天界アイドル~ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら~

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第十三章 ミニライブ開催編

第36話‐2 僕を見て

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自分の一挙手一投足が、注目を浴びているのだ。

(いや、今まで気付いてなかったんだ。こんな風に僕たちを見てくれてたのか…。どうしよう、鳥肌が立ってきた…。まるで夢の中にいるみたいだーー)


ナルキッソスは恍惚に浸っていた。彼は夢中で踊り、歌っていた。観客を楽しませるためにーーー



(ああ……そうか……!これが僕がずっと欲しかったものなんだ……!やっと分かった……!僕は皆に見てもらいたかったんだ……!僕はここにいる……!僕を見て……!)



彼はその想いだけで歌い、踊っていたのだった。


これまでずっと、生きていてもつまらなかった。
したいことも何もなかった。
自分にしか興味がなく、アイドルの活動も義務感でしているだけだった。

ずっとずっと、つまらなくて、孤独だった。
だが、今はーーー


彼は気付いていなかった。
今自分がどんな顔をしているかを・・・



(お、おおおおお~~!ナルキッソス君…!!良い、すごく良いよ。ああ、やはり君は良いな…)



ヘルメスはその姿に釘付けになっていた。思わず笑みが溢れていた。そしてこう思ったーーー


(やはり私の目に狂いはないな・・・!彼を応援して良かった・・・!)

そしてヘルメスだけでなく、観客席にいた者達は皆そう思ったに違いない。それほどまでに今の彼には惹きつけるものがあったのだからーーーー



ナルキッソスは、これまでの彼からは想像もできないほど楽しそうな笑顔を浮かべていた。

何故なら彼は今最高に幸せだったからだ。

3千人の観客の前で歌を歌い踊りを披露するという夢のような体験をしているのだ。
しかも観客は全員自分達を注目しているではないか。この光景を見て感動しないわけがないだろう。


観客は、これまで見たことがないナルキッソスの心からの笑顔に度肝を抜かれ、普段とのギャップの激しさにすっかり魅了されてしまっていた。





***

全ての曲が終わり、ライブは大成功に終わった。

「ナルキッソス!ちゃんと笑顔が出せてたね!作り笑いじゃない、心からの笑顔だったよ!それにセンターもすごくかっこ良かったよ!」

ヒュアキントスは嬉しそうにそう言った。彼もまた興奮していた。

ナルキッソスは照れくさそうにしていた。


(そうだ・・・デメテル様はーーー)

慌てて舞台裏から観客席を覗いたが、すでにデメテルの姿はなかった。彼女はもう帰ったようだった。

(デメテル様……)

ライブに集中するのがやっとだったが、彼女の姿はライブ中に何度も観ていた。
彼女は一度も笑ってはくれなかった。

(でも…観に来てくれただけでも嬉しいです。デメテル様…)


感傷に浸っていると後ろに気配を感じたので振り返ると、ナルキッソスがいた。

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