2 / 3
藍色の少女
ビギナーメイジ
しおりを挟む
「ねぇ、君」
駆け寄って声をかける少女。
「え、あ、何でしょうか」
急いでメニューを閉じ、応じる少年。
「ビギナーさんかな、私の歌を聞いてどう思った?」
そう少女が問うと、手をパタパタさせながら少年は答える。
「き、綺麗と思いました。町の雰囲気とか関係なく力強いし、
どんどん引き込まれるようで」
今度は身体全体をワタワタさせながら、カッコいいやら凄いとかせいぜい中学生ぐらいの感想がどんどん出てくる。
「ふーん、ところでさソートってどれぐらい増えたの?このゲーム心が強く動くと
ソートが増えるのよね。それで職の専門スキルとか増えるの」
「五、五万ほど増えました」
ヒーゴがそう伝えると、少女は口をパクパクさせながら「五、五万って」と呟き狼狽え始める。少しして冷静さを取り戻した少女は、髪を整えながら「ここでは不味いから、場所を変えない?」と少年に顔を近づけると今度は少年が口をパクパクさせ固まってしまった。
紫の煙が漂う怪しいお店、店主のおすすめは緋色のパフェ。店員は店主を除いて一人であるが、なにも不便なく煙は滞留したまま朝と夜を終える。
その名は『紫燕亭』
「あーら、いらっしゃい。珍しいわね可愛いこ達が来たわ」
艶やかなダニ声、存分に含まれているであろう紫色の好意の印。六尺もあろう体を優艶にグネリグネリと動かしながら向かってくる。
「この人さえいなければ、味も雰囲気も悪くないんだけどね」
少女、ミンメイは小声でヒーゴに伝える。道すがら彼等は簡単な自己紹介を終えてから、ここへ来た。ヒーゴの人がいないお店がいいという要求に答えた結果、この化け物……「聞こえているわよ」失礼、素敵な店主のお店へ案内されることとなった。
ミンメイが説明するには、このソートはまだ未解明な部分が有るが七色のソートが存在するとされる。赤色は力のソート青色は知力のソートといった感じに設定されているようで、戦闘の興奮を覚えれば赤色のソートが、知的好奇心が満たされれば青色のソートが増えていく。紫色のソートは芸術関係で心安らいだり、感動すると増えるとのこと。ソートは専門スキルと密接に関わっており、増えれば増えるほど職業の特性が強化される。
「私は紫のソートで出来るようになったことは、人形を出してあらかじめ
プログラムした曲を演奏させること、他にもあるけれど分かり安い
のはこれかしら」
人形をだしながらミンメイは説明を続ける。ヒーゴは取り敢えずバグではないことに安堵し、「スキル」と呟く。
「あんた、ビギナーメイジなの!?なら納得だわ」
ビギナーメイジそう聞いてハッとする彼だが、彼女の表情を見るに偏見の眼差しはなく納得したようである。その後ミンメイは少々早口でビギナーメイジの利点をヒーゴに話す。
『ビギナーメイジ』嘲笑の対象で煽り文句の一つとなっているが、彼等は急に設定されていない詠唱や、剣や盾にストーリーを想像し創造するなど、多くの人が少年の頃に覚えがあるだろう、概ね感受性が高い者がこの行動を強くとる傾向にあり、それは、平均して中学二年の頃に訪れる。俗語にしていわゆる『中二病』である。現実では役に立つ時が落とすことはほとんどないしかしここは、想いが力となる世界だ。
「ソートの入手量増大、スキルの効果アップ……それだけでも
十分チートじみてるな」
ヒーゴは一つ一つ噛み締めるように声に出す。日々現実で夢描き続けたことが、VRというなかで現実の力となる。そう思う彼の顔には不思議と笑みが浮かんできていた。
「で、あんたはこれからどうするの、私的にはあなたとPTを組みたいのよ、
自分が原因となってソートが産み出された場合。
私にも十分の一手にはいるからね。初心者何だから色々教えてあげるわ、
こんなサービスめったにしないんだからね」
紛うことなく同類、取って付けたような発言はアニメの名言。二人は似通ったものを感じ取ったのだろう、紫色の煙漂う店で夢を語り合う姿はろくなことが起きないだろう予感を存分に纏わせていた。
「私ミンメイ!この世界で銀河一の歌姫になってやるわ」
「俺はヒーゴ!この世界で天を貫く武器を作って見せるぜ!」
机に足をかけ何処とはなしに宣言し、がっちりと互いの手を握る二人。互いに笑い声が漏れ始めそれは次第に大きくなっていく。
紫の煙漂う紫燕亭も春を迎えた二人の青い冒険者には、物語の始まりを告げ飛び立つためのささやかな演出として、これ程具合のいいものはないと思うほどに、彼等は高揚していた。
しかしいかに『ビギナーメイジ』だとしても、抗えないこのゲームの摂理がある。彼等がそれに気づくことはない。
店の奥から水色のネームになったのを、確認した主人がにじり寄ってくる。
「あら、そういやあなたたち冒険者よね。少し手伝ってくれないかしら」
「「待ってました!」」
威勢のいい二人、一体いつまで続くのやら。
駆け寄って声をかける少女。
「え、あ、何でしょうか」
急いでメニューを閉じ、応じる少年。
「ビギナーさんかな、私の歌を聞いてどう思った?」
そう少女が問うと、手をパタパタさせながら少年は答える。
「き、綺麗と思いました。町の雰囲気とか関係なく力強いし、
どんどん引き込まれるようで」
今度は身体全体をワタワタさせながら、カッコいいやら凄いとかせいぜい中学生ぐらいの感想がどんどん出てくる。
「ふーん、ところでさソートってどれぐらい増えたの?このゲーム心が強く動くと
ソートが増えるのよね。それで職の専門スキルとか増えるの」
「五、五万ほど増えました」
ヒーゴがそう伝えると、少女は口をパクパクさせながら「五、五万って」と呟き狼狽え始める。少しして冷静さを取り戻した少女は、髪を整えながら「ここでは不味いから、場所を変えない?」と少年に顔を近づけると今度は少年が口をパクパクさせ固まってしまった。
紫の煙が漂う怪しいお店、店主のおすすめは緋色のパフェ。店員は店主を除いて一人であるが、なにも不便なく煙は滞留したまま朝と夜を終える。
その名は『紫燕亭』
「あーら、いらっしゃい。珍しいわね可愛いこ達が来たわ」
艶やかなダニ声、存分に含まれているであろう紫色の好意の印。六尺もあろう体を優艶にグネリグネリと動かしながら向かってくる。
「この人さえいなければ、味も雰囲気も悪くないんだけどね」
少女、ミンメイは小声でヒーゴに伝える。道すがら彼等は簡単な自己紹介を終えてから、ここへ来た。ヒーゴの人がいないお店がいいという要求に答えた結果、この化け物……「聞こえているわよ」失礼、素敵な店主のお店へ案内されることとなった。
ミンメイが説明するには、このソートはまだ未解明な部分が有るが七色のソートが存在するとされる。赤色は力のソート青色は知力のソートといった感じに設定されているようで、戦闘の興奮を覚えれば赤色のソートが、知的好奇心が満たされれば青色のソートが増えていく。紫色のソートは芸術関係で心安らいだり、感動すると増えるとのこと。ソートは専門スキルと密接に関わっており、増えれば増えるほど職業の特性が強化される。
「私は紫のソートで出来るようになったことは、人形を出してあらかじめ
プログラムした曲を演奏させること、他にもあるけれど分かり安い
のはこれかしら」
人形をだしながらミンメイは説明を続ける。ヒーゴは取り敢えずバグではないことに安堵し、「スキル」と呟く。
「あんた、ビギナーメイジなの!?なら納得だわ」
ビギナーメイジそう聞いてハッとする彼だが、彼女の表情を見るに偏見の眼差しはなく納得したようである。その後ミンメイは少々早口でビギナーメイジの利点をヒーゴに話す。
『ビギナーメイジ』嘲笑の対象で煽り文句の一つとなっているが、彼等は急に設定されていない詠唱や、剣や盾にストーリーを想像し創造するなど、多くの人が少年の頃に覚えがあるだろう、概ね感受性が高い者がこの行動を強くとる傾向にあり、それは、平均して中学二年の頃に訪れる。俗語にしていわゆる『中二病』である。現実では役に立つ時が落とすことはほとんどないしかしここは、想いが力となる世界だ。
「ソートの入手量増大、スキルの効果アップ……それだけでも
十分チートじみてるな」
ヒーゴは一つ一つ噛み締めるように声に出す。日々現実で夢描き続けたことが、VRというなかで現実の力となる。そう思う彼の顔には不思議と笑みが浮かんできていた。
「で、あんたはこれからどうするの、私的にはあなたとPTを組みたいのよ、
自分が原因となってソートが産み出された場合。
私にも十分の一手にはいるからね。初心者何だから色々教えてあげるわ、
こんなサービスめったにしないんだからね」
紛うことなく同類、取って付けたような発言はアニメの名言。二人は似通ったものを感じ取ったのだろう、紫色の煙漂う店で夢を語り合う姿はろくなことが起きないだろう予感を存分に纏わせていた。
「私ミンメイ!この世界で銀河一の歌姫になってやるわ」
「俺はヒーゴ!この世界で天を貫く武器を作って見せるぜ!」
机に足をかけ何処とはなしに宣言し、がっちりと互いの手を握る二人。互いに笑い声が漏れ始めそれは次第に大きくなっていく。
紫の煙漂う紫燕亭も春を迎えた二人の青い冒険者には、物語の始まりを告げ飛び立つためのささやかな演出として、これ程具合のいいものはないと思うほどに、彼等は高揚していた。
しかしいかに『ビギナーメイジ』だとしても、抗えないこのゲームの摂理がある。彼等がそれに気づくことはない。
店の奥から水色のネームになったのを、確認した主人がにじり寄ってくる。
「あら、そういやあなたたち冒険者よね。少し手伝ってくれないかしら」
「「待ってました!」」
威勢のいい二人、一体いつまで続くのやら。
0
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる