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第十一章 失恋編
第31話‐2 ガニュメデスの正体
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2人で無言で走っていたが、ナルキッソスの横顔を横目で見ながらヒュアキントスはこう思っていた。
(ナルキッソスは自分しか好きになれない呪いにかかってるんだよな。僕は初めて恋の苦しみを知ったけど、彼はずっと一人で苦しい思いを抱え込んでたんだろうな…)
そう思ったら切なくなった。彼の気持ちが理解できたように感じられた。
「ねえナルキッソス。僕は失恋して今も辛いけど、恋の苦しい気持ちがやっとわかったよ。今なら君の気持ちも少しはわかるんじゃないかと思う」
ナルキッソスは少し驚いたような表情を見せたが、フッと笑ったかと思うとこう言ったのだ。
「お前はまだ終わったわけじゃないだろ」
「あはは、それはどうかな…。僕には恋愛は早すぎるみたい。やっぱ僕は運動したり遊んでる方がいいや。それに僕達、恋愛禁止だしね」
ヒュアキントスは苦笑いをしながら言った。失恋の痛みはまだ癒えないが、少しずつ前向きに考えるようになっていたのだ。
ナルキッソスがアポロンから助けてくれたあの夜から、2人は以前より心の距離が縮まっていた。いつの間にかかけがえのない仲間になれていたのだった。
***
この日ヒュアキントスはレギュラー出演している音楽番組の収録の日だった。
美少年達はこの番組の数分程度のミニコーナーを担当していて、メンバーがローテンションで出演している。
レギュラー番組がある恩恵は大きく、新曲やミニライブの告知もさせてもらえることとなった。新曲の発売前には生出演も予定されていた。
(本当に助かるな。これもアルテミス様のおかげだな…)
忙しいのもありアルテミスと会う機会がなかったが、どうしているだろうかとヒュアキントスは考えていた。
そんな時、携帯端末にメッセージが届いた。
西風の神ゼピュロスからだった。
このところ毎日のように連絡が来て2人はやり取りをし合っていた。
(アポロン様ともこんな風に毎日連絡してたな……いや、もう嫌われたんだから女々しくなっちゃダメだ)
そう思いながらメールを開いた。
《収録が終わったら迎えに行くよ。終わったら連絡してくれ》
(何だろう……?まあいっか)
深く考えずに承諾の返事を返したのだった。
「やあヒュアキントス。今日も美しいね」
ゼピュロスはいつものごとく爽やかな笑顔で迎えてくれた。
だが今日の笑顔にはどこか影があったように見えた。何かあったのだろうかと気になったがとりあえず車に乗り込んだ。
「さあ行こうか」
ゼピュロスはすぐに車を発進させた。
車を走らせ彼が車を止めた場所は人気のない路地裏だった。
なぜこんな場所で停車するのだろうとヒュアキントスが疑問に思っていると彼はおもむろにこう切り出したのだ。
(ナルキッソスは自分しか好きになれない呪いにかかってるんだよな。僕は初めて恋の苦しみを知ったけど、彼はずっと一人で苦しい思いを抱え込んでたんだろうな…)
そう思ったら切なくなった。彼の気持ちが理解できたように感じられた。
「ねえナルキッソス。僕は失恋して今も辛いけど、恋の苦しい気持ちがやっとわかったよ。今なら君の気持ちも少しはわかるんじゃないかと思う」
ナルキッソスは少し驚いたような表情を見せたが、フッと笑ったかと思うとこう言ったのだ。
「お前はまだ終わったわけじゃないだろ」
「あはは、それはどうかな…。僕には恋愛は早すぎるみたい。やっぱ僕は運動したり遊んでる方がいいや。それに僕達、恋愛禁止だしね」
ヒュアキントスは苦笑いをしながら言った。失恋の痛みはまだ癒えないが、少しずつ前向きに考えるようになっていたのだ。
ナルキッソスがアポロンから助けてくれたあの夜から、2人は以前より心の距離が縮まっていた。いつの間にかかけがえのない仲間になれていたのだった。
***
この日ヒュアキントスはレギュラー出演している音楽番組の収録の日だった。
美少年達はこの番組の数分程度のミニコーナーを担当していて、メンバーがローテンションで出演している。
レギュラー番組がある恩恵は大きく、新曲やミニライブの告知もさせてもらえることとなった。新曲の発売前には生出演も予定されていた。
(本当に助かるな。これもアルテミス様のおかげだな…)
忙しいのもありアルテミスと会う機会がなかったが、どうしているだろうかとヒュアキントスは考えていた。
そんな時、携帯端末にメッセージが届いた。
西風の神ゼピュロスからだった。
このところ毎日のように連絡が来て2人はやり取りをし合っていた。
(アポロン様ともこんな風に毎日連絡してたな……いや、もう嫌われたんだから女々しくなっちゃダメだ)
そう思いながらメールを開いた。
《収録が終わったら迎えに行くよ。終わったら連絡してくれ》
(何だろう……?まあいっか)
深く考えずに承諾の返事を返したのだった。
「やあヒュアキントス。今日も美しいね」
ゼピュロスはいつものごとく爽やかな笑顔で迎えてくれた。
だが今日の笑顔にはどこか影があったように見えた。何かあったのだろうかと気になったがとりあえず車に乗り込んだ。
「さあ行こうか」
ゼピュロスはすぐに車を発進させた。
車を走らせ彼が車を止めた場所は人気のない路地裏だった。
なぜこんな場所で停車するのだろうとヒュアキントスが疑問に思っていると彼はおもむろにこう切り出したのだ。
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