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しおりを挟む男慣れしていないお姫様の私でも矜持がある。今までの仕打ちを簡単に忘れたりしない。
握られた手をさっと引き抜いた。後ろにいるアンナに向かって手を出すとハンカチを渡されたので、ごしごしと唇が触れた場所を拭う。本当によくできた侍女だこと。
ちらっと王太子を見るとショックを受けた様な顔をしていた。ふん私はもっと酷い目にあって来たのよ。思い知れ!そう思いながら口を開く。
「そう言うことをして欲しいのじゃないのです。今まで番を求めて蔑ろにしていた私に求婚するなら、誠意を見せて下さい」
ゆすりたかりの人間の様な台詞だわと内心思ったが、押し切って続けることにした。
「ニック卿から番を求める本能を抑え込む魔道具が出来たと聞きました。すでにニック卿もリヒャルト卿も身につけられてるとか。私に求婚するなら直ぐにでも身につけてから出直して下さい!番を求める本能を持つ竜人と結婚する番じゃない人間の不安を解消してやろうと思わないのですか!今この時にでも番があなたの前に現れるかもしれないのですよ!そうしたらあなたは私に求婚していたって、あっという間に反故にするんでしょう?」
自分比二倍増しで憎々しげに王太子を睨んでやった。まあ、王太子の番は私だとニックとリヒャルトが言っていたから、他の番が現れる心配はないのだけど。
そう私が言うと、王太子じゃない方から
「そんな魔道具があるのか!」
と叫ぶ声が聞こえた。あれ?誰かしらとそちらを見ると、国王陛下だ。国王がニックとリヒャルトが座ってる場所に立ち上がって歩み寄った。
「ニック、リヒャルト、エレオノーラ王女の言う魔道具はどんなものなのだ」
リヒャルトがゆっくりと立ち上がり、自分の耳を指差した。
「陛下、このピアスの中に魔術陣が書き込まれ、一生取れない様に魔術がかけてあります。私は番を求める一生はごめんです。ましてや、私の先祖の王弟の様に誰も幸せになれない番の衝動に身を任せるつもりはありません」
きっぱり、そう言うリヒャルトは美形なこともあるが、うん、素敵だこと。惚れてしまいそうだ。あ、あくまで比喩ですからね。
「すぐ私にも付けてくれ」
そう言い出す国王。周りはびっくりしたようで国王を注視した。中でも王妃はびっくりして目を見開いていた様だが、突然笑い出した。
「おーほほおおぉぉーーーー」
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