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第三章 際限なき悪意
依代
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鼻の辺りに例の青年の姿を見つけた俺は、嫌な記憶が思い起こされる。
それは、かつて、あのアレクセイと過ごしていた時の事。
まだ、ヴァルキリー計画が始まったばかりの話だ。
「依代の魔法……?
何だよ、それ…………」
「う~ん…………。
簡単に言えば、人間を生贄にして、供物にする魔法…………かな……?
大昔には、そう言った魔法が主流だった時代があってね。
その魔法が使えれば、絶大な力と半永久的な命を得られるとされていたんだ。
まあ、その代償として、発動者は自我と記憶の全てを失った上に、魔物へと変貌したらしくてね。
その危険性が判明してから、今では使ってはいけない魔法。
禁呪魔法として、現代では厳しく取り締まられている。
死霊魔法を使う者にとっては、有名な話で、私が最も嫌っている魔法の一つだよ」
あの時のあいつは心底、嫌悪し切った顔をしていたのをよく覚えている。
もし、俺の考えている通りなら、あの大馬鹿青年はその依代の魔法を行使したのだろう。
どうやって知ったかは知らないが…………。
その影響で、絶大な力と半永久的な命を手に入れ、魔物化した。
それ以外に考えられない。
面倒な事をしてくれやがって…………!!?
ともかく、これは俺一人じゃ対処は不可能だ。
俺はバイザーにこの周辺の地形情報を表示する。
どうやら、この馬鹿の進行方向の先には小規模な領地があるらしい。
移動速度からして、その領地までの到達時間は役一週間。
出来れば、もう少し時間が欲しい。
「仕方ないかなぁ~…………」
亜空間収納から二メートルくらいになる巨大な砲身を取り出して、胸部の集束砲にドッキングし、狙いを定め始める。
狙いはあの馬鹿の腹部の少し上。
丁度、腹と胸の中間辺りの位置に照準を合わせる。
《アブソーバーシステム起動》
《リミットオーバードライブ》
《複合神聖の同調率八十パーセントを突破》
《次元凍結砲コキュートス発射準備完了まで、五・四・三・二・一…………出力規定値を突破》
《姿勢制御シークエンスへと移行します》
「フルバーストおおおおおおお~!!!!」
俺がトリガーを引いた瞬間、全ブースターが点火され、砲身から先程までよりも大きな魔力砲が放たれる。
砲身が軋み、亀裂が入っていく。
「っ!? 胸部装甲及び砲身をパージ!」
危険と判断した俺は放射途中にも関わらず、装甲を外して、緊急離脱する。
その判断は正しく、パージして、緊急離脱した瞬間、砲身の亀裂から氷の刃が次々と貫き、砲身自体を徐々に凍らせていく。
そして、その全てが凍り付き、地面に落下すると、粉々になって砕け散る。
それと同じように、あの馬鹿も身体の節々が凍り始め、次第に動きが鈍くなって行き…………。
氷の巨像へと成り下がるまで、然程、時間は掛からなかった。
「やっぱり、まだ、使うべき時じゃないわねぇ~…………」
凍り付くあの馬鹿を見て、やり過ぎたと反省する俺。
とりあえず、これからどうするべきかな~…………。
それは、かつて、あのアレクセイと過ごしていた時の事。
まだ、ヴァルキリー計画が始まったばかりの話だ。
「依代の魔法……?
何だよ、それ…………」
「う~ん…………。
簡単に言えば、人間を生贄にして、供物にする魔法…………かな……?
大昔には、そう言った魔法が主流だった時代があってね。
その魔法が使えれば、絶大な力と半永久的な命を得られるとされていたんだ。
まあ、その代償として、発動者は自我と記憶の全てを失った上に、魔物へと変貌したらしくてね。
その危険性が判明してから、今では使ってはいけない魔法。
禁呪魔法として、現代では厳しく取り締まられている。
死霊魔法を使う者にとっては、有名な話で、私が最も嫌っている魔法の一つだよ」
あの時のあいつは心底、嫌悪し切った顔をしていたのをよく覚えている。
もし、俺の考えている通りなら、あの大馬鹿青年はその依代の魔法を行使したのだろう。
どうやって知ったかは知らないが…………。
その影響で、絶大な力と半永久的な命を手に入れ、魔物化した。
それ以外に考えられない。
面倒な事をしてくれやがって…………!!?
ともかく、これは俺一人じゃ対処は不可能だ。
俺はバイザーにこの周辺の地形情報を表示する。
どうやら、この馬鹿の進行方向の先には小規模な領地があるらしい。
移動速度からして、その領地までの到達時間は役一週間。
出来れば、もう少し時間が欲しい。
「仕方ないかなぁ~…………」
亜空間収納から二メートルくらいになる巨大な砲身を取り出して、胸部の集束砲にドッキングし、狙いを定め始める。
狙いはあの馬鹿の腹部の少し上。
丁度、腹と胸の中間辺りの位置に照準を合わせる。
《アブソーバーシステム起動》
《リミットオーバードライブ》
《複合神聖の同調率八十パーセントを突破》
《次元凍結砲コキュートス発射準備完了まで、五・四・三・二・一…………出力規定値を突破》
《姿勢制御シークエンスへと移行します》
「フルバーストおおおおおおお~!!!!」
俺がトリガーを引いた瞬間、全ブースターが点火され、砲身から先程までよりも大きな魔力砲が放たれる。
砲身が軋み、亀裂が入っていく。
「っ!? 胸部装甲及び砲身をパージ!」
危険と判断した俺は放射途中にも関わらず、装甲を外して、緊急離脱する。
その判断は正しく、パージして、緊急離脱した瞬間、砲身の亀裂から氷の刃が次々と貫き、砲身自体を徐々に凍らせていく。
そして、その全てが凍り付き、地面に落下すると、粉々になって砕け散る。
それと同じように、あの馬鹿も身体の節々が凍り始め、次第に動きが鈍くなって行き…………。
氷の巨像へと成り下がるまで、然程、時間は掛からなかった。
「やっぱり、まだ、使うべき時じゃないわねぇ~…………」
凍り付くあの馬鹿を見て、やり過ぎたと反省する俺。
とりあえず、これからどうするべきかな~…………。
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