天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第七章 デビュー曲発売編

第20話-1 デビュー曲発売決定と衝撃発言

「デビュー曲発売の初週に売上ランクの10位以内にランクインすること」
そんな過酷な試練が美少年達に課せられた。


翌日、彼らはPVの撮影のため街中にいた。

PVの撮影といってもカメラの前で歌うわけではない。あくまでPVの撮影風景の一部分を切り取って使うだけだ。それでもかなり緊張してしまうものだ。


「はい、もっと自然な笑顔で笑って」
カメラマンの指示に従いながら笑顔を作っていた。


意外にも、一番カメラ慣れしているのはナルキッソスだった。彼は自己陶酔しているので、カメラが回ると別人のようになりきることができるのだ。

スタジオで歌ったりダンスする姿も撮影しなくてはならず、PV撮影は1日では終わらない。今日の撮影は終了となった。


その後は、個々のスケジュールになっていた。

スポンサーのCM撮影の仕事などもあり、個人で活動することも以前より増えていた。
もうレッスンにばかり集中していられなくなったのだ。

だが1人で仕事をこなしていくうちに、それぞれの個性も出てきたようだった。


***

ヒュアキントスは今日、スポンサー契約をしたゼピュロスの企業のCM撮影に来ていた。


CM撮影は初めてなので最初は緊張気味だったが、撮影が続けられるうちに自然な笑顔を出せるようになったのだった。
今日は天気が良く、雲一つ無い青空が広がっている良い撮影日和であった。

撮影は順調に進み、予定よりも早く終わったのだった・・・。

***

CM撮影の仕事が終わり、ヒュアキントスはゼピュロスと一緒に街を歩いていた。


「今日はご苦労様。やはり君を選んで良かったよ」
「ありがとうございます」
「君はとても才能があるね」
「そんな！僕はまだまだですよ」
「謙虚だね」

2人は和やかに会話しながら歩いていたのだった。

だが、前に２人で会った時にキスされたことを思い出すと思わず赤面してしまった・・・。



それを見たゼピュロスは少し驚いた顔をしたが、すぐにいつもの微笑に戻った。そして、そっと顔を近づけてきた・・・。

（えっ？まさかここでキスをされるんじゃ……！！）
そう思った瞬間、後ろから声をかけられた。



「ヒュアキントス？」
2人が振り向くと
「あ……！」


そこにはアポロンがいた。