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コトダマ、在中
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※この文章には、記録上の不具合が複数含まれており、
文中の【■】は判読不能な部分です。読む際にはご注意ください。
先月、自殺した妹の遺品を整理していたときのこと。
彼女のノートパソコンの中に、「kotodama_log.txt」というファイルがあった。
中を開いてみた。
【■】
言葉には、意味以上の力がある。
私は、【あの言葉】を読んだときから“聞こえる”ようになった。
『テキストに宿る呪い』なんて、笑ってた。
けど、これは本物。今のあなたも、もう【■】の声がしているでしょ?
笑えなかった。
だってその瞬間、本当に耳元で囁かれたんだ。
「みたね」
一語だけ。女の声。
幻聴かと思った。でも、パソコンの画面はさらに進んでいた。
“ことだま”は、読んだ者の記憶と感情を媒体にして、定着する。
この文章を最後まで読んだとき、あなたの中に『在るもの』が移る。
以下、封印コード
「かならず、ふたつめを よまないで」
思わずスクロールを止めた。
だがその下には、ふたつめのログファイルの存在が記されていた。
「kotodama_log2.txt」
開くべきではない。そう思った。
でも、妹はこれを読んだ。
そして自ら命を絶った。
俺は知るべきだと思った。読むことで、何が起きたのか。
開いてしまった。
【kotodama_log2.txt】
おかえりなさい。もう逃げられません。
“それ”はすでに、あなたの名前を覚えました。
名前:■■(ログに自動挿入されます)
日時:■■年■■月■■日、読了確認済み。
次にこのファイルを開いた者が、あなたを“解放”してくれます。
それまで、あなたの内側に居させてください。
今、あなたはこの文章を最後まで読んでしまいました。
目を離した今でも、胸の奥で“なにか”が蠢いている感覚があるでしょう。
大丈夫です。
その違和感は、数時間で消えます。
完全に“馴染めば”。
ただし、もし眠る前に耳元で声がしたら――
それは次のkotodama_log3.txtが、
あなたの中で開かれた合図です。
おやすみなさい。
文中の【■】は判読不能な部分です。読む際にはご注意ください。
先月、自殺した妹の遺品を整理していたときのこと。
彼女のノートパソコンの中に、「kotodama_log.txt」というファイルがあった。
中を開いてみた。
【■】
言葉には、意味以上の力がある。
私は、【あの言葉】を読んだときから“聞こえる”ようになった。
『テキストに宿る呪い』なんて、笑ってた。
けど、これは本物。今のあなたも、もう【■】の声がしているでしょ?
笑えなかった。
だってその瞬間、本当に耳元で囁かれたんだ。
「みたね」
一語だけ。女の声。
幻聴かと思った。でも、パソコンの画面はさらに進んでいた。
“ことだま”は、読んだ者の記憶と感情を媒体にして、定着する。
この文章を最後まで読んだとき、あなたの中に『在るもの』が移る。
以下、封印コード
「かならず、ふたつめを よまないで」
思わずスクロールを止めた。
だがその下には、ふたつめのログファイルの存在が記されていた。
「kotodama_log2.txt」
開くべきではない。そう思った。
でも、妹はこれを読んだ。
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開いてしまった。
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おかえりなさい。もう逃げられません。
“それ”はすでに、あなたの名前を覚えました。
名前:■■(ログに自動挿入されます)
日時:■■年■■月■■日、読了確認済み。
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今、あなたはこの文章を最後まで読んでしまいました。
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大丈夫です。
その違和感は、数時間で消えます。
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