魔王を倒した直後に仲間に裏切られ、殺されかけた勇者は、復讐なんてせず、のんびり旅に出た

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序章/裏切られた勇者は…

10.勇者は大魔王になることを断りました。でも…

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「そう、私はジーくんに…世界征服をしてもらう為にやってきたの」

いつくしむような顔のギネヴィアは優しさ溢れる声でとんでもない事をジークに囁く。

その言葉にジークは様々な事を思い出す。

自分を育ててくれた母の事…

建国の聖剣カレドヴルッフの柄を初めて握った時のこと…

セルフィとリュートに初めて会った時のこと…

リッカと一緒に料理を作った時のこと…

初めて自分と実力が互角の人間グランと真正面から闘った時のこと…

旅が終わったらグランとエルスの結婚式の仲人を頼まれた時のこと…

…裏切られた時のこと…

「ダメだよ…」

ジークは涙を流す瞳でギネヴィアに答える。

「僕はやっぱり…みんなを…憎むことができない…」

(『母』の元で、世界の何も知らなかった僕が手に入れた宝物モノ…)

「たとえ…大事な人に捨てられても、僕は、誰も憎みたくない…」

「…そっか、ジーくんはそうだよね~」

ギネヴィアは悲しそうに笑って、

「じゃあ、プランを変えましょう~」

今度はにっこり笑った。

その笑顔を見た瞬間、ジーク以外が怪訝な顔をした。

「ジーくん、魔王せんぱい討伐が終わったら~、のんびり旅に出たいって言ってたわよね~」

「う、うん。それがどうしたの?」

「じゃあ、それに目標を与えてあげましょう~」

ギネヴィアがジークを解放すると、杖を振る。

すると、空中に映像が浮かぶ。

浮かんだ映像は、丸く平たい、豪奢な装飾が施された円形の盾だった。

「これは~、『伝説シリーズ』の一つ、『美しき略奪の獅子レオハン』~。聖邪両方の力を持つ、強力な盾で~、はっきりと封印場所がわかっている『伝説武具レジェンダリアイテム』よ~」

「『美しき略奪の獅子レオハン』…確かに伝説の盾ですの」

「しかし、これは曰く付きの盾だな」

「伝説では、その力を大陸全土に轟かせたが、自国の王を裏切り、軍を崩壊させ、王妃と姫を慰み者にした上、『神』に滅ぼされた堕ちた聖騎士・フェルグスの盾ね」

「うわぁ、実は『英雄』って碌なのいないの?」

「そ、そういうわけではございませんの~」

ギネヴィアが再び杖を振るうと、空中に地図が現れる。

「ここから30キットル先の洞窟に封印されてるわ~。とりあえず、これを最初の目標にして旅したらどうかしら~」

「………」

「そうだな、今のお前には丁度良い」

「クローディア様…」

「ウジウジするな。早く私の認めたお前に戻ってもらわなければな…」

クローディアは小さな手でジークの手を取る。

「私が付いて行ってやる。だから…何年かかってでも…」

(そう私達を救ってくれた時・・・・・・・・・・の…)

「あの時のお前が一番好きだ。だから、旅に出よう。のんびりな!」

「そうですの。途中の村や町で名産品を食べますの」

ジークは小さなクローディアとセレスティアの笑顔に、思わずにっこり笑って、

「そうですね、美味しいモノ食べ歩きましょう」

「よし、決まりだな。ギネヴィア!今の魔法映像を羊皮紙に焼き写せ!」

「はい~」

「それじゃあジーク様、お食事と旅支度ですわ」

「わかりました。ちょっ、引っ張らないでください!?」

と三人は部屋から出ていった。

「さてと~、じゃあ羊皮紙に…」

「旨くいったわね、ギネヴィア」

今まで黙っていたルクがギネヴィアに悪そうな笑みを浮かべる。

「あら~、なんのことかしら~」

「とぼけるな。あのジーク様があんな説明で世界征服なんてするわけないのは、あんたが一番知ってるでしょ?」

「…ばれちゃった~」

ギネヴィアは邪悪な笑みを浮かべる。

「そう、ジーくんに世界征服を…『本当の大魔王』にするのは~、簡単なの~」

「…まぁ、そうでしょうね」

「ふふっ…ジーくんはとっても、正しく優しいから…」

邪悪で妖艶な笑みは深みを増し、

正しく勇者様をしてれば、大魔王様にジョブチェンジなの~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




勇者は大魔王になることを断りました。でも…仲間の企みでのんびり旅に出ることになりました。
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