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入ってはいけないような気がする。
先ほどまでレアコインにウキウキしていた時とは打って変わって、全てが怪しく見える今、この家が、…この男が怪しい物の発端な気がして仕方がない。
後ろは森。レアコインを見ながら歩いていたせいかどの道を通っていたのか、思い出すことができない。
そうこう悩んでいるうちに
「早く、入りなよ」
男が催促する。
さっきから思っていたけど、やしろが時々見せる光がいっさい反射していない黒い瞳がとても怖い。逃げられないような気持ちになる。
こちらを見たまま動かないやしろに人間味を感じない。
大丈夫。俺の足は早い。何かあったら逃げればいい。
そう自分で自分に念じて玄関へと足を進めた。
「おかえり。」
「?、た、ただいま?」
なんのおかえりなんだろうか?
とりあえず返事をするとやしろは先ほどと同様にニコニコした笑顔を見せる。
「僕夢だったんだよね、ただいまって言ったらおかえりって返ってくるの」
おかえりを言われたことがない??
あんまり模索してはいけない事情な気がする。
玄関で靴を脱ぎ、やしろに案内されるまま家の中を進む。
今度は逃げる時用に道を覚えておこうと気をはる。
握りしめたポケットのメダルが汗でベトベトしている。
やしろが襖の前で止まる。
白い手がゆっくりと襖を開き、中に入っていく
開けた先は居間のような空間で、畳の上に座布団が二枚机を挟む形で置かれている。おれの目は机の上のアレに釘付けだった。
「スッゲ!!レアパックいっぱいじゃん!」
机の上にピラミッド方に置かれたレアパックの山。
10どころじゃない!11…12…13……とにかくいっぱいある!
「僕お茶淹れてくるから、好きなだけ開けていいよ」
そういうと、やしろは襖を閉めて行ってしまった。
どれから開けようか悩む。
やっぱり1番上のやつからだろうか?
でも1番上ってことはレアの可能性がある
そうなると下の端?
いや、ちょっと待て、
レアパックを目にするとさっき考えていたことや警戒心が吹っ飛んでしまう。しかし、先ほど感じた違和感は忘れてはいけない。
今おれが考えるべきことは…
このパックを持って逃げるか、
それとも置いて逃げるかだ。
持って逃げるのはやっぱり犯罪か?
ばあちゃんとも知り合いみたいだし、……となると選択肢は一択!
持たずに逃げる!
おれは耳を澄ませてから人の気配がないことを確認して、襖を開けた。
やっぱり、この家は違和感がある。
見た目よりも広い気がするし、何か足りない。
埃もゴミも、人気もない
とにかく静かだ。やしろすらいないのではないか?
そう思いながら、中庭を横目に歩き角を曲がろうとした。
「どこに行くの?」
後ろから声がした。
咄嗟に振り向くとやしろがお盆にお茶を乗せて立っていた。
足音しなかったのに!いつのまに!
なんて答えればいいのだろう?
家に帰ることは変な事じゃないよな?
変なことでは無いはずなのに言うの躊躇してしまう。
「用事思い出したから帰る。」
普通のことのはずなのに、心臓がバクバクする。
「帰るってどこに?」
やしろの顔を見上げる。
「どこにってばあちゃんのうちに…」
やしろは本当に分からないといった表情でこちらを見ている。おれは変なことを言っているのだろうか?
「…ああ、そっか、伝えないと分からないよね」
今度はおれが分からない。
何が伝えないと分からないのだろうか?
何に納得したのだろうか?
分からないけど、嫌な予感はする。
「今日からここが君の家だよ。」
先ほどまでレアコインにウキウキしていた時とは打って変わって、全てが怪しく見える今、この家が、…この男が怪しい物の発端な気がして仕方がない。
後ろは森。レアコインを見ながら歩いていたせいかどの道を通っていたのか、思い出すことができない。
そうこう悩んでいるうちに
「早く、入りなよ」
男が催促する。
さっきから思っていたけど、やしろが時々見せる光がいっさい反射していない黒い瞳がとても怖い。逃げられないような気持ちになる。
こちらを見たまま動かないやしろに人間味を感じない。
大丈夫。俺の足は早い。何かあったら逃げればいい。
そう自分で自分に念じて玄関へと足を進めた。
「おかえり。」
「?、た、ただいま?」
なんのおかえりなんだろうか?
とりあえず返事をするとやしろは先ほどと同様にニコニコした笑顔を見せる。
「僕夢だったんだよね、ただいまって言ったらおかえりって返ってくるの」
おかえりを言われたことがない??
あんまり模索してはいけない事情な気がする。
玄関で靴を脱ぎ、やしろに案内されるまま家の中を進む。
今度は逃げる時用に道を覚えておこうと気をはる。
握りしめたポケットのメダルが汗でベトベトしている。
やしろが襖の前で止まる。
白い手がゆっくりと襖を開き、中に入っていく
開けた先は居間のような空間で、畳の上に座布団が二枚机を挟む形で置かれている。おれの目は机の上のアレに釘付けだった。
「スッゲ!!レアパックいっぱいじゃん!」
机の上にピラミッド方に置かれたレアパックの山。
10どころじゃない!11…12…13……とにかくいっぱいある!
「僕お茶淹れてくるから、好きなだけ開けていいよ」
そういうと、やしろは襖を閉めて行ってしまった。
どれから開けようか悩む。
やっぱり1番上のやつからだろうか?
でも1番上ってことはレアの可能性がある
そうなると下の端?
いや、ちょっと待て、
レアパックを目にするとさっき考えていたことや警戒心が吹っ飛んでしまう。しかし、先ほど感じた違和感は忘れてはいけない。
今おれが考えるべきことは…
このパックを持って逃げるか、
それとも置いて逃げるかだ。
持って逃げるのはやっぱり犯罪か?
ばあちゃんとも知り合いみたいだし、……となると選択肢は一択!
持たずに逃げる!
おれは耳を澄ませてから人の気配がないことを確認して、襖を開けた。
やっぱり、この家は違和感がある。
見た目よりも広い気がするし、何か足りない。
埃もゴミも、人気もない
とにかく静かだ。やしろすらいないのではないか?
そう思いながら、中庭を横目に歩き角を曲がろうとした。
「どこに行くの?」
後ろから声がした。
咄嗟に振り向くとやしろがお盆にお茶を乗せて立っていた。
足音しなかったのに!いつのまに!
なんて答えればいいのだろう?
家に帰ることは変な事じゃないよな?
変なことでは無いはずなのに言うの躊躇してしまう。
「用事思い出したから帰る。」
普通のことのはずなのに、心臓がバクバクする。
「帰るってどこに?」
やしろの顔を見上げる。
「どこにってばあちゃんのうちに…」
やしろは本当に分からないといった表情でこちらを見ている。おれは変なことを言っているのだろうか?
「…ああ、そっか、伝えないと分からないよね」
今度はおれが分からない。
何が伝えないと分からないのだろうか?
何に納得したのだろうか?
分からないけど、嫌な予感はする。
「今日からここが君の家だよ。」
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