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序章/裏切られた勇者は…
11.勇者は最初のクエストを達成しました。しかし…
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ジークが目覚め、双女王やふたりの魔王とのやり取りからの3日間、復活したジークの体調確認、健康的な食事、旅支度を整えてから1日半後、ジークと双女王は目的の遺跡に到着した。
遺跡といっても、古い牢獄のようなモノで、忘れ去られたものが朽ちたようなものだった。
「ダンジョンか~…実は前の旅の時はそんなに立ち寄ってないんですよ」
「そうなのか?」
元勇者の意外な言葉にクローディアは首を傾げる。
「確かに幾つかのダンジョンやエレンシアみたいな国に立ち寄ったんですけど、本当に必要最低限のルートを辿ったって感じですね。お陰で野宿は多いし、都会チックな街にも立ち寄る事も出来なかったんですよ」
「なるほどですの。そうする事でジーク様の世間の認知度を必要最低限のモノにしてたんですの…本当に一度も怪しいとは思いませんでしたの?」
セレスティアの抉るような指摘にジークの気持ちがズーンと沈みながら、遺跡の奥に進む。
途中でモンスターが数体一組で現れる。
現れるモンスターは粘着生物大蝙蝠・小鬼等が徒党を組んで現れるが、
「えい」
ジークが金色の義手をモンスターに向け、少し力と敵意を向けるだけで、強力な雷が迸り、モンスターを感電死させる。
「…なんか、敵意と殺意とちっちゃい女王様達を舌舐めずる小鬼の情欲を向けられたとはいえ、心が痛むなぁ…」
「強力であろう、その義手」
「いや、魔力も無しに中級雷魔法並の威力って…」
ジークは義手を眺めながら、伝説に伝わる神々の王子である雷神トールが本来持っているはずの『雷光の戦鎚』の力に感心すると同時に、己の代名詞である神器を女性に貢ぐトール神に呆れる。
「象徴的な神器を貢がせるなんて流石はシャーロッテ様ですの」
「うむ、男を一瞬で惑わせる色香で国を護った伝説の美姫…一説ではシャーロッテ様の身体を再び味わいたいだけで、数ヶ国が大戦争を繰り広げ、それを横目にエレンシアは平和を享受したという」
「こ、国民はたまったものじゃないな~」
そう言いながら内心では
(エルフの美貌が怖い…)
「確かに便利だけど一度能力をある程度確認したいな。せめて半割ぐらいで」
「ふむ…じゃあ、試すがよい」
「えっ?」
「丁度到着しましたの」
ついたのは遺跡の最奥…といっても、そんなに時間がかからなかった。
しかし、ジークは遺跡の最奥に悠然と存在したモノに唖然とする。
「伝説級武具である『美しき略奪の獅子』…所在がわかっていながら今だ誰も手に入れていない理由…」
それは巨大で鈍く輝く鉱石の体躯を持つそれは…
「『美しき略奪の獅子』が中核になっている多種多様な鉱石でできている鉱石巨人『ベルクヴェルク』が硬くて強いからですの」
「何でそれを先にいわな…危ぶなっ!」
決して速くはないが、恐ろしい質力の『ベルクヴェルク』の巨大なパンチをジークは躱わす。
「ギ、ギネヴィアってばこんな恐ろしいモンスターの事黙ってるなんて…いっつも大事なこと隠すんだからっ!」
ジークは脚を地面に食い込ませるイメージで踏ん張り、力を込めて一気に跳ぶような勢いで『ベルクヴェルク』に向かって走る。
「ふっ!」
『右手』で『ベルクヴェルク』の脚部を数発殴りつけると金属同士がぶつかる音が遺跡に響く。
「はっ!」
『ベルクヴェルク』を足蹴にして、様々な個所を殴る。
(硬いな…金属を無理やり凝縮したような感じだ…)
自分を掴み捕らえようとする『ベルクヴェルク』の掌をよけ、大きく跳んで間合いを取る。
「まったく…ギネヴィアには敵わないや。お陰でちゃんと身体の調子を確認できた」
ジークはギネヴィアの考えを悟り、苦笑する。
「それに…」
ジークは『右手』に魔力を流す。
「『右手』の、力を試せる」
『雷光の戦槌』からパチパチと電撃が流れる。
魔力を流すごとに、輝かしい電撃が溢れ、膨らんでいく。
「凄い…送った魔力が信じられないくらい強化されていく」
膨らんだ電撃は、『ベルクヴェルク』の腕より大きな『腕』となった。
「…にやり」
ジークはワザとらしく笑うと、腕に魔力をさらに込め、魔力操作をする。
巨大な雷の腕が縮小されて、元の腕に戻る。
そして、一気に『ベルクヴェルク』の間合いに入り、
「せいりゃぁぁぁぁぁっ!」
思いっきりぶん殴った。
激しい轟音が響き、響いた場所から亀裂が入っていく。
『ベルクヴェルク』の動きが止まり、そのままジークは、
「ぎゃー!」
『ジーク(様)!?』
砕けた『ベルクヴェルク』の残骸の下敷きになった。
勇者は最初のクエストを達成しました。しかし…自身のうっかりを思い知りました。
遺跡といっても、古い牢獄のようなモノで、忘れ去られたものが朽ちたようなものだった。
「ダンジョンか~…実は前の旅の時はそんなに立ち寄ってないんですよ」
「そうなのか?」
元勇者の意外な言葉にクローディアは首を傾げる。
「確かに幾つかのダンジョンやエレンシアみたいな国に立ち寄ったんですけど、本当に必要最低限のルートを辿ったって感じですね。お陰で野宿は多いし、都会チックな街にも立ち寄る事も出来なかったんですよ」
「なるほどですの。そうする事でジーク様の世間の認知度を必要最低限のモノにしてたんですの…本当に一度も怪しいとは思いませんでしたの?」
セレスティアの抉るような指摘にジークの気持ちがズーンと沈みながら、遺跡の奥に進む。
途中でモンスターが数体一組で現れる。
現れるモンスターは粘着生物大蝙蝠・小鬼等が徒党を組んで現れるが、
「えい」
ジークが金色の義手をモンスターに向け、少し力と敵意を向けるだけで、強力な雷が迸り、モンスターを感電死させる。
「…なんか、敵意と殺意とちっちゃい女王様達を舌舐めずる小鬼の情欲を向けられたとはいえ、心が痛むなぁ…」
「強力であろう、その義手」
「いや、魔力も無しに中級雷魔法並の威力って…」
ジークは義手を眺めながら、伝説に伝わる神々の王子である雷神トールが本来持っているはずの『雷光の戦鎚』の力に感心すると同時に、己の代名詞である神器を女性に貢ぐトール神に呆れる。
「象徴的な神器を貢がせるなんて流石はシャーロッテ様ですの」
「うむ、男を一瞬で惑わせる色香で国を護った伝説の美姫…一説ではシャーロッテ様の身体を再び味わいたいだけで、数ヶ国が大戦争を繰り広げ、それを横目にエレンシアは平和を享受したという」
「こ、国民はたまったものじゃないな~」
そう言いながら内心では
(エルフの美貌が怖い…)
「確かに便利だけど一度能力をある程度確認したいな。せめて半割ぐらいで」
「ふむ…じゃあ、試すがよい」
「えっ?」
「丁度到着しましたの」
ついたのは遺跡の最奥…といっても、そんなに時間がかからなかった。
しかし、ジークは遺跡の最奥に悠然と存在したモノに唖然とする。
「伝説級武具である『美しき略奪の獅子』…所在がわかっていながら今だ誰も手に入れていない理由…」
それは巨大で鈍く輝く鉱石の体躯を持つそれは…
「『美しき略奪の獅子』が中核になっている多種多様な鉱石でできている鉱石巨人『ベルクヴェルク』が硬くて強いからですの」
「何でそれを先にいわな…危ぶなっ!」
決して速くはないが、恐ろしい質力の『ベルクヴェルク』の巨大なパンチをジークは躱わす。
「ギ、ギネヴィアってばこんな恐ろしいモンスターの事黙ってるなんて…いっつも大事なこと隠すんだからっ!」
ジークは脚を地面に食い込ませるイメージで踏ん張り、力を込めて一気に跳ぶような勢いで『ベルクヴェルク』に向かって走る。
「ふっ!」
『右手』で『ベルクヴェルク』の脚部を数発殴りつけると金属同士がぶつかる音が遺跡に響く。
「はっ!」
『ベルクヴェルク』を足蹴にして、様々な個所を殴る。
(硬いな…金属を無理やり凝縮したような感じだ…)
自分を掴み捕らえようとする『ベルクヴェルク』の掌をよけ、大きく跳んで間合いを取る。
「まったく…ギネヴィアには敵わないや。お陰でちゃんと身体の調子を確認できた」
ジークはギネヴィアの考えを悟り、苦笑する。
「それに…」
ジークは『右手』に魔力を流す。
「『右手』の、力を試せる」
『雷光の戦槌』からパチパチと電撃が流れる。
魔力を流すごとに、輝かしい電撃が溢れ、膨らんでいく。
「凄い…送った魔力が信じられないくらい強化されていく」
膨らんだ電撃は、『ベルクヴェルク』の腕より大きな『腕』となった。
「…にやり」
ジークはワザとらしく笑うと、腕に魔力をさらに込め、魔力操作をする。
巨大な雷の腕が縮小されて、元の腕に戻る。
そして、一気に『ベルクヴェルク』の間合いに入り、
「せいりゃぁぁぁぁぁっ!」
思いっきりぶん殴った。
激しい轟音が響き、響いた場所から亀裂が入っていく。
『ベルクヴェルク』の動きが止まり、そのままジークは、
「ぎゃー!」
『ジーク(様)!?』
砕けた『ベルクヴェルク』の残骸の下敷きになった。
勇者は最初のクエストを達成しました。しかし…自身のうっかりを思い知りました。
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