となった、そのリズネーゼ王国の連中から、何とか、彼の事を聞き出したのだ。
だからこそ、ヘレスディアはこう思っているのだろう。
異界の地から、自分の意思とは関係なく呼び出された彼が、このような不当な扱いを受けて来て、今更、この世界の私達に手を貸してくれる訳がないと-------------
それは違う。
なんて事は言えない。
何故なら、私だって、自分達の都合で、仲間を生贄した。
話を聞かず、一方的に何度も彼に刃を向けた。
なのに、謝りもせず、彼の力を頼ろうとした。
もし私が彼の立場だったら、このような行いをした連中を許しただろうか?
私だったら、許せない。
許せる筈がない。
だから、私は-------------
「た、大変です!!」
物思いに耽っていると、城内から一人の騎士が慌てた様子で、私達に駆け寄って来た。
一体、何事かと、周りの者達も、その騎士の方へと視線が集中した。
「ミズーリ王国が滅ぼされました!!!」
その騎士の叫びの元、報告を聞き、皆、焦りにも似た焦燥感が顔に滲み出ている。
無理もない。
このまま、何も対処出来ず、聖戦を放っておけば、いずれこの国も、その厄災に見舞われ、滅び去る。
そう、滅びはまだ始まったばかりだ。
この報告の後、世界は更なる災厄に呑まれて行く。
0
あなたにおすすめの小説
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
「え、俺なんかしました?」無自覚チート《概念編集》で石ころを魔石に、なまくらを聖剣に書き換えて、国を追われた聖女様と世界を救う
黒崎隼人
ファンタジー
「え、俺なんかしました?」
ごく普通の大学生、朝霧 海(あさぎり かい)が迷い込んだのは、剣と魔法が息づく異世界エーテルディア。右も左も分からぬままモンスターに襲われた彼を救ったのは、聖なる光を操る謎の美少女、ルミナだった。
彼女は言った。『あなた、一体何者なの?』と。
カイ自身も知らない、触れたモノの”理”を書き換えるチート能力《概念編集(リアライター)》。
「ただの石」が「爆ぜる魔石」に? 「なまくらの剣」が「伝説級の聖剣」に!?
無自覚に規格外の力を振るうカイは、やがて国を追われる訳ありの少女ルミナと共に、巨大な陰謀に立ち向かう運命に巻き込まれていく。
これは、一人の平凡な青年が、大切な人を守るために世界の理すら書き換えて最強へと至る、王道異世界ファンタジー!
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる