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司祭の絵本
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今日は教会の隣にある孤児院の子達が告解する日。
小さい子供が多い為、司祭が孤児院へ出向きます。
「さぁ皆、教会は神様に悪いことをしてごめんなさいってする日だよ。一人ずつ私の前に来て話しておくれ。他の子はシスターに絵本を読んでもらっているんだよ~。」
「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」
司祭は部屋の隅に自分用と子供達用の椅子を二つ置き、一人ずつ呼んでいく。
子供たちの懺悔は「オネショしちゃいました」や「掃除をさぼっちゃいました」など可愛らしいものばかりで司祭は癒されました。
最近はヘビーな内容が多かったのでピュアな存在に司祭はこのまま成長して欲しいと強く願います。
子供たちの告解が残り少なくなって来た頃、突然大勢の子供たちの泣き声が聞こえました。
司祭は一旦告解を中止して何事かと泣き声のする方へ確認に行きました。
「一体どうしたというのですか?」
司祭がに子供たちに聞くと子供たちはシスターを指さしました。
「シスター、何があったのですか?」
「司祭様…。これは司祭様のせいです。」
「私の?一体なぜですか。」
「司祭様の絵本を開いたら子供たちが一斉に泣きだしました。」
司祭はシスターが何を言っているのか理解ができませんでした。
絵本を開いただけで子供たちが泣きわめくなんて納得できる理由ではありませんでした。
しかし子供たちは正直でした。
「こわいよ~」
「アクマにだべられぢゃうよ~」
子供たちの様子に司祭の顔は引き攣りました。
「あ…あれは悪魔じゃないんだよ~。オオカミさんだよ~。」
司祭は子供たちの為に手作りの【赤ずきんちゃん】の絵本をつくりました。
子供たちの笑顔を想像しながらつくった本は子供たちの絶叫を生みました。
司祭自身も涙を浮かべています。
「皆~ごめんね~別のご本にしようね!ほらっ!ブレーメンの音楽隊!!動物がたくさんでてくるよ~!」
シスターが必死で別の絵本をアピールし子供たちを宥めていると次第に落ち着きを取り戻していきました。
司祭は肩を落として無言でその場を後にしました。
自分の絵心の無さがまさかここまでだったとは思いもしなかった司祭は他人の懺悔をきくなんてできそうになく、外に出てベンチで項垂れました。
少しすると司祭の元に孤児院の女の子がやってきました。
「シサイサマ!げんきないの?いいこいいこ してあげるね!」
女の子は必死に背伸びをして司祭の頭をなでました。
司祭の心は少し暖かくなり元気がでてきました。
「君は私を許してくれるかい?」
「ん~よくわからない!でも、しさいさまが ゆるしてほしいならする!」
「皆のところへ戻ろうか。」
司祭は女の子の手を引き孤児院の中へ戻りました。
そして残りの告解を終えると教会に戻り神に祈った。
「主よ、私は罪を犯しました。しかし幼き子の一人が私に許しを与えてくれました。私はこのまま貴方様の元にいて良いのでしょうか……」
「司祭様、貴方様はたくさんの方に許しを与えてきました。しかし貴方様も人間です。間違える事はあるはずです。誓いましょう!もう二度と絵本はつくらない!絵は描かないと!!」
「シスター……」
「貴方様に芸術の才能は……皆無です。」
こうして司祭の絵本事件は幕を閉じるのでした。
明日からはきっとまた何時もの日常が始まります。
小さい子供が多い為、司祭が孤児院へ出向きます。
「さぁ皆、教会は神様に悪いことをしてごめんなさいってする日だよ。一人ずつ私の前に来て話しておくれ。他の子はシスターに絵本を読んでもらっているんだよ~。」
「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」
司祭は部屋の隅に自分用と子供達用の椅子を二つ置き、一人ずつ呼んでいく。
子供たちの懺悔は「オネショしちゃいました」や「掃除をさぼっちゃいました」など可愛らしいものばかりで司祭は癒されました。
最近はヘビーな内容が多かったのでピュアな存在に司祭はこのまま成長して欲しいと強く願います。
子供たちの告解が残り少なくなって来た頃、突然大勢の子供たちの泣き声が聞こえました。
司祭は一旦告解を中止して何事かと泣き声のする方へ確認に行きました。
「一体どうしたというのですか?」
司祭がに子供たちに聞くと子供たちはシスターを指さしました。
「シスター、何があったのですか?」
「司祭様…。これは司祭様のせいです。」
「私の?一体なぜですか。」
「司祭様の絵本を開いたら子供たちが一斉に泣きだしました。」
司祭はシスターが何を言っているのか理解ができませんでした。
絵本を開いただけで子供たちが泣きわめくなんて納得できる理由ではありませんでした。
しかし子供たちは正直でした。
「こわいよ~」
「アクマにだべられぢゃうよ~」
子供たちの様子に司祭の顔は引き攣りました。
「あ…あれは悪魔じゃないんだよ~。オオカミさんだよ~。」
司祭は子供たちの為に手作りの【赤ずきんちゃん】の絵本をつくりました。
子供たちの笑顔を想像しながらつくった本は子供たちの絶叫を生みました。
司祭自身も涙を浮かべています。
「皆~ごめんね~別のご本にしようね!ほらっ!ブレーメンの音楽隊!!動物がたくさんでてくるよ~!」
シスターが必死で別の絵本をアピールし子供たちを宥めていると次第に落ち着きを取り戻していきました。
司祭は肩を落として無言でその場を後にしました。
自分の絵心の無さがまさかここまでだったとは思いもしなかった司祭は他人の懺悔をきくなんてできそうになく、外に出てベンチで項垂れました。
少しすると司祭の元に孤児院の女の子がやってきました。
「シサイサマ!げんきないの?いいこいいこ してあげるね!」
女の子は必死に背伸びをして司祭の頭をなでました。
司祭の心は少し暖かくなり元気がでてきました。
「君は私を許してくれるかい?」
「ん~よくわからない!でも、しさいさまが ゆるしてほしいならする!」
「皆のところへ戻ろうか。」
司祭は女の子の手を引き孤児院の中へ戻りました。
そして残りの告解を終えると教会に戻り神に祈った。
「主よ、私は罪を犯しました。しかし幼き子の一人が私に許しを与えてくれました。私はこのまま貴方様の元にいて良いのでしょうか……」
「司祭様、貴方様はたくさんの方に許しを与えてきました。しかし貴方様も人間です。間違える事はあるはずです。誓いましょう!もう二度と絵本はつくらない!絵は描かないと!!」
「シスター……」
「貴方様に芸術の才能は……皆無です。」
こうして司祭の絵本事件は幕を閉じるのでした。
明日からはきっとまた何時もの日常が始まります。
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