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向こう側

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伸ばした銀色の髪を一つに束ね、王子として王宮で暮らしていた頃から、美しい顔に冷たい表情を崩そうとしない彼。夜会などでも特に女性には、愛想を振りまくといった事は決してしない。そんな彼の事を、王宮内や貴族間で密かに氷の王子と呼ぶ者もいた。

氷の王子ことアレクセイ(童貞21歳)は毎晩自身の妻の元に通い、足で性器を弄ってもらう事を要求…、お願いしに行っていた。


それもただ踏むだけではない。アレクセイが性器を露出して寝台に横になると、座った状態のアリスティアが足で奉仕してくれる。アリスティアの目線がかなり上の方にあるので、見下ろされながらの状態はそれはそれでとても興奮する。


また別の日には床に敷布を引いてアレクセイが寝転ぶと、椅子に座って足を組んだままのアリスティアに弄ばれたり、または立ったまま踏みつけられたりもした。

アレクセイは毎晩、妻に見下ろされながら果てていた。でもアリスティアは蔑んでいるのではない。足でアレクセイが気持ちよくなれるために、巧みに奉仕ししてくれている。
献身に奉仕してくれている事が分かっているからこそ、楽しむ事が出来るのだ。


アレクセイは初夜に新たな扉を開いたばかりではあるが、無自覚に更にその先。新たな扉の更に向こう側を目指していた。


最初は自分だけ性器を露出するという状況に、羞恥と違和感を感じていたアレクセイだった。
だが今では、その羞恥こそが快感である事にも気付けた。そしてまだ少女のような見た目の美少女妻の眼前で、性器を露出する背徳感にも興奮を覚えていた。アリスティアに硬くなった男根を見せると、頬を染めながら驚いたり照れたりと、いつも新鮮な反応をくれる。

そんなアリスティアの可愛い反応を見るのも堪らなかった。





兄王から賜ったシルヴェスト領の仕事に加え、宮仕えもしているアレクセイは、本日王宮に到着して早々兄王に呼び出され、新婚生活について聞かれる事となった。

謁見の間には白の列柱と紅い絨毯。
王室の紋章を背に、玉座に国王が座っている。
武芸にも秀で、細身のアレクセイよりも鍛えた肉体と亜麻色の髪を持つ王の問いに答える。

「妻とは上手くやっています。兄上、アリスティアを私の元へ嫁がせて下さり、ありがとうございます」


女嫌いのアレクセイが、王の妻である王妃が選んだ令嬢と、夫婦として仲良くしていると聞いて王は安堵を覚えた。その上礼まで言ってきたのだから驚きである。

対しアレクセイは「兄上も毎晩、足で踏まれていらっしゃるのだろうか」などと考えていた。

そんな事を知る由も無い王は、弟に優しい笑みを浮かべる。母親こそ違うが、純粋に慕ってくれる弟の事を昔から可愛がっていた。


「案外御子が出来るのも早いかもしれないな。二人の子なら、さぞかし可愛い子が産まれるのだろう。甥でも姪でも楽しみだ」

父親のような事を言い出した異母兄の言葉に、アレクセイははっとした。


(子供……足とストッキングの魅力に取り憑かれすぎていて、それどころでは無かった…)


閨事とは子を成す為のもの。
当初の子を成すつもりはない、という意見から子は居ても居なくてもどちらでもいい。という考えに変わりつつあった。
足で奉仕する以外の事を要求したら、了承してくるのだろうか?初夜で「閨を共にする気はない」と言った自分の意見を撤回し、謝罪すれば真の意味で夫婦となる事を受け入れて貰えるだろうか。しかしそれは余りにも都合が良すぎないかとアレクセイは思い悩んだ。
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