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学園入学前
愛というもの 公爵令嬢ナターリエ
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オットーとノーラが怖い顔で立ちすくんでいる。
「二人共、顔が怖い、ソファに座って。私の両親の話なんでしょう?聞く覚悟はできてるし、物心ついてから会ったことがないというだけで察してはいるから。」
わざと砕けた物言いをして、二人に座るように促した。
「何からお話していいのかと思い悩みましたが、お嬢様には全てを聞く権利があると思い、お話させていただきます。」
オットーは決心したように顔を上げた。
「話は遡ってご当主ベンノ様が学園に在学中のことでした。私は当時従者としてベンノ様にお仕えしておりました。ベンノ様には二つ年下の婚約者の侯爵令嬢ローゼマリー様がいらっしゃいました。幼いころからの婚約者で、ずっと交流しておられましたので、仲はよろしかったとお見受けいたしておりました。」
オットーは遠くを見るような目をした。
「ベンノ様は同級生だった侯爵令息ハンス様と王太子殿下の側近候補として行動を共にされておりました。そこに伯爵令嬢バルバラ様が加わるようになったのです。現在は王太子妃にあらせられますが、私はバルバラ様の言動に困惑しておりました。」
オットーは苦虫を噛み潰したような顔をした。
「バルバラ様は三人に同じように媚を売り、腕にすがり己の胸を押し付け、にっこりと微笑み、各々に効果的な優しいことばをかけておりました。巧みに一人一人己だけと思わせておりました。私はベンノ様に婚約者がいらっしゃる貴族子息にする態度ではないと苦言を呈しておりましたが、ベンノ様に嫌がられて、バルバラ様との逢瀬には置いていかれるようになりました。」
オットーは目を伏せた。
「これからの話はお年頃のお嬢様にはきつい話になると思いますが、大事なことなのでしっかりと聞いてください。」
ノーラが立ち上がり、私の隣に座って手を握ってくれた。
「バルバラ様は三人と肉体関係にありました。」
ノーラがギュッと手を握ってくれて
「肉体関係の意味はお分かりですか?」
と聞いてくれた。
「家庭教師から貴族の嗜みとして、性教育は受けてるのでわかります。でも未婚の貴族令嬢なのに、バルバラ様、三人となんて。お子様ができたらどうされるおつもりだったのでしょうか。」
と言うと、オットーが
「バルバラ様がどう言うおつもりであったかわかりませんが、三人はバルバラ様との肉欲に溺れておりました。はっきり言って未婚の貴族令嬢が肉体関係を許すことなどありえません。バルバラ様はそこを上手くついたのだと思います。三人とも夢中でした。三人と付き合っている事は学園中の噂でした。知らないのは、己だけがバルバラ様の恋人と思っている三人だけだったかもしれません。当然各々の婚約者との仲は悪くなるばかりです。
見限られていたとも聞きました。三人とも家から注意をされていたようですが、告口をしたと逆恨みして、婚約者を一層疎ましく思っていられたようです。」
オットーが息を継ぎ、私をじっと注視した。
「そしてついに、卒業記念の舞踏会にて、王太子殿下は己の婚約者の公爵令嬢に婚約破棄を申し付けたのです。そして、バルバラ様と婚姻すると宣言されました。舞踏会ですので、卒業生在校生の他にその親族や来賓もおられます。その中での婚約破棄宣言でしたので、なかったことにはできませんでした。しかもバルバラ様は身篭っておられました。王太子殿下は自分の子だと疑っておられませんでした。」
「二人共、顔が怖い、ソファに座って。私の両親の話なんでしょう?聞く覚悟はできてるし、物心ついてから会ったことがないというだけで察してはいるから。」
わざと砕けた物言いをして、二人に座るように促した。
「何からお話していいのかと思い悩みましたが、お嬢様には全てを聞く権利があると思い、お話させていただきます。」
オットーは決心したように顔を上げた。
「話は遡ってご当主ベンノ様が学園に在学中のことでした。私は当時従者としてベンノ様にお仕えしておりました。ベンノ様には二つ年下の婚約者の侯爵令嬢ローゼマリー様がいらっしゃいました。幼いころからの婚約者で、ずっと交流しておられましたので、仲はよろしかったとお見受けいたしておりました。」
オットーは遠くを見るような目をした。
「ベンノ様は同級生だった侯爵令息ハンス様と王太子殿下の側近候補として行動を共にされておりました。そこに伯爵令嬢バルバラ様が加わるようになったのです。現在は王太子妃にあらせられますが、私はバルバラ様の言動に困惑しておりました。」
オットーは苦虫を噛み潰したような顔をした。
「バルバラ様は三人に同じように媚を売り、腕にすがり己の胸を押し付け、にっこりと微笑み、各々に効果的な優しいことばをかけておりました。巧みに一人一人己だけと思わせておりました。私はベンノ様に婚約者がいらっしゃる貴族子息にする態度ではないと苦言を呈しておりましたが、ベンノ様に嫌がられて、バルバラ様との逢瀬には置いていかれるようになりました。」
オットーは目を伏せた。
「これからの話はお年頃のお嬢様にはきつい話になると思いますが、大事なことなのでしっかりと聞いてください。」
ノーラが立ち上がり、私の隣に座って手を握ってくれた。
「バルバラ様は三人と肉体関係にありました。」
ノーラがギュッと手を握ってくれて
「肉体関係の意味はお分かりですか?」
と聞いてくれた。
「家庭教師から貴族の嗜みとして、性教育は受けてるのでわかります。でも未婚の貴族令嬢なのに、バルバラ様、三人となんて。お子様ができたらどうされるおつもりだったのでしょうか。」
と言うと、オットーが
「バルバラ様がどう言うおつもりであったかわかりませんが、三人はバルバラ様との肉欲に溺れておりました。はっきり言って未婚の貴族令嬢が肉体関係を許すことなどありえません。バルバラ様はそこを上手くついたのだと思います。三人とも夢中でした。三人と付き合っている事は学園中の噂でした。知らないのは、己だけがバルバラ様の恋人と思っている三人だけだったかもしれません。当然各々の婚約者との仲は悪くなるばかりです。
見限られていたとも聞きました。三人とも家から注意をされていたようですが、告口をしたと逆恨みして、婚約者を一層疎ましく思っていられたようです。」
オットーが息を継ぎ、私をじっと注視した。
「そしてついに、卒業記念の舞踏会にて、王太子殿下は己の婚約者の公爵令嬢に婚約破棄を申し付けたのです。そして、バルバラ様と婚姻すると宣言されました。舞踏会ですので、卒業生在校生の他にその親族や来賓もおられます。その中での婚約破棄宣言でしたので、なかったことにはできませんでした。しかもバルバラ様は身篭っておられました。王太子殿下は自分の子だと疑っておられませんでした。」
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