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第四話〈イザイア視点〉
しおりを挟む「ねぇダンテ、これなんかどうかしら?」
薄いラベンダーのドレスの全体が見えるようにくるりと回る。
動きに合わせてひらひらと軽やかに靡くドレスは、大輪の花の様に華やかだ。
「とても素敵だよイザベラ。可憐な花の妖精が現れたのかと思ったよ」
そう言って目を細めて笑うダンテの、姿勢良く伸ばされた背筋と優雅に足を組むその姿が格好良過ぎて、鼻血でも出るんじゃないかと思った。
「もう!ダンテったら!恥ずかしいわっ」
「ごめんごめん、あまりに可憐だったから」
「うふふ、素敵な旦那様ですね」
「もー、茶化すのやめてくださいよーマダムー」
「あら、もうやめちゃうの?面白かったのに」
今日はダニエラと一緒に、俺とダニエラの趣味を知っている馴染みのマダム・ビーチェの仕立て屋に来ている。
俺達は異性の格好をして出かけている時、周りの人間から見て不審に思われない様に、ダニエラはダンテ、俺はイザベラというように、互いに偽名で呼び合っていた。
まあ、マダムは俺達の事は知ってるわけだから、偽名じゃなくてもいいんだけどね。
「セレーネちゃん達とWデートするんですって?楽しそうねー。さ、ダニエラちゃん、イザイア君の隣に立ってみて」
ダニエラは組んでいた足を解いて立ち上がると、俺の隣に並んで立った。
俺の着ているドレスと同じ薄いラベンダーのジャケットに、白いトラウザーズ姿が格好良過ぎて辛い!
俺の婚約者マジで男前が過ぎるー。
「うんうん!やっぱり二人並ぶととっても素敵ね!」
「マダムの作る衣装が素晴らしいおかげですね」
「あらやだ~!ダニエラちゃんありがと!」
「本当に素晴らしいですよー。いつも俺達の希望に応えてもらって感謝しかないです!」
ダニエラと出会うまでは既製の、俺でも入る物を選んでいたけど、ダニエラが懇意にしていたマダムにそれぞれ男女逆の服を作ってもらってるんだ。
今では二人で合わせる事も出来るし、デザインの希望だって出せるし、本当にお世話になってる。
「いいのよ~!私もイザイア君達の衣装作るの楽しいんだから!あとは調整だけだから、二、三日で出来ると思うわ。完成したらダニエラちゃんのお宅にお届けするわね」
「ありがとうございます、マダム。楽しみにしています」
そう言ってダニエラはマダムの手を取り軽く口付ける。
……っ、格好良っ‼︎
「やーん!やっぱり“金薔薇の君”は最高ねー!」
マダムが少女の様に頬を赤らめて喜んでいる。
「ん?金薔薇の君?」
「あら?イザイア君知らないの?男装のダニエラちゃんて、一部のご令嬢達の間で金薔薇の君って呼ばれて人気なのよ?金薔薇の君を愛でる会、なんてのもあるらしいし」
「えっ、俺初耳なんですけど⁉︎」
全っ然聞いたこと無かったわ。
「私もマダムから聞いて知ったんだよ。まだ実際に呼ばれた事は無いんだけどね」
「憧れの舞台役者みたいに、遠くから眺めてるだけで楽しいんじゃないかしら」
まぁ、男装のダニエラに憧れる気持ちは大いにわかる。
そのご令嬢達とは話が合うかもしれないな!
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