天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第七章 デビュー曲発売編

第21話‐2 狩猟の女神アルテミス

「おい、お前。何で勝手にばらしたんだよ！」

それに対してガニュメデスは悪びれる様子もなく答えた。

「それって、隠さないといけないことなの？」
「……え？」
「君達、ずっと隠し続けるつもりなの？1万３千年の間、どこで何をしてたって言うの？深く突っ込んでくる人はいないかもしれないけど、君達だって深い関係になる人が出てくるよね、ずっと隠し続けるなんて無理じゃない？」

あまりにその通りで2人は言い返せなかった。

「君達はこれからシリウスで生きていくんだよね？だって、もう地球には戻れないんだし」
「……」
2人とも何も言えなかった。

「君達は、将来のことまで考えが及んでないように見える。これからシリウスで生きていくなら、将来のことも考えないと」
2人は黙り込んだ……。

そして、こう思っていた。


(僕たちは、地球にもシリウスにも、どこにも居場所がない・・・)


***

ーー数日後。
ヒュアキントスは別の企業のCM撮影の仕事を終えて帰宅しようとしていた。
それはスポーツ関係のCMで、活発で運動が好きな彼には合っていた。

そんな時だった……。
突然後ろから声をかけられたのだ。振り向くとそこには……

1人の女神がいた。
背が高く少し男勝りな雰囲気を持つ女神だった。だが美しい女神で、長い金髪をなびかせていた。

(誰だろう？)と思っていると、彼女はこう言ったのだった。
彼女の名はアルテミスというらしい。

（まさか……）
そう……そのまさかである。

（あの、オリンポス12神のアルテミス様！？）


「ねえ君！ちょっといいかしら？」
「！？　はい！」
「君、うちの企業の宣材モデルになったそうね」

その企業はアルテミスが抱える企業の傘下だったのだ。アルテミスは狩猟の女神ともいわれているが、運動関係の商品や事業を多く手掛けている。


「ふーん、スカウトしてきたって聞いたけど、こんなに綺麗な子とは思わなかったわ。もっとゴツイ感じの子が来ると思ってたんだけど、あなたみたいな可愛い子が来てくれて嬉しいわぁ～」

アルテミスはそう言ってヒュアキントスの手を取ったのだった・・・。


「あ、ありがとうございます！」
「ホントに綺麗な顔してるわね、目もすごく大きくて。女の子より綺麗じゃない！」

アルテミスはそう言うとヒュアキントスの顔を覗き込んだのだった。
アルテミスの美貌に思わず赤面してしまった。


「ねえ、君。時間ある？私と一緒に遊ばない？スポーツは得意？」

突然のことに驚いたが、特に予定もなかったため承諾することにした。